きつねは、ネズミの揚げ物が好き!? ちょっとマニアックな「お稲荷さん」トリビア4選
ひるまえほっと「江戸のおもしろ稲荷めぐり」(NHK総合)が10月11日に特集されましたが、散歩の途中にお稲荷さん(=稲荷神社)を見かけることって、結構ありますよね?
意外なところに小さな社を見つけて、思わず手を合わせる……なんて経験のある方も多いと思います。それもそのはず、稲荷神社は都心部だけでも200以上もあるそうです! それも「稲荷」という名を冠するところだけで200以上らしく、稲荷と名前に付かない稲荷神社を含めると、その数はもっと増えるとのことです。
番組では『東京名所 今昔ものがたり』(祥伝社黄金文庫)などの著書がある作家の黒田涼さんの案内で、都内各地の稲荷神社を散策。東日本の稲荷神社の頂点といえる王子稲荷神社や猫探しにご利益があるという三光稲荷神社などが紹介されましたが、大変興味深かったのが神社名に「稲荷」のつかない稲荷神社の見極め方です。ポイントはなんと賽銭箱!
賽銭箱には神社の紋が彫刻されているそうですが、稲荷神社の紋には必ず「稲穂」が描かれているとか。稲荷のつかない稲荷神社探し……散歩がちょっと楽しくなりそうです。今度の週末、記者も稲穂マークを探してみようと思います。
さてお稲荷さんといったら、神社ではなく、稲荷寿司を思い浮かべる食いしん坊の方もいらっしゃると思います。何を隠そう、私もそのひとり。というわけで、今回は稲荷寿司トリビアを紹介しましょう!
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お揚げでごはんを包むとなぜ「稲荷寿司」?
その昔、狐(きつね)の好物はネズミを油で揚げたものとされていたそうです。実際、狐狩りには鼠の油揚げが使用されたそう。稲荷神へのお供えものをするとき、鼠の代わりに豆腐の油揚げを使うようになり、「狐の好物=油揚げ」という構図が生まれました。稲荷寿司には三角形のものもありますが、狐の耳を模したものといわれているそうです。ちなみに一般的な稲荷寿司は俵型をしていますが、これは稲荷神が豊作&商売繁盛の神様であることにちなんで米俵を模しているそうです。
お稲荷さんと海苔巻きセットはなぜ「助六」?
安くて美味しい「助六」セットは、稲荷寿司と海苔巻き(=太巻きか干瓢巻きが一般的)の組み合わせです。これは歌舞伎「助六由縁江戸桜」の主人公である助六が語源。助六の愛人は「揚巻(あげまき)」という女性でした。もうおわかりですね? 江戸のお人は洒落が上手です。意外にバリエーション多し!「ご当地稲荷寿司」
東京の稲荷寿司は、甘辛く醤油色に濃く煮しめた揚げを使用し、酢飯を詰めるものが一般的です。関西・西日本は色が薄く、酢飯ではなく混ぜごはんを詰めることが多いといいます。青森県・津軽地右方など東北の一部では、食紅と紅生姜で赤く染めた酢飯を詰めるところも。埼玉県・熊谷市の妻沼地区では「聖天寿司」などと呼び、普通の稲荷寿司の2倍ほどの長さをしています。ハワイでも「コーン・スシ」は愛されている
日本人の移民やその子孫・日系人の多いハワイでは「Cone Sushi(コーン・スシ)」と呼ばれてポピュラーになっているそうです。「コーン」といっても、狐の鳴き声とされる「こーん!」ではありません! 円錐形に近い形状を工事現場などに立てるコーンに見立てて、ネーミングされたとか。キンパブと呼ぶ海苔巻きがポピュラーな韓国でも、稲荷寿司を食べる習慣があるそうです。いかがでしたか? 秋晴れの週末に、助六寿司をもって稲荷神社を巡るハイキングなんて、なかなか素敵ではないでしょうか。私もぜひ楽しんでみたいと思います。
(西益屋ハイジ/サイドランチ)