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「ご入用」とは? 意味や使い方&返し方

やまだ うめ

ビジネスシーンで広く使われている「ご入用」という言葉。一体どのような意味や成り立ちを持つ言葉なのでしょうか? 「ご入用」を正しく使うためのヒントとして、使い方や間違えやすい言葉を併せて紹介します。

ビジネスパーソンにとって、「ご入用」はとても馴染みの深い言葉です。

反面、その意味や使い方については曖昧なままという人も少なくありません。
今回は、具体的な使い方や間違えやすい言葉など、「ご入用」を正しく使いこなすためのヒントを紹介します。

自分が使う立場の時、使われる立場の時、きっとどちらのシチュエーションでも役立つはずですよ。

「ご入用」の意味

「ご入用」とは、そもそもどのような意味を持つ言葉なのでしょうか? 使われる主なシチュエーションや成り立ちと一緒に見ていきましょう。

「ご入用」の意味

「ご入用」は「ごいりよう」と読みます。

買い物で会計をしようとした際、お店のスタッフから「他にご入用の物はございませんか?」と尋ねられた経験がある人も多いのではないでしょうか。

意味は目上の人に対する「必要ですか?」

上記の例からも分かるように、「ご入用」は、自分よりも立場が上の人に対し、必要だと思われるものについて尋ねる時に使われる言葉です。

その性質から、ビジネスに関わる場面で使われることが多く、「企業と企業」「客と店員」のような関係性の中で特に見聞きしやすい言葉と言えるでしょう。

なお、「ご入用」が使えるのは、あくまでもその物やサービスを自分が相手に提供できる場合に限ります。

例えば、急な雨の際、お客様に「傘はご入用ですか?」と尋ねられるのは、自分に傘の用意があるからに他なりません。自分が傘を用意できない立場であるにもかかわらず、「傘はご入用ですか?」と人に尋ねるのは、用法的に間違いです。

「目上の人に対し、自分が用意できるものについて使う」と覚えておくことが、スマートに「ご入用」を使いこなすための第一歩といえるでしょう。

「ご入用」の成り立ち

「ご入用」は、「必要であること」や「必要な状態」を表す「入用」に、尊敬や敬意を表す接頭語「ご」が合わさってできた言葉です。

辞書で「入用」の意味を調べると、以下の通り説明されています。

いり‐よう【入(り)用】
[名・形動]

1 必要であること。また、そのさま。にゅうよう。「旅行に入り用な品をそろえる」

2 必要な費用。入費。いりめ。

「余りがあれば塾舎の—にすることにして居ました」〈福沢・福翁自伝〉

3 大切なこと。重要。

「さあここが—の所でござります」〈鳩翁道話・三〉

(『デジタル大辞泉』小学館)

「入用」なら自分自身に対して使える

目上の人に対して使われる言葉「ご入用」。接頭語の「ご」が抜けた「入用」は、自分自身にも使えます。

「入用」の場合、基本的な意味は前述の通り「ご入用」と同じく「必要であること」「必要な状態」を指しますが、中でも多く見られるのがお金にまつわることを表現するシーンです。

