エクセルのプルダウンを設定する方法とは? 使い方&解除方法を解説
エクセルでプルダウンを作成すれば、入力が省力化されるだけでなく、入力ミスを減らすこともできます。入力項目の制限をかけることもできるため、共同作業でも簡単で便利です。本記事ではプルダウンの作成や編集・項目の追加などについて分かりやすく説明します。
エクセルでデータ入力の際に、同じデータを何度も入力しなければならず時間をかけた経験はありませんか? データが一種類ならコピペで対応できますが、種類が多いと手入力も大変です。
そんな時、あらかじめプルダウンメニューを作成しておけば、データ一覧から選ぶだけで良いので、作業効率も大幅にアップしますよ。
この記事では、プルダウン作成の手順を図とあわせて解説します。メニューの編集や削除なども説明しますので、ぜひ参考にしてくださいね。
プルダウンって何? どんな時に便利なの?
プルダウンとは何か、また「ドロップダウン」や「ドロップダウンリスト」との関係について、最初に整理しておきましょう。
プルダウンとは
プルダウンとは、あらかじめ作成しておいたリストの中からデータを選んで入力する方法です。
1つ1つ入力する代わりに該当するものを選ぶだけで良いので、入力の手間が省けます。
プルダウンとドロップダウンリストは違う?
人によっては「プルダウンメニュー」「プルダウンリスト」とさまざまな呼び方をします。
またMicrosoftサポートでは「ドロップダウン」「ドロップダウンリスト」と表示されていますが、基本的にいずれも同じものです。
【基本編】プルダウンの作成手順
ここではリストを作成してプルダウンを作成する方法を説明します。
このリストを作成する方法だと、後からリストの項目を増やしても、簡単に反映されて便利です。
STEP1:プルダウンに表示するリストを作成する
最初にリストを作成します。
ワークシートのどこでも良いので、下図のようにリストを作成してください。
STEP2:「データの入力規則」をクリック
プルダウンを表示したい場所を選びます。続いて、メニューの「データ」より、「データの入力規則」をクリックしましょう。
STEP3:入力値の種類で「リスト」を選択
出てきたポップアップメニューで「設定」をクリック。入力値の種類から「リスト」を選択します。
この時、「空白を無視する」「ドロップダウンリストから選択する」はチェックを入れたままにしておきましょう。
STEP4:「元の値」の右端にある「↑」をクリック
SETP3で「リスト」を選択すると「元の値」というタブが表示されます。それの右端にある上向きの矢印をクリックしましょう。
STEP5:「元の値」にリストを作成したセルを表示させる
シフトキーを押しながら作成したプルダウン項目をクリックすると、「元の値」に選択したセルが表示されます。
最後に「OK」をクリックすると、プルダウンリストが作成されますよ。
プルダウンの項目を編集したい時は?
プルダウンの項目を追加したり削除したりしたい時は、リストを編集することで、簡単に追加や削除ができます。
ここではリストに静岡県と長野県を加え、「元の値」の範囲を変更しました。
プルダウンにも追加した「静岡県」「長野県」が含まれているのが分かります。
入力時&エラーメッセージを作成する時は?
