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成長するまで、満足したくない。上杉柊平インタビュー

がむしゃらに好きな仕事をしている男は、かっこいい。芝居について熱く語る彼の、ナイフを突き刺すような視線を真正面から受けながら、私はそう思った。

俳優・上杉柊平、25歳。NHK朝ドラ『とと姉ちゃん』、TBSドラマ『砂の塔~知りすぎた隣人』、映画『一週間フレンズ』、最近ではAbemaTV『ハケンのキャバ嬢・彩華』にも出演。そんな彼に話を聞こうと決めたのは、インターネット上で彼のインタビュー記事を読んだから。まだ25歳とは思えない、仕事への野心あふれる発言。「私より年下なのに、なんて大人なんだろう」――そう感じた私は、TGC広島の舞台裏で彼と対面する機会を得た。

芝居をやりたいのに、ずっとその扉に鍵をかけていた。

「最初は、モデルにスカウトされたんです」上杉は淡々とした口調で語り出した。たまたまバイトをしていたお店の常連客が、モデル事務所の社員だったという。185cmの長身と、端正な顔立ち。上杉のルックスは、モデルには十分すぎるほどだった。

「『空いている時間でやってみない?』と軽い感じで誘われて、アルバイト感覚でモデルをはじめました。うれしいというよりも、俺にできるのかなという不安がありましたね」

そんな上杉には、別の夢があった。それは「芝居を仕事にすること」。きっかけは、演劇が有名な高校で過ごした日々。上杉は一般科だったので演劇を習うことはなかったが、まわりに演劇の道を志す友人が多く、いつしか彼らに憧れを抱くようになった。

「芝居の仕事をしたくても、どうやって扉を叩くのかわからない。ずっと自分の中で鍵をかけていたんです。だけどモデルの活動がきっかけで、芝居に挑戦させてもらえるようになって。鍵なんて必要なかったことに、そこで気づいたんです」

自分の未熟さに気づいた瞬間、悔しくなった。

モデルから俳優に移行するとき「失敗しても死ぬわけじゃないので、不安はなかった」と語る上杉。しかし、実際に芝居の世界へ飛び込んでみると、悔しいことのほうが多かったという。

「芝居をはじめてから、今まで味わったことのない感情が増えました。自分に対する苛立ちとか。これまで、勉強も部活もなんとなくゆるくやってきたけど、はじめて“本気でやりたいこと”に出会えた。そこで満点をとれない自分に苛立ったんです」

上杉が悔しいと感じたのは、共演者に完全に喰われたとき。たとえば『とと姉ちゃん』で恋人役だった杉咲花の演技を目の当たりにした瞬間、上杉は「やられた」と感じたらしい。戦える自信があったのに、戦えなかった。もっと戦いたかった。自分の未熟さに気づいた瞬間、たまらなく悔しくなった。そう話しながら、上杉はやりきれない表情で、宙をにらんだ。

満足したことは一度もない。その分、成長できるから。

だけど彼がすごいのは、その悔しさを成長のバネにしているところ。

「悔しいとき、誰かに相談することはないです。ストレスの解消にはなるかもしれないけど、相談する時間があるなら成長したい。なぜならそれを乗り越えられるのは自分しかいないから。悔しかった分いっぱい勉強して、成長のために時間を無駄にしないよう心がけています」

かっこいい。あまりにもシンプルなその言葉が、私の口から自然に飛び出していた。彼の発言を受けて、私はどうだろう。仕事で失敗したとき、すぐ誰かに愚痴ばかりこぼしていないだろうか。何かのせいにしていないだろうか。まさか自分よりも年下の男性に、日常を省みる機会を与えられ、はっとする日が来るなんて。

「毎回いろんな作品に出演する度に、反省しています。もっとこうすればよかったなとか、萎縮しちゃったなとか。満足したことは一度もないです。その分、成長できるから」

やっぱり、彼のインタビューを読んで受けた印象は間違いじゃなかった。それどころか、想像以上のエネルギーに圧倒させられるほど。

そんな上杉に今現在の夢を聞くと、「主演がやりたいです。ひとつの作品を背負うという責任を感じてみたい」と答えた。その目線は遥か遠くを見据えていたが、夢の実現はすぐ近くに迫っているような予感がした。私も彼に負けないくらいのエネルギーで、この記事を書き上げよう。そして彼が夢を叶えたときには、お互い成長した姿で、もう一度会って話を聞きたい。

(編集・文:高橋ちさと/マイナビウーマン編集部、撮影:前田立)

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