批判的な人間に暗示をかけて伸ばすには?「結果や事実を元に褒める」
昔から自分は「優しい子」だと言われてきた。昔から「気が利く子」だと言われてきた。でも、それって実は親が自分にかけた暗示なのかもしれません。でも現実は、そんな暗示通りに育ってきている。つまり暗示には、人をある方向に伸ばす効果があるということなのです。
人を伸ばす暗示の力って?
とあるサンフランシスコの小学校で、無作為に選んだ小学生のリストを作り、それを教師に「これが成績が伸びる生徒たちのリストです」と手渡したところ、実際に数カ月後には、無作為に選んだはずの生徒たちの成績が、飛躍的に伸びたという実験報告があります。
これは子どもだけではなく、大人同士の関係にも当てはまり、通用する「暗示の力」です。「こうなるべき」という期待をかけられることによって、期待された方も知らず知らずに期待に応えようと努力をし、その通りになることがあるのです。この時にかけられる「期待」こそが、「暗示の力」です。
「この人はできる人だ」、「この人ならやれる」と前向きな期待を示そう
能力を伸ばしてあげたい人がいるなら、積極的に「君ならできる」、「やれる」と期待をかけてあげるのが効果的です。ただし期待をかけすぎると、逆に「プレッシャー」になることもあります。
効果的に期待をかけられるタイミングは、期待をかけたい相手が不安やプレッシャーに悩まされているタイミングです。不安やプレッシャーに悩まされている時は、それから逃れようと必死になっているため、「君ならできる」とか「君ならやれる」という言葉が、相手に届きやすくなり、信じてくれやすくなります。ぜひ、暗示をかけるタイミングを見逃さないようにしましょう。
暗示が効きにくい、批判的な態度の人間にはどうすればいいか?
期待をかけたくても、「どうせ口だけ」とか、「何か裏があるのでは」と、前向きな暗示に耳を貸してくれない人もいます。そんな時は、結果や事実を中心にほめてみたり、過大にほめすぎないようにしたり、言われ慣れているほめ言葉は使わないことを心がけたりするとよいでしょう。
結果や事実を中心にしたほめ言葉は、なぜほめられるのかがわかりやすく、疑念を持ちにくくなります。また過大にほめると「おべっか」や「下心」を感じられやすいので、さり気なく自然な態度でほめるのも大事です。さらに言われ慣れているほめ言葉も感動を与えづらく、いらぬ疑念を持たれやすいため注意しましょう。
適度な期待は、仕事に対する余分な力みを抜き、効率をあげる
仕事に対する不安やプレッシャーを感じている人は、余分なことを考えすぎて、かえって仕事の効率を下げてしまうことがあります。こんな人にも暗示は効果的です。「自分は失敗するかもしれない」「できないかもしれない」という、その人の負の暗示をやわらげることができるからです。また仕事に対する余分な力みを抜き、仕事の効率をあげる効果も見込めます。
暗示は「いい暗示」だけでなく「悪い暗示」もあります。ぜひ「悪い暗示」にかかってしまい、仕事がうまくいかなくて悩んでいる人を見かけたら、積極的に「いい暗示」をかけてあげましょう。
※この記事は2013年09月05日に公開されたものです