悲しいときの対処法5つ。悲しくなる理由とは?
失恋したり、仕事で失敗したり。そんな「悲しいとき」、どうすれば早く立ち直れるのでしょう。この記事では、悲しいときの対処法を心理カウンセラーの高見綾さんに解説してもらいました。
人生ではいいこともあれば悪いことも起きます。
仕事で大きな失敗をしてしまった、人間関係でつまずいて孤独を感じている、恋愛がうまくいかないなど、落ち込んでしまうこともありますよね。
どうしようもなく悲しい気持ちになったときには、どうやって対処していけばいいのでしょうか。
今回は、悲しいときの対処法を紹介します。悲しみに向き合う方法を知って、前向きに過ごせるようになりましょう。
悲しい気持ちになるのはどんなとき? その理由とは
人が悲しい気持ちになるのは下記のようなときです。
・失恋をしたとき
・大事な人、ペット、ものをなくしたとき
・失敗したとき
・頑張っても目標に届かなかったとき
・体調不良なとき
大切な相手との別れは心が引き裂かれるようなつらさを感じることがあります。今まで身近にいた相手がいなくなることで心に穴が開いたような喪失感を抱いて悲しさを感じるのです。
また、失敗したときや頑張っても結果が出なかったときも、「今までやってきたことは何だったのだろう」という無力さを感じて悲しい気持ちになることがあります。
悲しいときの対処法
1.思いっきり泣く
悲しい気持ちのときにやってはいけないのは、悲しいという感情を抑圧することです。
たとえ悲しみの原因となった事柄から時間が経っていても、「いつまでもグダグダしていたらよくない」と、悲しみに蓋をしてなかったことにしてしまうと、心の中にしこりが残ります。
すると、いつまで経ってもすっきりせず、引きずってしまうことになります。
心には時間の概念がないので、時間が経ったからといって悲しみが解消されるわけではありません。悲しいときは、自分の気持ちを否定せず、しっかりと受け入れていくことが大切です。
たとえば失恋してしまったときなどは、思いっきり気の済むまで泣いてみましょう。家でひとりのときであれば、人目を気にする必要はありません。感情がこみ上げるままに素直に泣いて、自分の気持ちを解放させていきましょう。
泣く行為には自浄作用があり、涙とともにいろいろな感情が外に出ていくので、泣き終わったあとはすっきりした気持ちになるはずです。
2.紙に自分の気持ちを書き出す
悲しいと、自分の気持ちから目をそらしたくなるものですが、悲しみをしっかりと受け入れられるようになると、安心感が生まれて、むしろ立ち直りが早くなります。
紙に書き出す作業は、自分の心と向き合うことにつながります。
たとえば、大切な友だちとケンカしてしまったのであれば、「誤解だよって言いたいのに、伝わらない」「なんでわかってくれないの? と思う」「ずっと仲よしでいたかったのに悲しい」など、溢れてくる気持ちをそのまま紙に書きます。
「こんなこと書いても仕方ない」とは思わずに、どんな思いが湧き上がってきても構わないので、モヤモヤした気持ちを率直に言語化していきます。
そうやって書いていくことで、「私ってこんなことを思っていたんだ」と本音に気づくことができます。
自分の気持ちを可視化することによって、現実を受け入れることができるようになります。そして、書いた紙は破って捨てます。そうすることで、悲しい気持ちを流していく効果があります。
もし一回書いてもまたモヤモヤしてきたときは、何回でも紙に書き出す作業をしましょう。
3.信頼できる人に心の内を話す
人に話をするのも、心を整理し悲しみを癒す効果があります。
ただし、話す相手は慎重に選びましょう。
悲しくて落ち込んでいるときは、自分の話をそのまま静かに聞いてくれる人が理想です。すべてを肯定し受け入れてもらうことによって、心は安心感を取り戻していきます。
アドバイスをしてきたり、「気にしすぎだよ」などと気持ちを否定してきたりするような相手だと、余計に落ち込んで心が閉じてしまいます。
