「自発的」の意味とは? 動けない心理と自発的ではない人への接し方も紹介
「部下が自発的に動いてくれない」と悩んでいる人はいるでしょう。では、自発的に動けない人にはどのような心理が働いているのでしょうか? この記事では、自発的に動けない人の心理や特徴、自発的ではない人への接し方を紹介します。
部下を抱えていると、「なるべく自発的に行動してほしい」と思う人はいるでしょう。
しかし、なかなか自発的に動けない人も存在します。それはなぜなのでしょうか?
そこでこの記事では、自発的に動けない人の心理や特徴、自発的ではない人への接し方を紹介します。
そもそも「自発的」とはどういう意味?
まずは、「自発的」とはどういう意味なのかを確認しましょう。理解を深めるために、「自発的」の英語表現と、類義語・対義語も紹介します。
「自発的」の意味は「自分から進んで物事を行うさま」
「自発的」という言葉を辞書で調べると、以下のように記載されています。
じはつ‐てき【自発的】
[形動]物事を自分から進んで行うさま。「自発的な発言をする」(『デジタル大辞泉』小学館)
つまり、「自発的な人」とは「自分から積極的に物事を行う人」のことだといえます。
「自発的」の英語表現は「of one’s own accord」
英語で「自発的に」と表現したい時は、「of one’s own accord」が使えます。あるいは、「voluntarily」「spontaneously」ということもできます。
以下に例文を示します。
・「He did it of his own accord. (それは彼が自発的にやったことだ)」
・「She voluntarily took charge of the job.(彼女は自発的にその仕事を引き受けた)」
・ 「He told it spontaneously.(彼はそれを自発的に話した)」
「自発的」の類義語は「積極的」など
「自発的」の類義語としては、以下のようなものがあります。
・積極的
・能動的
・主体的
・自主的
「自発的」の対義語は「強制的」など
「自発的」には、対義語らしい対義語がないとされています。
強いて言うなら、「強制的」が挙げられるでしょう。辞書には以下のように記載されています。
きょうせい‐てき〔キヤウセイ‐〕【強制的】
[形動]相手の意思を無視し、権力・威力などによって無理にさせるさま。「強制的に署名させる」(『デジタル大辞泉』小学館)
「自発的」の対義語として使いたい時は、以下のような言い方ができます。
・「私は子どもの頃、とにかく勉強が嫌いで、強制的にやらされないと宿題をしなかった」
自発的に動けない人の心理
「自発的」の意味を確認したところで、自発的に動けない人の心理を見てみましょう。
(1)自信がない
自発的に動けない人は、自分に自信がない傾向にあります。
自分の判断や行動に自信がなく、「間違ったことを言ってしまうかもしれない」「勝手に動いて怒られたくない」と思ってしまうため、なかなか自分から行動できないのだと考えられます。
進んで行動したものの失敗したことがトラウマになっており、自分の判断に自信が持てなくなっている人もいるようです。
(2)失敗が怖い
失敗するのが怖くて、自発的になれない人もいます。
行動する前に「失敗したらどうしよう」という不安が出てきてしまい、その結果「失敗するくらいならやらないでおこう」という判断をすることが多いようです。
失敗を避けたいと考えるのはある程度自然なことですが、自発的になれない人は、失敗への不安が人一倍強いのかもしれません。
(3)責任を負いたくない
「責任を負いたくないので自分から行動しない」という人もいるようです。
自分の意思で発言したり行動したりすることには、責任が伴います。
「何かあった時に責任を取らなくてはいけない」と考えた時に、「自分から動かずに他人の指示に従った方が楽だ」という心理が働くのでしょう。
自発的に動けない人の特徴
ここからは、自発的に動けない人の特徴を紹介します。
(1)指示をもらえることが当たり前だと思っている
自発的に動けない人の中には、「指示をもらえることが当たり前」と思っている人がいます。
特に、子どもの頃から親や先生に細かく指示されてきたり、「指示されたことを忠実にこなす」という働き方しか経験したことがなかったりする人は、「自分から動く」という発想に至りにくいようです。
これは、その人の過去の経験にもよるので、仕方がない面もあるかもしれません。
(2)優柔不断である
自発的に動けない人の特徴として、優柔不断であることも挙げられます。
「何かしないといけないのは分かるけど、何から手をつければ良いんだろう……」「これって自分がやっても良いのかな?」などと迷っているうちに時間が経ち、なかなか行動できないようです。
「自分から行動するべき」ということは分かっているものの、まだ実践できていない状態であるといえます。
(3)自分の役割を理解できていない
自分の役割を理解できていないというのも、自発的に動けない人に見られる特徴の1つです。
どのようなことが求められているのか理解できていないと、取るべき行動も分からないもの。
そのため、人から指示をもらえるのを待ってしまうのです。
自発的に動けない人への接し方
では、部下などに自発的な行動をしてもらうには、どうすれば良いのでしょうか?
ここからは、自発的に動けない人への接し方を紹介します。
(1)自発的に動いてほしい理由を説明する
前述したように、そもそも「自分で考えて動く」という発想がない人もいます。そのような人には、まず「自発的に行動してほしい」と伝える必要があります。
とはいえ、「自分で考え、進んで行動する」ということは、なかなか難しい場合も。それをいきなり「やってくれ」と言われても、受け入れにくい人はいるでしょう。
そのため、なぜ自発的に動いてほしいのか、理由もしっかり説明することが大切です。
(2)具体的な目標を設定してもらう
自発的に動いてもらうには、具体的な目標を設定してもらうのも良いでしょう。
自分はどうなりたいのか、何をしたいのかがはっきりすれば取るべき行動も見えてくるはずです。
また、目標ができることでやる気がアップし、自分からアクションを起こすモチベーションも生まれやすくなると考えられます。
目標が曖昧だと結局何をすれば良いのか分からなくなりがちなので、「いつまでに」「どんなスキルを身につけていたいか」「そのために直近で達成すべきことは何か」といったレベルで具体的に決めることが大切です。
(3)相手に期待する役割を伝える
相手に期待する役割を明確に伝えることで、自発的な行動を促せる可能性もあります。
先ほど述べたように、自分の役割を理解できていないせいで、主体的な行動ができない人も。
そのような人には、相手が部署や会社の中でどのような役割を担っているのか、どのような行動を期待しているのか、例も交えつつ伝えることが効果的だと考えられます。
また、「あなたに期待している」「自信を持ってほしい」ということも併せて伝えると、自信がなくて行動できない人の背中を押すことができるでしょう。
自発的になれないことには理由がある
自発的に行動できないことには、「自信がない」「失敗が怖い」など、何らかの理由があります。
もし「自発的な行動ができていないな」と感じる人がいるなら、まずはどうして動けないのか、その理由を探りましょう。
理由が分かったら、その人に合わせた対応をしてみてください。
例えば、そもそも「能動的に動く」という発想がない人には「自発的に仕事をしてほしい」と伝える、やるべきことが分からなくて行動できない人には役割をきちんと伝える、など。
そうすれば、少しずつ行動してくれるようになるかもしれません。
(aoi okamoto)
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