30歳以降の「リスク」に備えて、貯金はしておくべき?
将来を考えるとき、お金の悩みはついてまわるもの。結婚・出産、転職など、ライフイベントによってマネープランの見直しは必須。だけど、何から手をつければいいのかわからない! そんな働く女子のお悩みを、FP風呂内亜矢先生に相談。知っておきたいお金のキホンや無理なく実践できるテクニックをマスターして♪
◆今回のお悩み
相談者:ぱんこさん
「そんなに収入が低いというわけではないのに、貯金がまったくできていません。30代に向けて20代のうちにいくらくらい貯めておけばいいのかわからず、なんとなく貯金ができないままダラダラと過ごしているのが現状です。もし何かあったとき、今のままで大丈夫なのか漠然と不安に感じています」
編集部 現在、25歳のばんこさん。社会人4年目で手取り年収が約400万円と、同世代女子に比べても高いほうですが、浪費がやめられず貯金がほとんどない状態です。しかし、彼女も漠然とした不安を抱えているように、病気や親の介護など歳をとればとるほど、さまざまなお金にまつわるリスクも考えられます。たとえば、女性特有の病気を例に挙げるとすれば、どのくらいの負担がかかるものなのでしょうか。
風呂内亜矢(以下、風呂内) 女性特有の病気のひとつに、子宮筋腫があります。開腹や腹腔鏡での手術をした場合、自己負担額は約25万円かかります。また、女性のがんで罹患率が多い乳がんは、日本乳癌学会が提供するガイドラインによると、入院・手術の自己負担額は23~30万円になるようです。
編集部 いずれの病気も30代から増えはじめると聞きますし、かかる女性の数も昔に比べて急増しているようですので、他人ごとではありません。それに手術・入院にかかるお金だけでなく、通院や、それらに伴う休業期間の収入ダウンなどを考えると、思った以上にリスクがある気がするのですが……。
風呂内 もちろん、備えておいて損はありませんが、そこまで恐れる必要はありません。公的医療保険には「高額療養費」という制度があり、年収約370万円~770万円の人の場合、保険適用内の治療であれば、1カ月の中で8万100円を超えた金額については、1%の自己負担を除いてすべて戻ってきます(また、今年1月から年収約370万円未満の人は、1カ月に5万7,600円を超えた金額についてはすべて戻るようになっています)。
つまり、ばんこさんの場合、治療費が100万円くらいになっても1カ月あたりの自己負担額は9万円ほどで済みます。ただし、この制度は月ごとの適用になり、治療が月をまたぐと合算されませんので、そのぶんコストがかかる点には注意しましょう。
また、1年間で10万円を超えた医療費に関しては、確定申告をすれば一部が所得税控除を受けられますし、会社員であれば「傷病手当金」(連続する3日間を含み4日以上会社を休んだ場合、標準報酬日額の2/3が最長1年6カ月支給される制度)が健康保険から支給されます。そういった仕組みも頭の中に入れておくといいでしょう。
編集部 なるほど、いろいろな制度を活用すればリスクも最小限に抑えられそうですね。とはいえ、ほとんど貯蓄のないばんこさんの状況は危険な気がします。
風呂内 そうですね。彼女のいちばんのリスクは、「最低限の生活費」自体が高いことですね。もともと支出額が少ない人であれば、もし何かあって収入がストップしてしまうことになったとしても、貯金の減るスピードは緩やかですが、彼女のように貯蓄がない状態で生活水準が高いと、すぐにどうにもならなくなってしまいます。
編集部 では、当面の目標額でもある5年で250万円(1年で50万円)の貯金を達成するために、まず見直したい家計簿の項目はありますか?
◆ぱんこさんプロフィール
人材派遣・人材紹介関連の企業で正社員として外回りの営業職に就く、25歳。手取り年収約400万円、手取り月収21万円。今年の夏のボーナス予想額は、55万円。休日は友人と飲み会をすることも多く、映画やコンサート、演劇、スポーツ観戦など多趣味の、浪費家タイプ。職場でも、毎朝ペットボトルを1本、昼時にテイクアウトのコーヒーを買うのが日課。現金派をめざしてはいるが、手持ちがないときについクレジットカードを使ってしまい、毎月7万円ほど引き落としがある。さらに、月々の貯蓄は給与から1万円を自動的に定期預金へ振り替えているものの、貯蓄に手をつけてしまうことが頻繁にある。現在の自分名義の貯蓄額は、10万円以上~30万円。貯蓄額の目標は、5年後をめどに250万円アップ。
(ヨダヒロコ/六識)