「是正」の意味とは? 使い方&「訂正・修正・改善」との違い
「是正」の読み方や意味を知っていますか? 今回は「是正」という言葉の正しい使い方を例文と共に解説。「是正処置」「是正勧告」などの関連用語や、類語表現についても詳しく解説します
ニュースや新聞などで見かけることの多い、「是正」という単語。しかし、普段の生活ではほとんど使うことがないため、「どういう意味か分からない」という人も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、「是正」の意味について解説していきます。
また、正しい使い方や、混同してしまいがちな「訂正」「改善」「修正」との違いなども紹介。
間違って覚えて大事なシーンで恥をかかぬよう、「是正」について正しい知識を身につけておきましょう。
「是正」とはどういう意味?
“道理にかなっていること”を表す「是」と、”正しいこと”を表す「正」を組み合わせた「是正」は「ぜせい」と読み、間違っていることや、不都合のあることを正す、という意味の単語です。辞書では以下の通りに説明されています。
ぜ‐せい【是正】
[名](スル)悪い点や不都合な点を改め正すこと。「不均衡を是正する」(『デジタル大辞泉』小学館)
是正は、悪い癖や生活習慣など、個人に関する事柄を正すというニュアンスではありません。社会のルールや会社の規則など、多くの人が関わるような、一般的な事柄を正すことを指す言葉だと意識しましょう。
「是正」の正しい使い方と例文
「是正」は、主にビジネスや政治において多く使われる単語。特に企業内での連絡や通達、政治に関する記事やニュースなどで頻繁に登場し、「是正する」「是正される」などのような使い方が一般的です。
その他、是正によって自分に何らかの影響あった場合に使う「是正を受ける」や、是正して欲しいと訴える際に使う「是正を求める」などのような使い方もできます。
では実際に、どのような場面で使われるのでしょうか。例文を用いて、具体的なシチュエーションを解説していきます。
(1)悪い状況を正す時
ビジネスでも政治でも、何かしらの悪い状況を改善する措置のことを「是正」と呼びます。
悪い状況とは具体的に、会社が規約に反した時、組織が社会に悪影響を及ぼすことをしている時、法律に反する行いをした時などが例として挙げられます。政治業界では、政治または政治家が国民にとって好ましくないことをしている状況を改善する時に「是正」という表現が使われる例があります。
ただし、「現在の状況でも悪くないが、より良くするためにルール変更する」ということは、是正と呼びません。あくまで「是正する」とは、悪い状況を良くする時に使われる言葉なので注意しましょう。
それでは、具体的な例文を紹介します。
例文
・社員から、長時間労働の是正を求める声が相次いでいる。
・問題が是正されるまでは、営業を停止するとのことだ。
(2)不平等なことを正す時
組織や社会に格差が生まれた時、平等にするために行う措置を「是正」と指す場合もあります。主に、政治関連の事柄で使われる表現ですが、ビジネスシーンでも頻繁に登場します。
例えば、労働環境や収入に格差があり、社員が不平等な状態にある時。政治においては、地域によって所得や資産の差がある時などが挙げられます。そのような場面で、不平等をなくすため是正されることがあります。
それでは具体的な例文を紹介していきます。
例文
・正社員と派遣社員では収入の格差があり、適切に是正する必要がある。
・Aさんは、地域ごとに生まれた社会的不平等を是正すべきと主張している。
・資産の差を是正するために、今回の改定案が可決された。
「是正」を用いた用語の意味
「是正」を用いた関連用語も多数存在します。「是正する」と同じように頻繁に使う単語もあるので、ぜひチェックしておきましょう。
是正処置
「是正処置」とは、一度起きた不具合が再び起きないよう、防止するために行う処置のこと。主に、ビジネスシーンで多く使われる言葉です。
商品やサービスに不具合が起きたら、なぜそのようなことが起こったのか、根本から見直す必要があります。そして解決策を見つけて実行し、再び不具合が起きないか検証します。
不具合の再発防止のために原因追及から実験、検証まで行う処置をまとめて「是正処置」と言います。
是正勧告
「是正勧告」とは、労働基準法などを法令違反をしている組織や企業に対し、是正するよう要求する制度のこと。労働基準監督官が調査を行い、違反が見つかった際に出される勧告です。
例えば不当な長時間労働や、安全基準に満たない業務内容などが違反の内容として挙げられます。
是正報告書
企業は是正勧告を受けた後、きちんと是正したことを証明するために、報告書を提出する必要があります。そのような報告書のことを、「是正報告書」と呼びます。
是正内容だけでなく、違反内容や会社の情報など、細かく明確に記載する必要があります。「是正勧告」という単語と共に、ニュースなどでは頻繁に耳にする単語なので、ぜひ覚えておきましょう。
格差是正
「格差是正」とは、格差をなくし、平等になるよう正すことを意味する言葉です。「格差を是正する」を単語としてまとめた用語になります。
社員の所得格差や、地域ごとの資産格差、等級の格差など、対象となる事柄はさまざま。経済的な不平等を指すこともあれば、社会的な不平等を指すこともあり、ビジネスでも政治でも多く使われています。
類語との違い
ここからは、「訂正」「改善」「修正」といった、「是正」と似た言葉の意味やニュアンスの違いについて見ていきましょう。
「是正」と「訂正」の違いとは?
「訂正」とは、言葉や文章などの間違っている部分を正すことを意味する単語。新聞やニュースなどで誤った表現があった場合や、ビジネスで使う書類に間違った表記があった場合などに使われる言葉です。
対する「是正」とは、悪い状況を正すことを意味する単語。
どちらも間違いを正す、誤りを正すといった意味がありますが、文字を対象とするのか、状況を対象とするのかによって使い方が変わるので注意しましょう。
「是正」と「改善」の違いとは?
「改善」とは悪い所を改めること、より良くするよう努めることを意味する言葉。
悪い所を改めるという意味では「是正」と共通していますが、「改善」には「現在でも悪くはないが、より良い方向へ向かうよう改める」という意味も含まれます。
対する「是正」は悪い所を直す、正すという意味。
「是正」はネガティブなニュアンスで使われることが多いですが、「改善」にはポジティブなニュアンスも含まれているということを覚えておきましょう。
「是正」と「修正」の違いとは?
「修正」には、「是正」と同じく「悪い点を改める、正す」という意味があります。
しかし、「修正」には悪い所を直すだけでなく、不十分な所、不適当な所を改善するといったニュアンスも含まれます。
また、単純に悪い所だけを正す時は「是正」を使い、悪い所以外の部分も良くしようと改める時は「修正」を使います。
難しい言葉も少しずつ覚えていこう
ビジネスやニュースでは、日常会話ではあまり使われない言葉が登場しますよね。堅苦しいと感じるだけならまだしも、内容が理解できず、苦手意識があるという人も少なくないでしょう。
しかし、少しでも知っている言葉が増えれば、情報を読み取る力、収集する力が高まります。その結果、知識の幅が広がるのはもちろん仕事の内容を把握しやすくなったり、やり取りがスムーズになったりと、ビジネスでも役立つはずです。
今回解説した「是正」も、覚えておくといざという時に便利です。少しずつでも良いので、ぜひ難しい言葉も避けずに勉強してみてくださいね。
(上色ゆるり)
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