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「やぶさかではない」の意味とは? 使い方と例文言い換え表現

上色ゆるり

「やぶさかではない」の意味とは? 使い方を例文と共に解説。また、「まんざらでもない」と違いはある? 言い換え可能な類語表現を覚えて、言葉を正しく理解しましょう。

本を読んでいたり、情報収集をしていたりすると、「やぶさかではない」という言葉に出会うことがありますよね。

普段の会話ではなかなか使われない言葉なので、聞いたことはあってもいまいちどういう意味か分からない、という人も多いのではないでしょうか。

そこで今回は、「やぶさかではない」の意味や使い方について解説していきます。

間違えやすい表現との違いについても紹介しますので、ぜひ参考にしてみてくださいね。

「やぶさかではない」の意味とは

「やぶさかではない」は、元々漢字で「吝かではない」と書きます。

「吝か」とは、「ケチ」「物惜みする」「躊躇するさま」を指す言葉。

つまり、これに否定の表現を加えた「やぶさかではない」は、「ケチではない」「物惜みしない」「躊躇しないさま」といった真逆の意味になり、「できればやりたい」「喜んでする」といったニュアンスになります。

しかし、現在ではこうした本来のポジティブな意味合いに加え、「仕方なくやる」といった派生のネガティブな意味合いで使っている人も多くいるようです。

「やぶさかではない」の正しい使い方

「やぶさかではない」という言葉の意味を理解していても、使い方が分からなければ実用的ではないですよね。場に合わない使い方をしてしまったり、言い回しを間違ってしまったりする可能性もあるでしょう。

そこでここからは、「やぶさかではない」という言葉がどのようなシーンで使われ、どんな言い回しができるのか、使い方について解説していきます。

(1)積極的な姿勢や前向きな気持ちを表す

「やぶさかではない」は、先述した通り「物惜みしない」「躊躇しない」という意味ですが、会話では「喜んで○○する」「進んで○○する」「快く承諾する」といった意味で使われます。

「○○ではない」のような否定形の言葉は、表現が直接的ではないため、意味を間違って捉えてしまいがち。前述の通り「やぶさかではない」を「仕方なくやる」という意味で使っている場面も度々見かけます。

しかし本来はマイナスのイメージではなく、積極的に取り組む姿勢や快く引き受ける気持ちなど、プラスのイメージで使う言葉です。捉え方によって、会話や文章の意味合いがガラリと変わるので注意しましょう。

(2)かしこまったシーンで使う

「やぶさかではない」は、基本的にかしこまったシーンで多く使われる言葉。特にビジネスやニュース、新聞や記者会見などで頻繁に登場します。

日常生活でも使うことができますが、友人、知人とのフランクな会話では、少しかしこまった印象を与えることも。

「やぶさかではない」がどのような意味なのか知らない人も多くいます。話の意図が伝わりにくくなる可能性もあるので、使う時は相手と場の雰囲気を考慮しましょう。

「○○するに」「○○することに」と使う

「やぶさかではない」を「喜んで○○する」という意味で使う時は、「○○するに」「○○することに」と、動詞の後に「に」をつけて使うのが基本。

例えば、「協力するにやぶさかではない」「評価することにやぶさかではない」と使うことができます。

また、「やぶさかではない」を「快く承諾する」という意味で使う場合は、条件をつけて「○○ならば、やぶさかではない」という言い方ができます。通常であれば了承できないことに対し、条件つきであれば了承する、という意味で使われる表現方法です。

