「ございますでしょうか」は二重敬語? 正しい使い方と言い換え表現を解説
日常生活やビジネスシーンでよく耳にする「ございますでしょうか」という言葉。しかし、文法的には間違いであるのをご存じでしょうか? 今回は「ございますでしょうか」の正しい使い方と言い換え表現について解説します。
「ございますでしょうか」という言葉を日常生活やビジネスシーンで耳にする機会があるかと思います。また、自分でも使っているという人もいるのではないでしょうか。
しかし、「ございますでしょうか」は文法上では正しくない表現なのです。
今回は、この言葉の意味と適切な使い方について解説します。正しい言葉遣いや敬語に自信がないという方は、ぜひチェックしてみてくださいね。
「ございますでしょうか」は二重敬語なの?
普段からよく使ったり聞いたりする「ございますでしょうか」という言葉ですが、これは正しい言い回しなのでしょうか?
まずは、「ございますでしょうか」の意味や正しい敬語表現について見ていきましょう。
「ございますでしょうか」の意味
「ございますでしょうか」という言葉は、文法的には「ございます」「でしょう」「か」の3つの単語でできています。
それぞれの意味は以下の通りです。
「ございます」:「ある」の丁寧語で、「あります」よりさらに丁寧な表現
「でしょう」:推量することを示す「〜だろう」の丁寧語
「か」:疑問を表す終助詞
「ございますでしょうか」は二重敬語?
「ございますでしょうか」は先に述べた通り、「ございます」と「でしょう」という丁寧語が2回続いているため、二重敬語に該当します。
ビジネスシーンではこのような違和感のある言葉が、相手に悪い印象を与えてしまう可能性があるため注意が必要です。
正しい敬語表現は?
もし「ございますでしょうか」を用いる場合は、もっとシンプルに「ございますか」と言えばOKでしょう。これは二重敬語にならないので、正しい使い方です。
「ございますでしょうか」の方がより丁寧な感じがするかもしれませんが、「ございますか」で十分だということを覚えておきましょう。
「ございますでしょうか」の言い換え表現
「ございますでしょうか」の一般的な言い換え表現は「ございますか」ですが、状況や
相手との関係によっては、他の言葉を使った方が良い場合もあります。
ここからは、「ございますでしょうか」の言い換え表現をいくつか紹介します。時と場合に応じて、適切に使いこなせるようにぜひ覚えてくださいね。
(1)ございますか
「ございますか」は、「ございますでしょうか」の言い換えとして最も一般的な表現です。
日常生活の中でも、「お時間はございますか?」「ご不明な点はございますか?」といった言葉を耳にする機会も多いのではないでしょうか?
丁寧な印象を与える言い方なので、場面を問わず使うことができます。もちろんビジネスシーンでも使用可能なので、ぜひ覚えておいてくださいね。
(2)ありますか
かしこまる必要がない相手であれば「ありますか」でOKです。カジュアルながらも丁寧な言い方といえます。
親しい先輩に「今時間はありますか?」と声を掛けたり、店員さんに対して「このサイズはありますか?」と尋ねたりするようなシーンで使ってみてください。
(3)おありですか
「ありますか」や「ございますか」よりも丁寧な表現が「おありですか」です。
相手への敬意と気遣いを伝えられるので、初対面の相手やかしこまったシーンで使うと良いでしょう。
例えば、取引先の関係者に対して「もしご要望がおありでしたら~」というように用いることができます。
(4)あるでしょうか
「ありますか」と近い言い方で、「あるでしょうか」という表現もあります。「ある」+「でしょうか」を付けたもので、これも敬語として正しいフレーズです。
「ありますか」と同様カジュアルな言い回しなので、丁寧な言葉遣いが求められる時や使用に迷った時は「ございますか」を用いるのがベターでしょう。
相手を思いやる心の込もった表現を意識しましょう
敬語を完璧に使いこなすのは難しいですよね。当たり前のように「ございますでしょうか」を使用してしまっていたという人もいるのではないでしょうか。
しかし、文法的なポイントを押さえておけば、いざという時にも適切な表現を使うことができるはずです。
また、どんな言葉を選ぶかは相手への気遣いだともいえます。「言葉遣いが正しいかな?」と気にして何も言えないよりも、思いやりを持った表現であれば、多少間違っていたとしても気持ちは伝わるはずですよ。
(神戸 梛来)
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