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母になっても、この仕事を楽しみたい。近藤千尋インタビュー

大好きな仕事で成功したいし、大好きな人と結婚もしたい。

そう力めば力むほど、ほころびが生じて、どちらか一方を諦めてしまうことが多い。現に私も諦めたことがある女性のひとりだ。「仕事と結婚、どっちも手に入れたい」という願いは、やっぱりワガママなのだろうか? しかしこの悩みをものともせず、2つとも選んだ女性がいた。モデル・近藤千尋、28歳。その原動力がどこから生まれているのか知りたくて、私は彼女にインタビューすることにした。

結婚しても、母親になっても、仕事を続けたいと思った。

岡山で育ち、モデルなんてほど遠いと思っていた近藤。大学時代に芸能事務所からスカウトを受け、雑誌モデルの世界に飛び込んだ。「ちぴ」という愛称で若い女性から絶大な人気を集め、バラエティでもかわいらしい笑顔と前向きな発言で、場をぱっと明るくしている。

「こんなに大きいステージに立てるなんて、今でも不思議な気分です」――TGC広島の舞台裏で、彼女はそう呟いた。まるで雪の妖精のような白いワンピースに身を包み、きらびやかなランウェイを歩いたあとのバックステージ。ほかの出演者とちがうのは、すぐそばに生後7カ月の娘がいること。

「寝る前にいつも娘の寝顔を見て、結婚してよかったなと思います。旦那さんと出会ってなかったら、この子にめぐり会うこともできなかった。毎日感謝しています」

2015年、お笑いトリオ・ジャングルポケットの太田博久と結婚。「芸人さんと結婚して、本当に大丈夫?」と心配する声もあったという。しかし彼女は「私が決めるんだから、いいの!」と一蹴。それと同時に「結婚後もモデルの仕事を続ける」という大きな決断もした。

「結婚してお仕事を控えめにしたり、家庭に入られたりする女性も、すごく尊敬しています。私の母もそうだったので。だけどせっかく芸能界に入ったからには、自分を求めてくれる場所がある限り、結婚しても、母親になっても、ずっと働き続けたいなと思いました」

「私はこれがやりたい」その直感を大事にする。

彼女が何か選択をするとき、大事にしているのは「直感」。仕事も、人付き合いも、結婚も。自分の気持ちに素直になって選ぶと、あとで後悔することが少ない。もし失敗しても「自分が選んだ道なんだから」と責任を持てる。そして何より、人生を楽しく謳歌できるという。

「まわりの目を気にせずに、この人と結婚したいなと思ったら結婚して、やりたい仕事があればやってみる。そのあとに新しい道を選びたくなったら、挑戦してみればいい。すべての選択に正解なんてないから、自分の感情のままに生きるのが一番だと思います」

そう話す彼女の口調は、一切の迷いがなく、まっすぐだった。それは「自分の気持ちに素直に生きてみたら、楽しかった」と語るように、今までの選択に後悔がないからだろう。

仕事とプライベート、両立のコツは「力を抜くこと」。

とはいえ、近藤にも仕事と家庭の両立に悩んだ時期があった。日々どうやってバランスをとっているのかコツを聞くと、意外な答えが返ってきた。それは「力を抜くこと」。

「仕事もプライベートも、力を入れすぎないことが大事だと思います。もちろん重要な場面では真剣に取り組むけど、それ以外はいい感じにゆるく。どちらも100%の力でやろうとすると、疲れちゃうから。適度に力を抜くほうが、リラックスして過ごせますし、物事もうまくいきやすいです」

なるほど。その瞬間、過去に悩んでいた自分にかける言葉が見つかった気がした。仕事もプライベートも100%で取り組んで、どちらも大成功させられるほど、人間のキャパシティは大きくない。そこであえてちょっぴり力を抜いてみることで、どっちも手に入れることができるんだ。

「今後の目標も、仕事と家庭の両立。今は娘の成長が一番の楽しみなので、寂しい思いをさせない程度に、太田夫妻の二人三脚でがんばっていけたらいいな」

彼女の視線は、すぐそばでスタッフに抱えられている娘へと向けられ、いつしか母親の顔へと変わっていた。

モデルと母。2つの表情を持つ彼女のポジティブな人生観を聞いて、仕事とプライベート、どちらも手に入れる方法をひとつ教わった気がした。毎日100%のパワーじゃなくてもかまわないから、自分のやりたいことを貫き通す。人生をめいっぱい楽しむ、近藤千尋のように。

(編集・文:高橋ちさと/マイナビウーマン編集部、撮影:前田立)

※この記事は2017年12月18日に公開されたものです

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