自己開示ができない! 苦手な人の特徴と自己開示の方法
自己開示とは、相手に自分の話をすること。自己開示には、コミュニケーションを円滑にする効果が期待できます。今回は、心理カウンセラーの服部希美さんが、自己開示をする方法を心理学的に解説。併せて自己開示をする人としない人の違いを紹介します。
「自己開示」とは、自分自身の情報をありのまま相手に話すこと。人と親しくなったり、恋愛や仕事を円滑に進めたりする時に有効です。
ですがこの自己開示には、苦手意識を持つ方が多いようです。そもそも自己開示は必要なのでしょうか?
このコラムでは、自己開示の意味や効果を解説し、自己開示の方法について紹介します。
自己開示とは? 自己開示で得られる効果
そもそも自己開示とは、「言葉」という手段を使って、自分の考えや気持ち、生い立ちや趣味など、自分自身の情報をありのままに伝えることです。
「あなたにだったら何でも話せる」「あなただからお願いしたい」と思われる存在になるためには、お互いに自己開示をし合って、信頼関係(心理学用語で「ラポール」といいます)を築いていくことが大切です。
そのために、まずは相手に自分をよく知ってもらうことが必要ですから、仕事や恋愛、対人関係において、自己開示はとても大切なコミュニケーションの一つなのですね。
自己開示をすることで、コミュニケーションにおいて以下のような効果が期待できます。
(1)相手があなたに好感を持ちやすくなる
人は、素性や考えていることが分からない人に対して、まず警戒心を抱きます。「どんな人なのだろう」「何が目的なんだろう」「もしかしたら自分を攻撃してくるのではないか?」と疑ってしまうのです。
そのため、あなたが率先して自己開示し、相手にとって分かりやすい人であるだけで、あなたに安心感や好感を抱きやすくなるのです。
(2)相手の情報を得やすくなる
私たちには「返報性の原理」と呼ばれる、「もらったものをお返ししたい」という心理があります。
つまり、あなたがありのままの自分を開示すると、相手もあなたの信頼に応えたいと感じ、自分の情報を話しやすくなるのです。
例えば、あなたが趣味の話をすれば、相手からも趣味の話を引き出しやすくなります。自分が知りたい情報は、まず、自分から開示することが大切ですよ。
(3)相手との親密性が高まる
誰しも、よく分からない相手に自分の話をしたくないですよね。あなたが自分を開示できると、相手は「この人は私を信頼しているから、ここまで話してくれているのだ」と感じ、親密性が高まっていきます。
また「あなただから打ち明けるんだけどね」「お客様だからこそお話しするのですが」というフレーズを加えるのも効果的。
「大事なことを話してくれるなんて、よほど私は信頼されているのだな」と相手が感じやすくなりますよ。
自己開示が苦手、できない原因
自己開示が苦手な方には、何らかの心理的な理由があるものです。
次に、カウンセリングの現場でもお聞きすることの多い、自己開示に苦手意識を持ってしまう原因を解説します。
(1)自己開示が恥ずかしいから
自己開示に恥ずかしさを感じて、一歩踏み出せない人は多いです。この恥ずかしさの心理の根っこには「自己嫌悪」が隠れています。
「こんな自分を知られたらばかにされるのではないか」「こんな自分を見せたらがっかりされるのではないか」という怖れには、自己嫌悪が投影されているのですね。
この場合、自分の良い部分を探して紙にまとめてみたり、信頼できる人に自分の良いところについて聞いてみたりすると、恥ずかしさが減っていくことが多いですよ。
(2)過去にトラウマがあるから
子どもの頃いじめにあっていた、たくさんの人の前で恥をかいたといった経験がある人は、自己開示が苦手な傾向にあります。
過去のトラウマが原因で自己開示ができない場合には、まずは近しい友人や家族・恋人など、自分が安全だと感じる場所で自己開示の練習をしていくと良いかもしれません。
(3)自己開示すべきというプレッシャーが強いから
全ての人に自己開示をしなくてはいけない、全員に好かれなければいけない……など、自分にプレッシャーを掛けた結果、空回ってしまうことも多いようです。
そもそも、周りにいる全ての人に自己開示をする必要はありません。自分が親しくなりたいと思っている人だけに自己開示できれば良いのです。
自己開示したい人を選べば良い、できる範囲で構わない、自分に合わない人もいる、と考えると良いですよ。
コミュニケーションを円滑にする自己開示の方法
ここからは、簡単にできる自己開示の方法をお伝えします。あなたに合うものを試してみてくださいね。
(1)共通の話題について話す
例えば、天気や季節のイベントの話・花粉症やダイエットなどの健康に関する話は、誰でも共通する話題の一つ。こうした話題をきっかけに、自分のことを少し話してみましょう。
例えば、「長雨が続いて洗濯物が乾きにくくて困ってしまいます」「花粉症で外に出るのがつらいんです」など。
こうした話題なら気軽に話しやすく、自己開示が苦手な方にもおすすめです。
(2)出身地や家族構成の話をする
今住んでいる場所や出身地にまつわる話で自己開示してみましょう。
家族構成や飼っているペットの話も効果的。もし相手との共通点が見つかったら、相手の話も引き出してあげると良いでしょう。
(3)好きなことや、やってみたいことの話
趣味やこれからやってみたいこと、好きな芸能人やテレビ番組など、あなたの好きなものや興味のあるものを、素直に話してみましょう。
共通点が見つかれば一緒に盛り上がれますし、違ったとしても相手の好きなものややってみたいことを引き出すきっかけになりますよ。
仕事相手であれば「実現させたい夢」について語るのも良いですね。様子を見ながら試してみてください。
(4)相手に対して感じたポジティブな気持ちを伝える
「笑顔がすてきですね」や、「優しそうな方で安心しました」など。相手に対して感じたポジティブな気持ちを素直に表現してみましょう。
とはいえ、お世辞や思ってもないことを伝えるのはNG。うそは相手にバレてしまいます。日頃から、周りの人の良いところを見つける癖をつけておきましょう。
(6)弱点やネガティブな気持ちを表現してみる
完璧ですごい人よりも、人間味のある人と接する方が親しみを感じるもの。
自己開示が苦手な方ほど、立派な自分を演じようとしてしまいがちですが、自分の弱点をさらけ出した方が好印象なことも多いです。
「すごく緊張しています」とか「この前、こんな間違いをしてしまって」とか、卑屈に見えない程度に自己開示してみましょう。
自己開示をして、良い関係性を築こう!
いかがでしたでしょうか? 自己開示は勇気が少し必要ですが、あなたが自分を素直に表現すればするだけ、相手と信頼関係を築くことにつながります。
ぜひ、自己開示を積極的に取り入れ、大切な人と良い関係を築いてくださいね。
応援しています!
(服部希美)
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