「お世話になりました」の正しい使い方は? 意味や注意点を解説【例文付】
「お世話になりました」は、上司や同僚、取引先への感謝の言葉を伝える言葉です。正しい意味や使い方をご存じですか? この記事では、「お世話になりました」の使い方を例文付きで解説。併せて、言い換え表現をご紹介します。
「お世話になりました」は、異動や転勤、退職などのタイミングで、これまでのお礼を伝える時に使う言葉です。周囲の人にきちんと感謝の気持ちを伝えられるよう、正しい使い方を覚えておきましょう。
この記事では、「お世話になりました」の意味や使い方、注意点を詳しく解説します。
異動や転職の時に締めのあいさつで正しく使えると、印象良く去ることができるはず。ぜひ参考にしてみてください。
「お世話になりました」の意味
「お世話になりました」は、日常会話からビジネスシーンまで幅広く使われる言葉です。何気なく使っている人も多いかもしれませんが、そもそもどういう意味がある言葉なのでしょうか。
辞書では、「世話」という言葉について下記のように解説されています。
世話(せわ) の意味
[名](スル)
1 面倒をみること。尽力すること。「病人の―」「大きなお―」「親身になって―する」
2 間に立って斡旋 (あっせん) すること。取り持つこと。「就職先を―する」
3 手数がかかってやっかいであること。面倒であること。「―が掛かる」→御世話様 (おせわさま)
4 世間の人がする話。世間の言いぐさや慣用の言葉。また、日常語や俗語。「―に砕いて言う」
5 通俗的、また庶民的であること。「―らしい打解けた風は頓 (とみ) に失せて」〈鏡花・高野聖〉
6 「世話物」の略。出典:『デジタル大辞泉』(小学館)
会社などで「お世話になりました」という場合は、「面倒を見ること」の意味で使われます。
自分の仕事をフォローしてくれたり、指導してくれたりした相手に対して「ありがとうございます」という感謝を伝えるために用いられる丁寧な表現となります。
「お世話になりました」の使い方と例文
「お世話になりました」は過去形なので、異動や転勤、退職など、大きな区切りを迎える場面でよく使われます。
また、これまでお世話になった人へ感謝の気持ちを伝える言葉であるため、口語はもちろん、ビジネスメールや年賀状などの文章にも使うことができます。
また、使う相手は社内だけでなく取引先の人でも良いでしょう。例文を紹介していきますので、使うシーンをイメージしてみてください。
「その節は大変お世話になりました」
これは、過去にお世話になった相手に対して使います。例えば、以前一緒に働いていた上司と再び同じ部署に配属された時などがそれにあたるでしょう。
「その節は大変お世話になりました」は、締めのあいさつではなく、部署異動などでスタートラインに立った時「これからもよろしくお願いします」という意味合いで使えますよ。
例文
・「その節はお世話になりました。以前課長と一緒に働いた経験をいかせるよう、△△部でも引き続き精進してまいります」
・「その節はお世話になりました。以前課長と一緒に働いた○○部では、大変多くのことを勉強させていただきました。また△△部でも、ご指導ご鞭撻を賜りますようお願いいたします」
「ご指導ご鞭撻」の意味や使い方を紹介します。
「短い間でしたが大変お世話になりました」
お世話になった期間があまり長くない相手には、「短い間でしたが」と付け加えることがあります。
その後に「もっと一緒にお仕事したかったです」「もう少し課長の下で学びたかったです」といった一言を添えると、誠実な印象を与えられるでしょう。
例文
・「短い間でしたが、大変お世話になりました。もう少し課長のもとで学びたかったです」
・「私事になりますが一身上の都合により、◯月◯日をもって退職することとなりました。短い間でしたが、大変お世話になりました。みなさんともっと一緒にお仕事したかったです」
「旧年中はお世話になりました」
「お世話になりました」は、年賀状でも使われる言葉です。「旧年中はお世話になりました。本年もどうぞよろしくお願い申し上げます」など、昨年のお礼と共に「今年も引き続きよろしくお願いします」という気持ちを伝えましょう。
年賀状では、他にも下記のような文で使われることがあります。どれも年賀状でよく使われる文章であるため、定型句として覚えておくと良いでしょう。
