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「誠に勝手ながら」の意味とは? 使い方や類語を解説(例文つき)

上色ゆるり

「誠に勝手ながら」の意味をきちんと把握していますか? 今回は、ビジネスでもよく使われる「誠に勝手ながら」について、例文つきで解説します。類語や英語での表現も覚えて、正しく使いこなせるようになりましょう。

「誠に勝手ながら」というフレーズは、ビジネスシーンに限らず、お店や施設のサイト、お知らせなど、日常生活でもよく使われている言葉です。

しかし、どんな意味なのか、どのように使えば良いのか曖昧という人も少なくないはず。馴染み深い言葉であるがゆえに、今さら周りに意味を聞きにくいこともあるでしょう。

そこで今回は、「誠に勝手ながら」の意味と使い方について解説します。

ビジネスで使う場合の注意点や言い換え表現なども紹介するので、「正しく使えているか不安」という人はぜひチェックしてみてくださいね。

「誠に勝手ながら」とはどういう意味?

「誠に勝手ながら」とは、「自分の勝手な判断であるにも関わらず」「自分の都合によって迷惑を掛けてしまうことではあるが」という意味が含まれている言葉です。

相手に対し何かをお願いする時に使われるフレーズで、依頼する事柄が自分の都合によるものである、ということを相手に伝えるために使われます。

「クッション言葉」と呼ばれる部類の1つで、こちらの言葉は単体では使いません。「誠に勝手ながら〜お願い申し上げます」というように、必ず後に文章が続きます。

クッション言葉とは?

クッション言葉とは、言葉の伝わり方、印象を変えるために、文章の前に添えることで言葉のこと。

依頼をする時や断りを入れる時などに、相手に嫌な思いをさせないようへりくだって言うために使います。

「誠に勝手ながら」以外にも、「大変恐縮ですが」「もしよろしければ」「お手数をお掛けいたしますが」などさまざまなクッション言葉があります。

コミュニケーションを円滑にするため、ビジネスではよく使われるフレーズなので、ぜひ覚えておきましょう。

【シーン別】「誠に勝手ながら」の正しい使い方(例文つき)

「誠に勝手ながら」はどのよう時に、どう使えば良いのでしょうか。

ここからは、「誠に勝手ながら」の正しい使い方を例文つきで解説していきます。

お願いする場合

「誠に勝手ながら」は、相手に何かをお願いする言葉に添えて多く使われています。

具体的な例としては、自分の勝手な判断による行動を許してほしいとお願いする時、自分の都合で変更した事柄に対応してもらうようお願いする時などの状況が挙げられます。

それでは例文をいくつか紹介します。

例文

誠に勝手ながら、当店の営業時間を来月より○時〜○時へと変更させていただきます。

・ご本人様に直接確認する必要があったため、誠に勝手ながらご連絡させていただきました。

誠に勝手ながら、現在新サービスの開発中であるため、少々お待ちいただきますようお願い申し上げます。

お断りする場合

相手に頼まれ事をしたが、どうしても断らなくてはならない場合、申し訳ない気持ちになりますよね。「断ったら相手が気を悪くしてしまうかもしれない」と心配になるでしょう。

