【マネーレッスン】本当に自分のためになる? 「転職」にまつわるマネー事情
将来を考えるとき、お金の悩みはついてまわるもの。結婚・出産、転職など、ライフイベントによってマネープランの見直しは必須。だけど、何から手をつければいいのかわからない! そんな働く女子のお悩みを、FP風呂内亜矢先生に相談。知っておきたいお金のキホンや無理なく実践できるテクニックをマスターして♪
◆今回のお悩み
相談者:ようこさん
「給料がなかなか上がらず、転職を考えています。ただ、転職をすることが本当に自分にとってプラスになるかどうかわかりません」
編集部 転職を考えているようこさんですが、実際に、転職をすることで収入アップは見込めるものなのでしょうか? 額面はアップしたとしても、年金や保険への加入の部分で待遇が悪くなり、長い目で見ると収入が悪くなるといった可能性もありそうです。
風呂内亜矢(以下、風呂内) たしかに、そういう可能性はあります。本来、厚生年金や健康保険は会社が払う義務がありますが、小さい会社だと払っていないところも少なからず存在します。また健康保険もいくつか種類があり、企業が設立している組合は福利厚生が手厚い場合も。転職によって加入している健康保険組合が変われば、そういった恩恵を受けられなくなることもあります。
あとは、残業代がしっかり出るかどうかは、収入面に大きく影響します。みなし残業制度(一定の残業代を固定して支払う固定残業制度)を採用している会社もあり、正規の残業代が出る会社よりも支給額が少ない、というケースも。そういう面では、転職が必ずしもプラスに働かないことも頭に入れておきたいですね。
編集部 ただ額面の収入だけで転職するのは危険だということですね。社会保険や残業代の有無のほかに、転職する上で確認しておきたいポイントはありますか?
風呂内 平均年齢や離職率も確認できるなら、チェックしておきたいですよね。離職率は言うまでもなく、平均年齢が若い=長く勤められるかどうかの心配が出てきます。ただ、社会保険や残業代も含め、これらの情報は必ずしも求人票などに載っていないため、自分で探るようなことはしたほうがいいでしょう。今は転職サイトなどもけっこうありますし、ネットでクチコミを拾うだけでも転職を判断する精度が変わります。もちろん、そこで働いている人がいれば、積極的に話を聞きたいですね。
編集部 情報収集力が転職を大きく左右するわけですね。そもそも、今は女性が転職しやすい状況にはあるのでしょうか?
風呂内 2009年までは有効求人倍率が1倍を割っていましたが、今年9月の段階で1.24倍と、23年ぶりの高水準になっています。そういう意味では、転職に向いている時期と言えますね。
編集部 いわゆる「売り手市場」ですね。ようこさんは社会人5年目の事務職ですが、そのキャリアを含めて、収入をアップするための転職活動をするにあたって、心がけておくべきことはありますか?
◆ようこさんプロフィール
電機関連企業で事務職の正社員として働く、社会人5年目の27歳。神奈川県在住で、親と同居している。手取り年収約280万円、手取り月収約17万円。なかなか上がらない給料に不満があり、収入アップのための転職も視野に入れている。毎月3万円を給与天引きで貯蓄し、現在の自分名義の貯蓄額は200万円以上~250万円未満。貯蓄に手をつけることはほとんどなく、毎月残ったお金をやりくりする堅実派。30歳までに500万円以上~600万円未満の貯蓄をめざしている。こだわり出費は月に1度通う「料理教室」(全12回・約6万円)。またピアスを集めるのが好きで、かわいいものを見つけるとつい買ってしまう。頻度は月1~2回で、1回につき5,000円分ほど購入。ただ、この出費をムダ使いだとも感じている。
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(ヨダヒロコ/六識)