例文
・「旧年中は大変お世話になりました。本年も変わらぬご厚誼(こうぎ)のほどお願い申し上げます」
・「旧年中は何かとお世話になり、誠にありがとうございました。今年も変わらぬご厚誼を賜りますようお願い申し上げます」
「今後ともよろしくお願いいたします」の意味や使い方、言い換え表現を解説します。
「お世話になりました」を使う時の注意点
「お世話になりました」は、周囲の人へ感謝の気持ちを伝えられる言葉です。これまでお世話になったことへのお礼をきちんと伝えるためには、いくつか気をつけるべきポイントがあります。
ここからは、「お世話になりました」を使う時の注意点について解説していきます。
(1)具体的な言葉を添えて使う
「その節はお世話になりました」と使う場合は、いつの出来事に言及しているのか、具体的な言葉を添えましょう。具体的な一言を添えると、相手も「あの時のことか」とイメージできます。
せっかくお礼を伝えても、「何のことを言っているのだろう」を思われてしまっては意味がありません。具体的にいつのことについてお礼を言っているのか、相手にきちんと伝わる一言を添えてみましょう。
例文
「その節はお世話になりました。○○さんのアドバイスのおかげでA社との商談がうまく進みました」
(2)今後の関係性にも触れる
部署異動や転勤などで上司や先輩に「お世話になりました」と伝える際は、今後の関係性にも一言触れておくのがおすすめです。
今後の関係性について一言添えるだけで、「引き続き良い関係性を築いていきたい」という気持ちが伝えられます。
例文
「○○部では大変お世話になりました。また△△のプロジェクトで一緒に仕事をする機会があるかと思いますが、その際はご指導ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げます」
(3)社外には後任の情報も伝える
退職や転勤によって取引先の担当が変わる場合は、「お世話になりました」の言葉と共に後任者の情報も伝えましょう。
また、ギリギリになってから担当者変更の連絡するのではなく、余裕を持って引継ぎができるスケジュールで連絡しましょう。
例文
「御社には大変お世話になりました。今後は、○○が担当させていただきます。追って本人からご連絡を差し上げますので、変わらぬお引き立てを賜りますようお願い申し上げます」
「お世話になりました」の言い換え表現
「お世話になりました」は、他の言葉にも言い換えができます。使う相手や状況に応じて適切に使い分けましょう。
(1)「お力添えいただきありがとうございました」
お世話になった先輩や上司には、「お力添えをいただき、ありがとうございました」という言葉に言い換えができます。
「たくさん仕事をフォローしてもらった」「直接指導をしてもらった」など、特にお世話になった人には、「お力添えをいただき、ありがとうございました」と伝えることで、より感謝の気持ちが伝えられるでしょう。
(2)「ご高配を賜り大変感謝申し上げます」
取引先など社外の人には、「ご高配を賜り大変感謝申し上げます」のように、より丁寧な言葉にも言い換えられます。
「高配」には、「心配り」という意味があります。日頃から関わりが深く、お世話になった取引先には、「ご高配を賜り大変感謝申し上げます」と伝えることで、これまでのお礼をしっかりと伝えられます。
(3)「お引き立てを賜り、誠にありがとうございます」
取引先に使う場合は、「お引き立てを賜り、誠にありがとうございます」という言葉にも言い換えが可能です。
「お引き立て」は「ご愛顧」にも置き換えられ、どちらもこれまでの取引への感謝の気持ちが込められています。
ちなみに「ご愛顧」は社内向けの言葉ではないので、使う相手を選びましょう。
「お世話になりました」できちんとお礼を伝えよう
「お世話になりました」は転勤や異動、退職など大きな節目を迎える際に、周囲の人に感謝の気持ちを伝えられる言葉です。
きちんとした言葉でお礼を伝えることで、周囲にも誠実な印象を持たれやすくなります。正しい使い方を押さえて、良好な人間関係の構築に役立てましょう。
(にほんご倶楽部)
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