すべての出逢いは、必然的なめぐり合わせだと信じています
クリスマス間近の東京駅を舞台に、男女10人のさまざまな“愛”を描く映画『すべては君に逢えたから』。心揺さぶる6つのストーリーが交錯し、玉木宏さんはエピソード“イヴの恋人”で、女性不信に陥った社長を演じています。今回の役づくりや撮影エピソードのほか、玉木さんの理想の女性像といった、気になる恋愛観も伺ってみました!
【プロフィール】
玉木宏さん
1980年生まれ。愛知県出身。『ウォーターボーイズ』(01)で注目され、『雨鱒の川―初恋のある場所―』(04)で映画初主演を務める。TVドラマ『のだめカンタービレ』(06/CX)で多くのファンを獲得し、映画版も大ヒット。代表作は『ただ、君を愛してる』(06)、『MW-ムウ-』『真夏のオリオン』(09)、中国映画『銅雀台』(12)など。ミュージシャン、カメラマンとしても活躍する。2014年夏には、『神様はバリにいる』、主演映画『幕末高校生』の公開が控えている。▼玉木宏 オフィシャルサイトはこちら
Text:Kumi Mizuno
和樹はどこか寂しい人間だと思った前半戦はイヤな人間を演じています
舞台はクリスマスの迫る東京駅。遠距離恋愛中のカップルや、母親と過ごすクリスマスを夢見る少女、気になる先輩に告白できない女子大生、余命を告げられた新幹線の運転士、49年前の果たされなかった約束など、6つのストーリーが織り成す映画『すべては君に逢えたから』。玉木宏さんは「人の大切さや、ありがたみ、あたたかさ、っていうものを感じていただける映画だと思います」と、愛情あふれる作品の魅力を語ります。玉木さんがメインエピソード「イヴの恋人」で演じるのは、過去の苦い経験から近づいてくる女性はみんなお金目当てだと思っている、ウェブデザイン会社社長・黒山和樹。女優の夢を諦めて故郷に帰ろうとする佐々木玲子(高梨臨)と偶然出逢うものの、和樹は傲慢で失礼な態度をとってしまい……。「和樹は社長である以上、相談者もいなくて、唯一のはけ口がDVD観賞。どこか“寂しい人間”という部分が出せればと思いました。いくつものストーリーが同時に描かれている作品だから、途中で『あれ、この人何だっけなぁ?』とならないように、より印象づけないといけないと思い、感情を誇張して、怒るところは怒る。前半戦はとことんイヤな人間を演じています(笑)」そんな気むずかしい和樹が、玲子に対して心を開いていく変化は、見どころのひとつかも。そして、今回注目の舞台は、来年で開業100周年を迎える東京駅。撮影は、JR東日本の全面協力のもとに実現したそう。「終電が終わった深夜1時以降の撮影だったので、何日かはしんどい思いをしましたね。でも、僕らのパートは6月頭の撮影で、ほかのみなさんはもっと暑い時期にコートを着込んで大変だったはず」と、ほかの出演者を気づかう玉木さん。そんな大勢の努力の結晶、きらきらとしたイルミネーションに彩られる、東京駅のクリスマスシーンは必見です!
付き合った先を想像するから惹かれるのは居心地のいい女性
“偶然にして最悪の出逢い”からはじまった、和樹と玲子の恋。玉木さんは、そんな偶然や奇跡の出逢いをどう思いますか? 「奇跡も偶然もあるとは思いますが、結果、それはすべて必然的にめぐり逢っているものだと思うんです。出逢うべくして出逢う。必然的に出逢うと思っていれば、焦らずに自分らしさを保っていられる気がするんです。そうやってめぐり合わせはやってくると、僕は信じています」すべてを“必然の出逢い”ととらえる玉木さん。たとえば、趣味の写真でステキな空や風景に出逢ったとしても、「たぶん、それも偶然というより、意外と必然的に狙っているのかも。粘りが必要なので(笑)」と、冷静に分析します。そんな出逢いを経て、和樹はイキイキと芝居をする玲子の姿に惹かれていきますが、玉木さん自身は、女性のどんな部分に魅力を感じるのでしょうか?「昔は外見や表面的な部分を見ていましたが、最近はそれよりも内面ですね。同じ趣味や何かを共有できそうだな、と思うとポイントが高かったり、一緒にいて居心地がいいということを、僕は一番に見ています。たぶん、付き合ったあとの結婚を想像するからなんでしょうけど」そんなふうに、玉木さんが外見よりも内面を重視するようになったのは、20代後半くらいからなんだそうです。ちなみに、理想のクリスマスの過ごし方を聞いてみると「自分主導でこうしたいっていうのはないですけど、家族や恋人がいたとしたら、『こうしてあげたら喜ぶかな』ということを考えます」と、玉木さん。女性からもらってうれしいプレゼントは、「チキンもケーキも好きですよ(笑)。物というよりも、食事で十分“その人らしさ”は感じられると思います」と、手料理やその日の雰囲気で、気持ちは伝わるという意見をいただきました。
人を豊かにするのは人だと思う!じんわり温かさが伝わる作品に
今回6つのストーリーに共通して感じられるのは、「素直な想いを伝えることの大切さ」。玉木さん自身も素直になれないことは多いそうで、「素直になれないときは、人と話さないですね。悩みがあっても、とくに相談もしません。自分で処理して整ってから、外へ出るという感じ」と、昔から何事も自分で解決するタイプなんだそう。でも、素直でありたいという気持ちは、きっと誰もが思っているはずだと言う玉木さん。「たぶん、踏み出す勇気が必要なんでしょうね。隠すことのほうが意外と簡単かもしれない。素直に生きられたらなとは、僕もよく思います。兄弟関係も関わってくるんじゃないですか? 末っ子は甘え上手だったり、僕は長男なので、しっかりしなきゃと自分自身で思ってしまうので。まぁ、それは逃げだと思いますけどね(笑)」そんな玉木さんが、今回6つのストーリーを通して、もっとも「ピュアなラブストーリーだな」と感じたのは、東京と仙台の遠距離恋愛の物語だそう。離れていても真剣に彼と向き合おうとするヒロインに対して、「けなげでかわいらしいというか、そういう相手を誰しも望むんじゃないでしょうか。きっといろんな誘惑もあるだろうけど、それでもブレずに、一途にお互いを想い合うっていうのは、すごくステキな心だと思います」と、玉木さん。そんな読者世代の「遠距離恋愛」や「イヴの恋人」をはじめ、どんな世代にもおすすめのエピソードが詰まった映画だと玉木さんは言います。「すべての物語が全体でつながっていて、家族の愛について描かれているものもあったり、どの年代の方が観てもじんわり温かさが伝わるはずです。人を豊かにするのは、人だと思う。そんな人の温かさを感じとっていただければ幸いです」
『すべては君に逢えたから』
(配給:ワーナー・ブラザース映画)
舞台は、1日100万人が利用するメガステーション東京駅。女性不信に陥ったウェブデザイン会社の社長(玉木宏)と夢に破れた女優(高梨臨)の出逢いや、仙台と東京の遠距離恋愛中のカップル、気になる先輩に告白できない女子大生、余命3カ月を宣告された新幹線の運転士、母親と過ごすクリスマスを夢みる少女、49年前の果たされなかった約束など、10人の男女が織り成す6つのドラマが交錯する。「素直な想いを伝えたい」「出逢えた奇跡に感謝したい」など、それぞれの想いがクリスマスをきっかけに動き出す、切なくもロマンティックなラブストーリー。●11月22日(金)より、新宿ピカデリーほか全国ロードショー▼『すべては君に逢えたから』公式サイト