【マネーレッスン】今さら聞けない、でも知っておきたい「給与明細」の見方
将来を考えるとき、お金の悩みはついてまわるもの。結婚・出産、転職など、ライフイベントによってマネープランの見直しは必須。だけど、何から手をつければいいのかわからない! そんな働く女子のお悩みを、FP風呂内亜矢先生に相談。知っておきたいお金のキホンや無理なく実践できるテクニックをマスターして♪
◆今回のお悩み
相談者:リャマさん
「給与明細の見方が今ひとつわかっていません。支給額に対して、なんでこんなにいろいろと引かれるのでしょうか。さまざまな保険料や税が引かれているようですが、これらは結局、何を意味するものなのかを知りたいです」
編集部 リャマさんは、社会人2年目の24歳。まだ社会人歴が短く、そのせいもあってか、自分の給与明細の詳細がイマイチ把握できていないようです。まずは、基本的な給与明細の仕組みについて教えてください。
風呂内亜矢(以下、風呂内) どの給与明細にも載っている項目は、大きく分けると以下の3つになります。
・勤怠……「出勤日数」や「欠勤日数」、「有給休暇」、「残業時間」など、給与額に影響する勤務日数や勤務時間に関わる項目が記載されています。
・支給……月々支払われるお金に関する項目が記載されています。ここには、ボーナスや退職金などのベースになる「基本給」をはじめ、残業したことによる割増賃金を指す「残業手当」、通勤にかかる交通費に応じた「通勤手当」、役職者に支払われる「役職手当」など会社ごとに定められた諸手当の項目が入ります。これらの総額は「額面」とも呼ばれます。
・控除……上記の総支給額から引かれるお金の項目が入ります。失業したときや育児休暇を取得した際に手当がもらえる「雇用保険料」、会社員が加入する健康保険に支払う「健康保険料」、40歳以上になると負担する「介護保険料」、退職や、障害または死亡した場合に本人や家族に支払われる「厚生年金保険料」など、いわゆる「社会保険料」と言われるもののほか、国の定める税額表に基づいた「所得税」や前年の課税所得に基づいて計算される「住民税」といった項目があります。また、「財形貯蓄」など会社で給与天引きしているものもここに含まれます。
編集部 なるほど。中でも「控除」の部分は、リャマさんのように、なぜこんなに引かれるのだろうと不満に思っている人は多そうです。
風呂内 たしかに金額だけを見ると、そう思うのは仕方がありません。しかし、「健康保険料」「介護保険料」「厚生年金保険料」に関して言えば、支払う金額は会社と折半なんです。つまり、給与明細に記載されている金額の倍額を実際には納めていることになります。さらに「雇用保険料」に至っては、本人は給与の0.5%、会社は0.85%と、会社のほうが多く負担している計算に。そう考えると、会社員は実際に支払っている額以上の手厚い保障を得ているわけです。
編集部 本来納めなければいけない金額の半分で済んでいると思えば、気持ちも救われます。年金受給額が国民年金のみの自営業者よりも多いのは、そういうカラクリがあるからなんですね。
風呂内 はい。また「健康保険」からは、「傷病手当金」(連続する3日間を含み4 日以上会社を休んだ場合、標準報酬日額の2/3が最長1年6カ月支給される制度)が支給されるのも大きなメリットです。
編集部 同じく、女性なら産前産後休暇を取った際に「出産手当金」の給付があるのもうれしいですよね。ほかに「控除」の項目について、チェックしておきたいことはありますか?
◆リャマさんプロフィール
通信関連企業の人事部で正社員として働く、社会人2年目の24歳。東京都在住で、ひとり暮らしをしている。手取り年収約390万円、手取り月収約23万円。毎月2万円を自動引き落としで貯蓄し、自分名義の貯蓄額は現在75万円以上~100万円未満。ただ、某アイドルグループの大ファンで、コンサートの遠征代を捻出するのに頻繁に貯蓄に手をつけてしまい、赤字にはならずとも、いつもお金に余裕がないと感じている。また、月1回(1万円)のネイルもやめられないため、家で使う水は100円以下の2リットルのペットボトルを買ったり、ダイエットを兼ねてお菓子を買わないようにしたりと、節約も心がけている。
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(ヨダヒロコ/六識)