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「使用」と「利用」の違いとは? 使い分けを例文とともに紹介

にほんご倶楽部

「使用」と「利用」は、どちらも「人や物を役立てること」を意味する言葉。

しかし、両者には微妙なニュアンスの違いがあります。両者の違いを説明するとなると、少し戸惑うかもしれませんね。

そこでこの記事では、「使用」と「利用」の違いを解説。また、使い分けが分かりやすいよう、「使用」と「利用」のそれぞれについて使う場合の例を紹介します。

「使用」と「利用」の意味

そもそも、「使用」と「利用」にはどのような意味があるのでしょうか。それぞれ確認してみましょう。

「使用」の意味は「使うこと」

「使用」の意味は以下の通りです。

し‐よう【使用】
[名](スル)人や物を使うこと。「会議室を—するには許可がいる」「ストロボの—は御遠慮ください」
(『デジタル大辞泉』小学館)

単純に人や物を使う時に、「使用」を使います。

「利用」の意味は「うまく使うこと」

「利用」の意味は以下の通りです。

り‐よう【利用】
[名](スル)
1 (物の機能・性能を十分に生かして)役立つようにうまく使うこと。また、使って役に立たせること。「遊休地を—する」「いつも地下鉄を—する」「廃物—」「無線LANが—できる喫茶店」「年間500万人が—するサイト」

2 (ある目的を達するために)便宜的な手段として使うこと。方便にすること。「特権を—する」「立場を—した卑劣な行為」「親愛の情を—した詐欺事件」
(『デジタル大辞泉』小学館)

物の機能や性能を生かしてうまく使う場合に「利用」を使います。また、目的を達成するために立場や人を便宜的に使う場合も「利用」と表現します。

「使用」と「利用」の違い

「使用」は「書類の記入にペンを使用する」というように、「単純に物を使う時」に用いられます。対象物本来の機能をそのまま用いるときに使われる表現です。

「利用」は、ただ使うだけでなく、物の機能や性能をうまく活用するときに用いられます。例えば、「段ボールを利用してパーテーションを補強した」というように、対象物の特徴を生かす時に使えます。

上記のことから分かるように、「使用」と「利用」を使い分ける上での重要なポイントは、対象物の特徴を応用的に使っているかどうかです。単純に本来の目的通りに対象物を使う場合は「使用」、対象物の特徴を応用して活用する場合は「利用」を使うのが適切でしょう。

また、対象物を使って利益が生まれたかどうかも「使用」と「利用」の使い分けに影響を与えます。利益が生まれた場合は「利用」、そうでない場合には「使用」というように使い分けます。

ただし、使い方が応用的かどうか、利益が生まれたかどうかにかかわらず、設備や施設が持つ機能を本来の目的通りに役立てる場合は「利用」を使うのが一般的です。例えば、「あのテーマパークは多くの人が利用する人気のレジャースポットだ」といった場合が当てはまります。

まとめると、「使用」と「利用」は以下のように使い分けられます。

「使用」を使う場合
・対象物を本来の役割通りに使う場合
・対象物を使っても特に利益が生じない場合

「利用」を使う場合
・対象物を本来の役割を超えて応用的に使う場合
・対象物を使って利益が生じる場合
・設備や施設の機能を本来の目的通りに役立てる場合

「使用」を使う場合の例

「使用」と「利用」の使い分けをはっきりさせるために、それぞれの使われ方を例文で見てみましょう。まずは「使用」から例を紹介します。

対象物を本来の役割通りに使う場合

対象物を、その対象物が本来持つ役割通りに使う場合は「使用」を用います。

例文

・「コピーを取るのにプリンタを使用する」

・「この書類に記入する際、消えるボールペンは使用しないでください」

対象物を使っても特に利益が生じない場合

対象物を使っても割引を得られるなどの利益が生じない場合も「使用」を使います。

例文

・「カードキーを使用して入館してください」

・「朝食の際はこちらの朝食券をご使用ください」

「利用」を使う場合の例

続いて、「利用」を使う場合の例を見てみましょう。

対象物を本来の役割を超えて応用的に使う場合

対象物を、本来の目的を超えて活用する場合は「利用」が使えます。

例文

・「このバッグは廃タイヤを利用して作られている」

・「虫眼鏡を利用して光を集め、火を起こした」

対象物を使って利益が生じる場合

対象物を使うことで割引や優待が受けられるなどの利益が生じる場合も「利用」が使えます。

例文

・「株主優待券を利用すると食事代が5000円引きになる」

・「スマホの新プランを利用すれば月々の通信費を2000円ほど抑えられる」

設備や施設の機能を本来の目的通りに役立てる場合

レジャー施設やアトラクションといった設備や施設を本来の目的通りに役立てる場合も「利用」が使われます。

例文

・「A社が運営する温泉施設は年間●万人が利用している」

・「当ジムは毎月多くの方にご利用いただいております」

「使用」「利用」の類語・言い換え表現

最後に、「使用」「利用」の類語や言い換え表現を紹介します。

(1)「用いる」

「用いる」は「用にあてて使う。使用する(出典:『デジタル大辞泉』小学館)」という意味です。「用いる」も「使用」と同様に、「単純に対象物を使う」といったニュアンスを持ちます。

また、「用いる」は「新しい方法を用いて作業を進める」というように、形がないものに対しても使えます。

(2)「活用」

「活用」は、「物や人の機能・能力を十分に生かして用いること(出典:『デジタル大辞泉』小学館)」という意味です。「機能や能力を生かす」という意味があるため、「利用」に近い使い方ができます。

(3)「運用」

「運用」は「そのもののもつ機能を生かして用いること(出典:『デジタル大辞泉』小学館)」という意味です。形がないルールや制度に関して「今後はこのルールで運用していこう」といった使い方をすることもできます。

「使用」と「利用」は場面に応じて使い分けよう

「使用」は「単純に対象物を使う時」、「利用」は「対象物の特徴を生かして使う時」に用いるのが一般的。似た意味を持つ言葉ですが、2つの言葉には微妙なニュアンスの違いがあるのです。

「使用」も「利用」もプライベートだけでなくビジネスシーンでも頻出のワードなので、正しく使い分けられるよう、意味や使い方を理解しておきましょう。

(にほんご倶楽部)

※画像はイメージです

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