そのような時、相手に対する配慮を表すため「誠に勝手ながら」が使われます。断りの言葉の前に添えることで、申し訳ない気持ちが相手に伝わりやすくなります。

それでは例文を紹介します。

例文

・再開を希望するお声を多数いただきましたが、誠に勝手ながら当サービスを再開する予定はございません。

誠に勝手ながら、本件に関するお問い合わせへの返答は控えさせていただきます。

・あいにく先約がございますので、誠に勝手ながら今回はお断りさせていただきたく存じます。

休み・欠席の連絡をする場合

「誠に勝手ながら」は、自己都合による休み、欠席を連絡する場合にも使わています。

例えば、体調不良で仕事を休む時や、どうしても都合がつかずイベントに参加できない時は、責任者に連絡する必要があります。

そのような場合に「誠に勝手ながら」を添えると、「本当は出勤、出席したいのにできない」という、参加することに前向きな姿勢を示すことができます。

「お休みさせていただきます」と一言伝えるよりも好印象なので、ぜひ言い回しを覚えておきましょう。

例文

誠に勝手ながら、本日体調不良のため欠席させていただきます。

誠に勝手ながら、来週の展示会は不参加とさせていただきたく存じます。

誠に勝手ではございますが、ご了承のほどよろしくお願い申し上げます。

休業・閉店のお知らせをする場合

「誠に勝手ながら」というフレーズは、施設や店が休業する場合、閉店する場合によく使われています。

店や施設は、全ての顧客に承諾を得てから休業、閉店することはほぼ不可能です。よって休業、閉店は、どうしても店や施設の勝手な都合で決まることとなります。

そこで、顧客を尊重しつつ自分たちの都合を丁寧に伝えるために、「誠に勝手ながら」という言葉を添えて休業、閉店のお知らせをすることがあります。

例文

誠に勝手ながら、当店は今月末をもって閉店とさせていただきます。

・○月○日は当サービスメンテナンスのため、誠に勝手ながら休業いたします。

誠に勝手ながら、下記の店舗を臨時休業とさせていただきます。

退職時のあいさつとして

「誠に勝手ながら」という言葉は、退職時のあいさつとしても取り入れられています。

「自分の勝手で迷惑を掛けてしまって申し訳ない」という謙虚な姿勢が伝わる言い回しで、職場の人に向けたメールや手紙の言葉として添えられることが多いようです。

例文

・一身上の都合により、誠に勝手ながら○月○日をもって退職させていただきます。

誠に勝手ながら、○月○日付で退職いたしたく存じます。

「誠に勝手ながら」を使う時の注意点

ここからは、「誠に勝手ながら」を使う時の注意点を解説していきます。

相手に失礼になる言葉遣いを避けるため、注意すべきことについても押さえておきましょう。

目上の人に対して使える? より丁寧な表現とは

「誠に勝手ながら」という言葉はへりくだった丁寧な印象で、目上の人に対しても使うことができる言葉です。

「誠」は「真心」を指す漢字であり、「誠に」という言葉をつけることで、誠意のある姿勢を表しています。よって、「誠に勝手ながら」は目上の人に対して使っても失礼になりません。

ただし、「勝手ながら」という部分でややくだけた印象がある、という意見も。より丁寧に言い表したい場合は、「誠に勝手ではございますが」「誠に勝手なお願いではございますが」という言葉に言い換えると良いでしょう。

ビジネスメールで使う場合

上司や顧客、クライアントに向けて、何か伝えにくいことをお願いするメールでも、「誠に勝手ながら」を使うことができます。

催促をする時や依頼をする時でも、相手に命令するような印象を与えずに済むため、積極的に使ってみましょう。

ただし、頻繁に使いすぎるとしつこく聞こえたり、回りくどく聞こえたりしてしまいます。

丁寧な印象を与えるどころか、むしろ誠意のない態度に見えてしまうので、1通のメールで1回までに留めるなど、多用しないよう注意しましょう。

「誠に勝手ながら」の言い換え表現は?

「誠に勝手ながら」には、似たような場面で使うことのできる、言い換え表現がいくつかあります。

先に解説した通り、「誠に勝手ながら」は多用すると良くない印象を与えてしまう場合もあるので、他の言葉に言い換えられるよう、類語もチェックしておきましょう。

「誠に恐れ入りますが」

「誠に恐れ入りますが」とは、「相手に迷惑を掛けてしまって本当に申し訳ない」というニュアンスがある言葉。

伝えにくいことを、誠意を持ってお願いするために使われることが多く、「誠に勝手ながら」と似たシーンで使われています。

「ご面倒をお掛けしますが」

何かしらの行動をしてもらうよう、相手にお願いをする時は「ご面倒をお掛けしますが」というクッション言葉が使われます。

相手の手を煩わせてしまうことに対する「申し訳ない」という詫びの気持ちが伝わる言葉です。

「お手数をお掛けしますが」

「ご面倒をお掛けしますが」と同様、「手間を掛けることになってしまい申し訳ないが、お願いしたい」という気持ちを伝える言葉として、「お手数をお掛けしますが」という表現もあります。

相手の時間や労力を奪ってしまうような依頼をする時に使われている言葉です。

「勝手を申し上げますが」

「勝手を申し上げますが」とは、自己都合による勝手な行動、発言に対し、相手に理解してもらえるようお願いする言葉です。

自分勝手な判断であることを表明する「誠に勝手ながら」と似たニュアンスがあり、言い換え表現として活用されています。

正しい使い方をマスターしよう

相手に迷惑を掛けてしまうが、どうしてもお願いしなくてはならない、というシチュエーションに遭遇することは多々あります。

そのような時に、「誠に勝手ながら」という言葉を上手に使いこなすことができれば、相手が快く引き受けてくれる可能性が高まるはずです。

スマートにやりとりするため、そして円滑な人間関係を結ぶため、ぜひ「誠に勝手ながら」という言葉の使い方をマスターしておきましょう。

(上色ゆるり)

※画像はイメージです

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