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5月のミュウミュウ-祝辞- #名品ハイヒール

ナガイタカコ

節目にハイヒールを下ろすことは、女にとって通過儀礼かもしれない。数日足を痛めることはわかっているし、もう既に、今朝から足の親指の付け根がはち切れそう。それでも私たちはハイヒールを愛することをやめられない。そして、あの靴を履くため今日だって必死に働く。

「ミュウミュウ」のクリスタルが視界の下で煌めく。慣れない足元に息が上がる。

裏方的な仕事柄、いつもは黒い服に動きやすいスニーカーばかりなのだ。ほかは、ぺたんこローファーにバレエシューズ。ヒールは一足しか持っていない。だから今日のハイヒールは“はなむけ”の特別な一足だ。

だって、親友の結婚式ともなれば、華やぎを添えて参列したかった。そう意気込んで仲良しの女友だち2人に相談してみれば、それぞれ、ライトグレーのミニワンピに買いたてのルブタン、薄ピンクのシフォンワンピにジミーチュウのハイヒールを合わせる予定だという。一方、自分はというと黒いロングドレスに決めていたものの、足元が問題だ。シンプルな黒いヒールだけはもちろん持っているけれど、お祝いの席に少しくらいの彩りを添えたい。

それでハイヒールを何十足も見てまわり、結局、最初に見た「ミュウミュウ」の一足が最高だった。だって、アッパーにあしらわれたクリスタルが“おめでとう”の花束みたい。ヒールカップのそれも全方位を煌びやかに照らして、ドレスと同じサテンの生地はこの結婚式を祝うために誂えたみたいだ。「ミュウミュウ」なんてかわいい響きからは思いがけず、デザイナーのミウッチャ・プラダは「ただ美しいものより、どこか違和感を忍ばせたい。美しいだけはあまりにも安易だから」と語る人。たしかに、構築的なデザインは個性的で甘すぎない。

おめでたい日、足元にはシャランと揺れる、宝石みたいなクリスタル。ステップを踏めば、幸せの音が鳴るハイヒール。新郎新婦の笑顔を願って泣き笑いしつつ、煌めくつま先で、ブーケの飛ぶほうにジャンプする。キラリと光って、幸せの先まで連れ去ってくれそうよ。

(文:ナガイタカコ、イラスト:後藤恵)

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