共同作業で他の人に入力してもらう場合には、入力時のメッセージやエラーメッセージがあると親切です。
入力時メッセージの作成方法
まずは、リストのセルを選択した状態で、メニュー「データ」から「データの入力規則」をクリックして、「入力時メッセージ」のタブを選択し、「セルを選択したときに入力時メッセージを表示する」にチェックを入れます。
次に、タイトルと入力時に表示されるメッセージを記入します。
すると上の図のようにメッセージが表示されます。
エラーメッセージの作成方法
エラーメッセージも同様に作成することができます。
まずは、リストのセルを選択した状態で、メニュー「データ」から「データの入力規則」をクリックして、「エラーメッセージ」のタブを選び、「無効なデータが入力されたらエラーメッセージを表示する」にチェックを入れます。
例えば上記の図のように、「スタイル」から「停止」「注意」「情報」のいずれかを選び、タイトルとエラーメッセージを入力します。
エラーメッセージを設定しておくと、プルダウン以外の言葉を入力した場合に、エラーメッセージが表示されます。
入力時メッセージもエラーメッセージも必要ないと思ったら、チェックを外してください。その場合はメッセージは表示されません。
【応用編その1】プルダウンを連動させる方法
データを入力する場合に、プルダウンメニューを連動させたい場合があります。
例えば、「野菜」項目なら「玉ねぎ、じゃがいも、人参」の中から、「果物」項目なら「リンゴ、バナナ、ブドウ」の中から、「肉」項目なら「牛肉、豚肉、鶏肉」と選ぶことができると、一層入力が効率的になりますよね。
ここではそんなプルダウンの連動のさせ方について説明します。
STEP1:項目別リストを作成し、連動元の名前をつける
最初に項目ごとのリストを作成します。
次にリストの連動元(上図の緑の部分)の名前を定義します。
使用する項目を全て選択した状態(上図の場合は緑の部分全て)で、メニューの「数式」から「名前の定義」を選び、項目の名前を設定します。ここでは仮に「商品エリア」と設定しました。
STEP2:連動元のプルダウンメニューを作成する
続いて、商品エリアの「野菜」「果物」「肉」のプルダウンメニューを作成します。
使用する全ての項目を選択し、メニュー「数式」から「選択範囲から作成」を選びます。ポップアップウィンドウの「左端列」にチェックを入れます。
STEP3:連動元のプルダウンメニューを作成する
①連動したプルダウンメニューを作成するために、まずは簡単な表を作成します。そして、プルダウンを作成するセルをクリックします。
②メニュー「データ」より「データの入力規則」をクリックし、「設定」の「入力値の種類」から「リスト」を選択します。
③「元の値」のダイアログボックスをクリックします。
④メニューの「数式」より「数式で使用」をクリックします。するとプルダウンメニューが表示され、その中の先ほど作成した「商品エリア」を選びます。
すると、下図のように「元の値」のダイアログボックスに「=商品エリア」と表示されます。
これで「商品エリア」にプルダウンメニューが作成されました。
STEP4:連動するプルダウンメニューを作成する
続いて、商品カテゴリーに連動する商品名のプルダウンメニューを作成していきます。
まずは、入力したいセルを選択にし、メニュー「データ」から「データの入力規則」をクリックし、「設定」タブより「入力値の種類」直下の「リスト」を選択します。
「元の値」のところに「=INDIRECT(参照元のセル)」を入力します。この場合、参照元となるのは「野菜」である「G2」なので、「=INDIRECT(G2)」としました。
「OK」ボタンを押すと、「元の値はエラーと判断されます」という表示が出ますが、気にせず「はい(Y)」をクリックしてください。
このように、「商品エリア」をプルダウンで選ぶと、下の商品名もそれに合わせたプルダウンが表示されます。
【応用編その2】関数でプルダウンを自動入力させる方法
例えば商品と価格など、項目とデータが1対1で対応している場合は、最初の項目をプルダウンメニューで選ぶと、項目に対応するデータを自動で入力させることができます。
STEP1:プルダウンの元のデータを作成する
まず最初に、入力の対象となる商品の料金表を作成します。
次に、この料金表に名前を定義します。料金表の商品名と価格の範囲を選択し、エクセルメニューの「数式」より「名前の定義」へと進みます。
ダイアログボックスに「料金表」と名前をつけ、この定義が当てはまる範囲を設定します。
ここでは同一シート(Sheet4)内に受注表を作成するので、Sheet4を選びました。参照範囲として、選択したA2からB7の範囲が絶対参照されています。OKをクリックすれば完成です。
STEP2:プルダウンを作成する
連動したプルダウンメニューを作成するために、まずは簡単な表を作成します。上記の図では「受注シート」という見出しで、「商品名」「価格」(ピンクのセル)を作成しました。
「商品名」の1つ下のセルに商品名のプルダウンを作成します。メニュー「データ」の「データの入力規則」から、「設定」タブの「入力値の種類」より「リスト」を選択します。
続いて、「元の値」に表の範囲を指定します(上図では商品名「A~F」)
