「おいとまする」の意味や使い方は? お暇する際のマナーも紹介
知っておきたい「おいとまする」ときのマナー
「おいとまする」という言葉の意味と使い方がわかったところで、次は、どのように活用するのかを具体的にみていきましょう。
帰るタイミングの計り方
「おいとまする」タイミングの計り方のポイントは3つ。
1. 事前に約束した時間になったら
以前は、訪問する時間だけを告げるのが一般的でしたが、現代では「何時から何時まで」や「1時間くらい」というように、滞在時間も伝えるほうが喜ばれます。
それによって、相手はその日の予定を組みやすくなります。また、お茶だけでいいのか、ほかに何か用意しておいたほうがいいのかなどの判断もできるからです。
約束の時間になったら長居はせず、「本日はお時間を取ってくださりありがとうございました。そろそろおいとまさせていただきます」などとこちらから告げましょう。
2. お茶のおかわりをすすめられたとき
会話が一段落し、お茶のおかわりをすすめられたときも、「おいとま」を切り出すタイミングです。
「あ、もうこんな時間になりました。そろそろおいとまさせていただきます」などと切り出すとよいでしょう。
3. 相手が時計などを気にしだしたら
本来の用件が終わっても、別の話題で会話が続き、なかなか帰るタイミングが計れないこともあるでしょう。
用件が済んだら、こちらから「おいとま」を告げるのが基本です。
たとえ会話が続いていたとしても、相手が時計や携帯電話などを気にするそぶりを見せたら、「おいとま」を切り出すタイミング。
「お話が楽しく、すっかり長居してしまいました。そろそろおいとまさせていただきます」と伝えましょう。
部屋での挨拶の仕方
「おいとま」を告げたら、挨拶に続きます。
和室の場合は、座布団をはずして下座に正座しましょう。洋室の場合は、立ち上がり、イスの横に立ちます。
「本日はお忙しい中、お時間を取ってくださりありがとうございました」など、感謝とお礼の気持ちをていねいに伝え、玄関に向かいます。
最後に、忘れ物がないか確認してから部屋を出ましょう。
片づけはどこまでするべき?
お茶やお菓子などをいただいた場合、どの程度までお片づけをするべきなのかは、悩むところでしょう。
これは、先方との関係によって変わってくるもので、明確な正解はありません。ただ、もてなしてもらうのが当然という態度で、知らぬ顔しているのは好ましいことではありません。
ではどうすればいいのでしょうか。
まず、こちらからひと言、伺います。
「何か、お手伝いさせていただいてもよろしいでしょうか」
もしそこで相手が断った場合は、相手にお任せしてお礼を言います。食器などは、テーブルの端に置くなどに留めておきましょう。
その際、食器を重ねたりすることのないように注意します。高価な食器を傷つけないためです。
先方から片付けの手伝いを頼まれた場合は、相手の指示に従います。
指示以外のことはしないほうが賢明です。人によっては、キッチンに勝手に入られるのが嫌なこともあるからです。
このように、どこまで手伝うかは、相手の意向を伺い、臨機応変に対応していきましょう。
玄関での立ち居振る舞い方
続いては玄関での立ち居振る舞い方を見ていきましょう。
スリッパは重ねない
スリッパは、出口に向かって脱ぎます。
そのまま靴をはき、その後振り返って向きを変えて隅に置きます。
脱いだばかりで、まだぬくもりが残っているスリッパを重ねるのはNGです。
挨拶は簡潔に
最後にもう一度、玄関でお礼の挨拶をします。
部屋を出るときにていねいな挨拶をしていますので、玄関での挨拶は「ありがとうございました」「おじゃましました」などで十分です。
相手の目を見て、微笑んで、感謝の気持ちを言葉と態度で表しましょう。
「ていねいな挨拶は部屋で、玄関では簡単に」を心がけましょう。
身支度は基本的には外に出てから
寒い季節など、コートの扱いに悩むこともあるでしょう。
基本は「玄関の外に出てから着る」ですが、先方に「どうぞこちらで」などとすすめられたら、相手の配慮に対する感謝の言葉を伝え、玄関の中で着てもOKです。
家を出た時の立ち居振る舞い方
挨拶を済ませ、玄関を出たからといって、気を抜くのはまだ早いです。
こちらの姿が見えなくなるまで見送ってくださる場合もあるからです。
玄関を出て数歩進んだタイミングで、一度振り返りましょう。相手の方が見送ってくださっていたら会釈をします。
曲がり角など、姿が見えなくなるポイントでもう一度振り返り、そこでもまだ見送ってくださっていたらていねいにお辞儀をして感謝の気持ちを伝えましょう。
去り際の美しい人になろう
去り際の美しい人は、先方にいい印象を残します。
印象は言葉だけではなく、表情や立居振る舞いによっても、大きく変わります。
紹介したマナーを活用し、去り際の美しい、印象に残る人にぜひなってください。
(金森たかこ)
※画像はイメージです
※この記事は2014年09月29日に公開されたものです