「結婚が決まったので、何かと入用で……」のように、「必要なお金・経費」といった意味合いで使われることが多いでしょう。

「お金がいるという事実をはっきり言葉にすることなく遠回しに伝えたい」そんな場面でとても便利な言い回しと言えそうです。

「ご入用」の使い方

では、「ご入用」は実際にどのような形で使われているのでしょうか? 主な言い回しを例文と共に紹介します。

ご入用でしたら

「ご入用でしたら」は、「必要なら」を丁寧に伝える言い回しです。

「必要なら○○をどうぞ」と目上の人に向けて言うシーンで使える便利な表現と言えるでしょう。

例文

・袋がご入用でしたら、どうぞこちらをお使いください。

ご入用の際は

「必要な時は」を丁寧に言いたい時の表現が、この「ご入用の際は」です。「必要な時は○○にお任せください」という場面で使われる言い回しです。

例文

ご入用の際は、ぜひ私にお申しつけください。

ご入用のものがございましたら

「ご入用のものがございましたら」は、「必要なものがあったら」を丁寧に伝える言い回し。「必要なものがあったら○○してください」という文脈で多く使われる表現です。

例文

ご入用のものがございましたらいつでもご連絡ください。

「ご入用」と間違えやすい言葉

「ご入用」には、使われ方が似ているために間違われやすいいくつかの言葉が存在します。

曖昧なまま使った結果、恥をかいてしまうといったことのないように、ここでしっかりと整理しておきましょう。

ご利用

「ご入用」と間違われやすい言葉として、まず挙げられるのが「ご利用」です。

「領収書はご入用ですか?」と「領収書はご利用ですか?」とでは、どちらでもいいように聞こえますが、実はこの場合、「ご利用」は厳密には正しくありません。

というのも、「ご利用」は「利用すること・使うこと」を前提として用いられる言葉だからです。

領収書は、経費の計上などのために必要な物ではありますが、それ自体を利用したり、使ったりする物ではありません。

耳で聞いた場合、音が近いためついつい間違えてしまいがちな「ご入用」と「ご利用」。その違いを理解しておくと、万が一のうっかりミスを防ぐことができるでしょう。

ご所望

「ご所望のお品は、一両日中にご用意いたします」などで使われる「ご所望」も、「ご入用」と間違えやすい言葉の1つです。

これは、「ご入用」「ご所望」共に「○○が欲しい」と何かを望む気持ちが背景にあることに大きな原因があると言えるでしょう。

しかし、「ご所望」が意味するのは、あくまでも「望むもの」です。ご入用が意味するところの「必要なもの」ではありません。

人によっては「細かな違いだな」と感じるかもしれませんが、こうした些細なニュアンスの違いによって相手に与える印象は大きく変わってしまうものです。

特に普段からビジネスで「ご入用」や「ご所望」を使う機会が多い人は、頭の片隅に留めておくといいでしょう。

「ご入用ですか?」と聞かれた時の断り方

自分が「ご入用ですか?」と尋ねられた際、「特に必要はないけれど、その旨をどう伝えれば良いのか分からない」「ご入用の反対って何だろう?」と戸惑った経験はありませんか?

「ご入用」の反対の意味を持つ言葉や、実際に「ご入用ですか?」と尋ねられて断る際におすすめな言い回しをチェックしていきましょう。

反対の意味を持つ言葉は「不用」「不要」「無用」

「ご入用」の反対の意味を持つ言葉には、「不用」「不要」「無用」などがあります。

それぞれ「必要がないもの」「いらないもの」を意味する言葉なので、必要なものを意味する「ご入用」とは正反対の意味を持つ言葉と言えるでしょう。

これらの言葉をそのまま使うのはNG

とはいえ、「ご入用ですか」と尋ねられて断る時に、これらの言葉をそのまま選ぶのはおすすめできません。

「不用」「不要」「無用」には、「必要がないもの」「いらないもの」というはっきりとした意味があります。

従って、「不用です」「無用です」と丁寧に伝えたとしても、意味合いとしては「それは必要ありません」「いりません」となるだけに、やや不遜な印象を与えることは避けられないでしょう。

断る時は「間に合っています」「お気遣いなく」

こうした事態を防ぐためにおすすめなのが「間に合っています」や「お気遣いなく」といった言い回しです。

相手への配慮を忘れないすてきな言葉を選ぶことで、あなた自身の評価もグッと高まることになるでしょう。

ビジネスシーンで役立つ「ご入用」をマスターしよう

「ご入用」は、ビジネスシーンで日常的に使われる言葉です。

お客様への対応で使うのはもちろんのこと、自分が客として使われる立場になることもあるでしょう。「ご入用」の正しい使い方を知ることは、一社会人としてのあなたの評価を上げることにもつながります。

ぜひ今回の記事を参考に、「ご入用」を自信を持って使いこなしてみてくださいね。

(やまだうめ)

※画像はイメージです

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