例えば、「部長の要望であればやぶさかではない」「御社の提案であればやぶさかではない」といった使い方ができます。

ちなみに「やぶさかではない」の語尾を敬語にする場合は、「やぶさかではありません」「やぶさかではございません」と言い換えると良いでしょう。

「やぶさかではない」を言い換えるなら? 類語表現

「やぶさかではない」はやや難しい表現なので、人によっては意味が伝わらないことも。

また、相手が理解しにくい言葉を使うと、「不親切だ」と思われてしまう場合もあるので、分かりやすい言葉に言い換えられるようにしておきましょう。

「やぶさかではない」の類語を例文つきで解説していきます。これらの言葉に言い換えて、分かりやすく伝えるのもいいでしょう。

喜んで○○する

「やぶさかではない」は、その意味の通り「喜んで○○する」と言い換えることができます。

頼まれごとに対して、快く引き受ける気持ちを表したい時、積極的に取り組む姿勢を示したい時に使われます。

それでは例文を紹介します。

例文

・この度御社がご提案くださった件に、喜んで協力させて頂きます。

・いつも気遣ってくれる彼女の頼みとあらば、喜んで引き受ける。

賛成する

「賛成する」は誰かの提案や意見に対し、認めることを意味する言葉。前向きな姿勢を表すという点で、「やぶさかではない」と共通しています。

例文をいくつか紹介しますので、参考にしてみてくださいね。

例文

・私も同じように感じていたので、あなたの意見に賛成です。

・アンケートを取ったところ、賛成意見が圧倒的に多かったため、今回はA案で決定を下す予定だ。

承知する

指示や意見、提案を認める、了承するという意味を持つ「承知する」。かしこまった表現なので日常会話ではあまり使われませんが、ビジネスシーンでは頻繁に登場します。

例文を参考に見ていきましょう。

例文

・1時間後に会議を開始することを承知した。

・常務に話を聞いてみたところ、自社は某取引先の要望を承知すると決断したそうだ。

快諾する

「快諾する」とは、頼まれごとや依頼に対し快く引き受けることを意味する言葉です。「やぶさかではない」と同じ意味合いなので、覚えておくと言い換えたい時に便利です。

それでは、例文を紹介していきます。

例文

・Aさんが快諾してくれたおかげで、今回のプロジェクトがスムーズに進行した。

・相手に快諾してもらうためには、提案の仕方に工夫が必要だ。

「やぶさかではない」と「まんざらでもない」の違いとは?

「やぶさかではない」と「まんざらでもない」は、語感も意味も似ており、よく間違えられやすいと言われています。

「まんざらでもない」とは、「必ずしも嫌ではない」「全く否定するわけではない」という意味。また、「かなり良い」というニュアンスも含まれており、ある事柄に対し、肯定する気持ちを表す言葉として使われています。

対する「やぶさかではない」は「喜んで〜する」を指す言葉で、「ある行動に対する積極的な姿勢」という意味も含まれています。

したがって、どちらも頼まれごとや意見を受け入れる姿勢である、ということに変わりないと言えます。

英語で「やぶさかではない」を表現するなら?

仕事で海外の人とやりとりすることもありますよね。そのような時のために、「やぶさかではない」の英語表現もチェックしておきましょう。

英語での「やぶさかではない」には、

・「be happy to 〜」

・「be glad to 〜」

・「I would love to 〜」

・「let me 〜」

などがあります。

「be happy to 〜」「be glad to 〜」は、「喜んで〜する」という意味。頼まれごとに対して、「喜んで引き受けます」という意思を伝える時に使われます。

「I would love to 〜」は、ある事柄に自分は前向きに取り組みたいという意思を伝える時に使われる表現です。「ぜひ〜したい」と訳されるケースが多いです。

また、「let me 〜」は、「ぜひ〜させてください」という意味。自分にやらせてほしい、と相手にお願いする時に使うことができます。

正しい使い方をマスターしよう

日本語にはさまざまな表現の仕方があり、まだまだ知らない言葉も多いですよね。

「やぶさかではない」も、普段の会話ではほとんど使う機会がないため、意味を知らなかったという人や間違って覚えていたという人も少なくないでしょう。

しかし間違って覚えたまま使ってしまうと、いざという時に恥をかいてしまいます。ビジネスシーンであれば、仕事の内容を把握しきれなかったり正しく伝わらなかったりなど、支障をきたす場合もあります。

意味と使い方を正確に覚えて、大事な場面でも正しく使いこなせるようにしておきましょう。

(上色ゆるり)

※画像はイメージです

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