「利他的」の意味とは? 行動の具体例や利他的な人の目指し方
「利己的な人」という言い回しはよく耳にしますが「利他的」という言葉の意味を正しく理解できていますか? この記事では「利他的」の意味や行動例、利他的に生きることのメリットとデメリットなどを紹介します。
「利他的な人」と聞くと、どんな人を思い浮かべますか?
また、身近に「あの人は利他的だ」「利他的な行動をする人だ」と感じる人はいるでしょうか?
この記事では、「利他的」という言葉の意味を改めて確認し、利他的な行動について具体例を紹介します。
また、利他的に生きることのメリット、利他的な人になる方法ついても合わせて説明しますので、参考にしてみてください。
利他的とは?
まずは、「利他的」という言葉の意味と、類義語、対義語について確認していきましょう。
「利他的」の意味
「利他的」という言葉は、辞書によると以下のように説明されています。
利他的
読み方:りたてき自分の利益を犠牲にしてでも、他人の利得を優先するさまを意味する。「彼女は利他的な生き方をする」などのように用いる。対義語は「利己的」である。
(出典『実用日本語表現辞典』)
つまり、「利他的な人」とは「自分のことを後回しにしてでも、他者のために世話を焼いたり、施しをする人」であるといえます。
「利他的」の類義語・対義語
「利他的」の類義語としては「献身的」や「自己犠牲的」などが挙げられます。
これらはいずれも、自分の利益を犠牲にして他人に尽くす様子を表す言葉です。
また、対義語は「利己的」です。利己的とは、『デジタル大辞泉』(小学館)によると「自分の利益だけを追求しようとするさま」を表す言葉です。
利他的な行動の具体例
「利他的な行動」とは、いったいどのようなことを表すのでしょうか?
ちなみに生物学など科学の分野では、「利他的行動」を「向社会的行動」とも言い、「利他的行動は自分に何らかのコスト(時間、労力、お金、など)を負いながら他者に利益を与える行動を指す」と定義されています。
では早速、利他的な行動の具体例を見ていきましょう。
(1)ボランティア活動
利他的な行動として、最もイメージしやすいのはボランティア活動でしょう。
ボランティア活動とは、「意志」「志願」という意味をもつラテン語「ボランタス(Voluntas)」が語源で、その意味の通り、強制や義務ではなく自身の意志によって行う活動を意味します。
日本では1995(平成7)年の阪神・淡路大震災をきっかけに、特に災害復興の場でボランティア活動が注目を集めるようになりました。
(2)寄付・献血
寄付や献血も、利他的な行動の1つといえます。
寄付とは「公共事業や社寺などに、金品を贈ること」(『デジタル大辞泉』小学館)です。
近年、子ども向けの医療用ウィッグをつくるために、自分の切った髪の毛を提供する「ヘアドネーション」も注目されており、これも寄付の一例といえるでしょう。
また、献血は自分の血液を他者のために提供することであり、これも利他的行動の例といえます。
(3)環境に配慮したライフスタイルの選択
環境に配慮したライフスタイルを選択することも、日頃からできる利他的行動の1つといえるでしょう。
例えば、マイバッグやマイボトルの持参、何かを購入する際に再生原料やオーガニック商品を選択することなどが挙げられます。
日常生活の習慣として、無理なく取り入れられる利他的な行動もあるのです。
(4)知識や情報のシェア
さらに手軽な利他的行動として、自分が得た知識や情報を他者へシェアすることも挙げられます。
例えば、分かりづらい仕組みを自身で調べて理解し、それをかみ砕いてSNSでシェアしたり、お得な情報を独り占めせず他者にも共有したりすることなど。
情報を得るために使った時間や労力を自分だけの利益とせず、他者への共有もいとわないことは、利他的な行動であるといえるでしょう。
あなたは利他的なタイプ? 診断でチェック!
あなたは他人に対して献身的な対応をするタイプでしょうか? 10の質問に答えて、あなたの「利他的度」を診断してみましょう。
利他的であることのメリット
利他的な行動をすることで、他者の喜びが自分の喜びとなって感じられるというメリットがあるでしょう。
例えば、誰かのためを思ってした行動によって相手が幸せになってくれれば、「してよかった」「喜んでもらえてよかった」とうれしい気持ちになるはず。
それは場合によって、自分1人だけにメリットがあることよりも、何倍もの喜びになる可能性があります。
利他的であることのデメリット
ただし、利他的であることにはデメリットもあると考えられます。
それは、他者のことを優先するあまり、自分のことを後回しにしすぎて自己の犠牲が増えすぎてしまうことです。
他者に対して何か役に立ちたいと思うのはすばらしいことですが、本人が不幸になってしまっては本末転倒ともいえます。
そのため、他者の利得を優先するにしても、自分にとってのちょうどいいバランスを見極めることが重要だといえるかもしれません。
利他的になるコツ
利他的な行動をしたいと思った場合、どのような考え方を意識すると良いのでしょうか?
最後は、利他的になるためのコツを紹介します。
(1)物事の見方を変える
利他的になるには、物事の捉え方を少しだけ変えることから始めてみましょう。
例えば、「自分が先に並びたい」「独占したい」という気持ちが芽生えたら、まずはその気持ちに気づき、他者の気持ちや事情を想像してみるのです。
目線を少し変えてみることで、「今の自分は既に十分満たされている」「独り占めする必要はない」と思えるかもしれません。
(2)購入するものや選ぶサービスを変えてみる
とはいえ、いきなり自分の欲を全て後回しにして、他者のことだけを優先する必要はありません。
生活の中で、何かを購入する時、またはサービスを選ぶ時に、誰かや何かの役に立つものを選択するのも利他的な行動の第一歩です。
例えば、商品の売上の一部が寄付される「寄付つき商品」を選んでみたり、環境に配慮されたサービスを選んでみたりするのも良いでしょう。
さまざまな選択肢があるので、自分が興味を持てる分野から行動を変えていくことで、利他的な意識が徐々に芽生えてくるかもしれません。
(3)団体やチームに参加する
「もう少し直接的にコミットしたいけれど、1人で始めるのは難しい……」という場合は、利他的な活動をしている団体やチームに加入するのもおすすめ。
例えば、地域のボランティア団体に参加したり、自分が興味を持てそうな社会貢献活動を行っているチームに入ってみたりしましょう。
同じような意志を持つ仲間たちと触れ合うことで、より意識が高まっていくかもしれません。
生活の中に利他的な視点を取り入れてみよう
「利他的」とは自分の利益よりも他者の利益を優先することで、例えば、寄付やボランティアなどが利他的な行動として挙げられます。
利他的な行動はメリットもありますが、あまりにも自己犠牲的になりすぎてつらい思いをするのは本末転倒ともいえます。
日頃の生活の中で少し視点を変えてみるなどして、できることから始めてみてはいかがでしょうか?
(ユキッ先生)
※画像はイメージです