家族や友だちに話すのもいい方法ですが、近い関係性だと私情が入ってしまうことが多く、自分事のように感じて過剰に反応したり、なんとかしなければと善意でアドバイスしたりしてしまう人が多いです。
その点、プロのカウンセラーであれば、第三者の視点から静かに話を聞いてくれるのでオススメです。
人に話しても問題は解決しないと思うことがあるかもしれませんが、人に話すことによる効果はかなり大きなものがあります。
話を聞いてもらうと、気持ちが整理されてスッキリするだけではなく、自分の本音にも気づくことができるようになります。
悲しいと思うということは、自分にとってそれが大切なものであることを表しています。
恋愛がうまくいかなくて悲しいのであれば、相手の男性や、誰かと何かを分かち合うことが自分にとって大切だということ。
悲しみの下に眠る自分の愛情に気づくことができると、やさしい気持ちに包まれます。そうやって自分を肯定していくことができるようになることが、立ち直るための大きな力となるのです。
4.家の中を整理整頓する
悲しい気持ちのときは、無心で取り組めることをすると、瞑想のように心がスッキリする効果があります。
少しずつでもいいので、家の中を整理整頓したり掃除をしたりするといいですね。
部屋の中の状態と心の状態はリンクしていますので、整理整頓してキレイにしておくと、心も自然と整理されていきます。掃除は、拭き掃除がオススメです。
部屋の模様替えをしてみたり、断捨離を実行してみたりするのもいいですね。
悲しいときは、どうしても「自分はダメだ」「これからもうまくいかないのではないか」とネガティブな発想になりがちです。そんなときに、散らかった部屋にいると、「もうどうでもいいや」と自暴自棄になりやすいです。
気分が落ち込むときほど、生活をしっかり建て直していくことがポイントです。
また、無心で整理整頓をすると体が適度に疲れるので、夜にぐっすり眠れる効果もあります。睡眠時間をたっぷりとると、寝ている間に無意識が心を整理してくれる働きがあるといわれていますので、朝起きたときにすっきりしやすくなるはずです。
5.自分を励ます
悲しみをしっかりと吐き出すことができたら、次は、自分を肯定し励ましてあげましょう。
1日の中で10分くらい時間をつくってみて、もうひとりの自分と対話するようなつもりで、話しかけてみます。
たとえば仕事で大失敗してしまったときは、
「まさかあんなことになるなんて思わなかったよね。びっくりしたよね。怒られて悲しかったね。
でも〇〇は、いつも仕事一生懸命やっていたと思うよ。誰よりも努力していたのを私は知っているからね。
今は辛いけど、ここからしっかり学んでいけば、もっと成長できるから大丈夫だよ」
など、自分への励ましのメッセージを実際に口に出して言ってみます。
実際に口に出してみることで、心に響く効果が増しますし、自分でも気づかない本音が飛び出すこともあります。
このとき、くれぐれも、自分を責めるようなことは言わないように気をつけます。
自分の大切な友だちが落ち込んで悲しみに暮れていたら、なんて声をかけて励ましてあげるかをイメージして、大切な自分にメッセージを届けるつもりでやってみましょう。
悲しいときは自分と向き合って気持ちを丸ごと受け入れよう
悲しいときは辛いものですが、悲しいという感情をなかったことにすると余計にしんどくなります。
悲しみを避けるのではなく、自分と向き合って、悲しい気持ちを丸ごと受け入れていきましょう。
そうやって悲しさを受容していくことができると、自分自身を肯定することにもつながります。すると、安心感に包まれ、立ち直りが早くなります。
ひとりで抱え込まずに信頼できる人に心の内を話し、適度にリフレッシュすることで徐々に元気を取り戻せるはず。
焦らず自分を信頼してじっくりと向き合っていきましょう。
(高見綾)
※画像はイメージです
※この記事は2019年06月30日に公開されたものです