次に、「商品名」に連動して、価格が自動表示されるようにします。
最初に、価格を挿入したい部分のセルをクリックし、アクティブにします。
そこに以下の数式を挿入します。
=VLOOKUP(検索値,参照範囲,列番号,検索方法)
ここで使用したVLOOKUP関数は、指定した範囲から指定したデータを検索して取り出すという関数です。
「検索値」とは、指定した検索値のことです。ここではセルA11の「商品A」の価格を料金表から検索するので「A11」が入ります。
「参照範囲」とは、価格を知るために参照する範囲です。ここではあらかじめ「料金表」を定義していたのでそれを使います。定義していない場合は「$A$2:$B$7」と範囲を指定することもできます。
「列番号」は「参照範囲」の何列目を参照するかを指定します。ここでは2列目なので、「2」を入れます。
最後に検索方法として、「完全一致」を意味するFALSEを入力します。
この数式を入力し、ENTERキーをクリックすれば、自動で100という数字が入力されます。
次に、そのセルをコピーし、必要な場所(例ではB12, B13, B14…)とペーストします。商品名が空欄であれば「#N/A」が表示されますが、プルダウンで商品を選ぶと、価格が自動で入力されます。
【応用編その3】プルダウンリストを色づけする
プルダウンリストの中からある値を選択した時に、項目を色づけしておくとより見やすいシートになります。
ここでは、基本編で作成したプルダウンリストの中から「東京都」を選択した場合にセルが赤く色づくように設定してみましょう。
STEP1:色を変更したい列を選択
まずは、プルダウンリストが表示されている列を選択します。続いて、メニューバーで「ホーム」をクリックしましょう。
STEP2:「条件付き書式」を選択
ホームをクリックすると表示される「条件付き書式」をクリック、選択項目で、「ルールの管理」を選択します。
STEP3:新規ルールを作成
表示されたポップアップメニューで、「新規ルール」を選択します。
続いて「指定の値を含むセルだけを書式設定」をクリックます。
左から順に「特定の文字列」「次の値を含む」に設定します。今回は、「東京都」を選択したタブを赤く色づけしたいので、最後に③へ「東京都」と入力します。
続いて「書式」をクリックしましょう。
セルの書式設定で「塗りつぶし」を選択。背景色を選んでサンプルを確認したら「OK」をクリックします。
表示された画面で「OK」をクリック、最後にもう一度「OK」を押しましょう。
これで、新規メニューが作成されました。今回は東京都のみを色づけしましたが、例えば神奈川県は青に、千葉県は緑に……など他の項目を別の色で表示させたい時は、この作業をもう一度繰り返します。
作成したプルダウンを解除&削除する方法は?
作成したプルダウンリストを解除したり削除したりする場合は、以下の手順で設定を行いましょう。
STEP1:プルダウンリストが表示されているセルを選択
まずは、プルダウンリストが表示されているセルを選択します。
STEP2:データの入力規則から設定
メニューバーで「データ」を選択。表示されたメニューから「データの入力規則」をクリックします。
ポップアップメニューで「すべてクリア」、「OK」の順にクリックすると、プルダウンリストが解除されます。
STEP3:プルダウンリストが解除されているか確認
最後に念のため、プルダウンリストが解除されているかを確認しておきましょう。セルをクリックして、右側に「▼」が表示されなければOKです。
プルダウンをショートカットキーで表示させる方法
ちなみに今回ご紹介したプルダウンリストは、ショートカットキーを使うと簡単に項目を表示させることができます。
やり方は以下の通り。
パソコンのキーボードで「Alt+↓」を押す
やり方は簡単です。入力したいセルを選択し、キーボードでAlt+↓を押します。
あとは、↑または↓を押すと項目を上下に移動できますよ。
プルダウンが表示されない時の対処法
最後に、作成したはずのプルダウンが表示されない時の対処法を見ていきましょう。
プルダウンリストを設定したはずなのに、セルに「▼」が表示されない場合、正しくプルダウンが作成されていない可能性があります。
STEP1:データから「データの入力規則」を選択
メニューバーでデータを選択。「データの入力規則」を開きましょう。
STEP2:「ドロップダウン リストから選択する」にチェックが入っているか確認
表示されたポップアップメニューで、「ドロップダウン リストから選択する」にチェックが入っているか確認しましょう。
ここでチェックが入っていない場合、プルダウンリストが表示されません。チェックを入れ忘れていた場合は、チェックを入れると改善されます。
プルダウンメニューを使って作業を効率化させよう
本記事では、基本的なプルダウンメニューの作成と、2つの応用方法について説明しました。
リストを使ったプルダウンメニューであれば、リストの項目をどんどん増やせますので、ぜひ使ってみてください。
エクセルで「○○関数」というと難しそうに聞こえますが、本記事の応用編ではINDIRECT関数とVLOOKUP関数を使っています。
必要な作業に併せて少しずつ関数の使い方にも慣れていけると良いですね。
(小坂井さと子)
※画像はイメージです