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円満に辞めたい。専門家が教える「退職理由の伝え方と例」

佐野昭子

おぜきめぐみ

円満退職に向けて気をつけるべきポイント

ビジネスシーンにおける退職の意思表示において、最も大切なポイントは次の3点です。

ポイント1:退職の意思をできるだけ早いタイミングで伝えること

急な退職の申し出にともなう欠員は、組織的には大きなダメージを負うことになり、組織の長は欠員の補充やほかのメンバーへの業務分担の変更などといった対応が必要になります。退職を考えはじめると、多くの人がそのようなことよりも自分のことを中心に物事を考えてしまいがち。そのため、退職したいという気持ちを固めたら、とにかく早く直属の上司に退職の意思を直接伝え、退職希望日までの期間を少しでも長くとるようにしましょう。また、組織の状況次第では、退職日程の調整にも応じられるようにしておいてくださいね。

ポイント2:退職の意思は真っ先に直属の上司に直接伝えること

最も避けるべきことのひとつは、退職に関することを同僚などに話してしまい、同僚などから直属の上司に先に話が伝わってしまうことです。このようなケースになると、退職の申し出が後手にまわり、自身の退職に関するプロセスの主導権を失うことにもなりかねません。退職の意思は、まずは上司に直接伝えるようにしましょう。

ポイント3:退職希望日は、会社から提示された日程での調整に協力すること

「会社の就業規則として、退職日の1カ月前に申し出することとなっているため(企業によって異なります)、そのタイミングで伝えれば問題ない」。または「法律的に14日前であれば問題ない」と考える人もいるかもしれません。しかし、円満に退職するには、お世話になった職場や上司・部下への負荷に対する配慮も必要です。そのため、引継ぎなどがしっかりできる期間を確保するようにしましょう。

さまざまな状況はあると思いますが、一方的に「○日付で辞めさせてもらいます」や「今月末で辞めさせてもらいます。その間○日間は年次有給休暇を取得させていただきます」という、一方的なやり取りは避けたいものです。

また、企業は会計年度でビジネスを展開しているので、できれば会計年度末日を退職日にすることがよいと思います。それが難しいようであれば、四半期末や半期末でもいいでしょう。現在はどの業界も人材不足であり、欠員補充も大変。自分勝手な退職の申し出というニュアンスを最小限にすることが円満退職のポイントです。

上記3点をしっかりと押さえることができれば、円満退職の可能性が格段と高まります。これらはそれほど難しいことではありません。組織の一員として、働くビジネスパーソンとして、ほんの少しだけ配慮して行動に移すだけです。

ITやAIが社会進出している現代社会ですが、ビジネスシーンにおける退職の手続きは、機械的な処理ではなくフェイスtoフェイスです。そこでは当然、立場のちがう人同士が膝を突き合わせることになります。お互いがお互いをリスペクトし、状況を理解し合いながら進められるような場面設定を考えましょう。

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