「ストイック」とは。意味や正しい使い方・英語との違いを解説
雑誌などでも見かける機会が増えた「ストイック」という言葉。よく聞くのに意味があいまいで、どのように使ったら良いか迷う方に向けて、「ストイック」の意味や対義語など解説します。
アスリートやモデルなどを表現する言葉としてよく目にする「ストイック」という言葉。日常生活でも使われているケースが多いですが、正しい意味を知っていますか?
今回は「ストイック」の意味や言葉を使う時の表現方法などについて解説していくので、ぜひ参考にしてください。
「ストイック」が表す意味
さまざま場所で見かけることが増えた「ストイック」という言葉。まずは、「ストイック」が何を表しているのか、その意味を解説していきますね。
意味は「克己的」「禁欲的」
「ストイック」には「克己的」「禁欲的」という意味があり、そこから「目標に向かって鍛錬すること」という意味合いで使われるようになりました。
目標を達成するためには「他のことを我慢する、自分に厳しくすることで目標をかなえる」といった努力を重ねている様子を表しています。
そのため、ビジネス書などに「自分にストイックに」といった文章がある場合は、より高いレベルの努力を求められているのです。
語源は英語の「stoic」
ストイックの語源にあたる言葉は、英語の「stoic」です。
英語の「stoic」にはカタカナ語と同じように「禁欲的」という意味がありますが、それ以外にも「感情を出さない」「平然とした」という意味があり、「つらいことがあってもそれを表に出さない」という時に使われます。
そのため、カタカナ語の「ストイック」と英語の「stoic」では多少ニュアンスが異なり、同じ意味合いだと思って「stoic」を使うと、意味がきちんと伝わらないこともあるため注意が必要です。
「ストア学派の哲学者」という意味も覚えておこう
「ストイック」には「ストア学派の哲学者」という意味もあります。
ストア学派は、古代ギリシャの哲学流派の1つで、「自然にしたがって生きる」ことを目標にし、財産や社会的な地位をほっしないという考えから「禁欲主義」を唱えていました。
「stoic」の元々の語源はこの「ストア学派」にあり、哲学の教えから今のような「禁欲的」という意味で使われているのです。
もし、哲学を勉強する時に「ストイック」という言葉を見かけたら、普段使っているような意味と混同しないように気をつけましょう。
「ストイック」を使用した表現方法
「ストイック」を使いこなすために、言葉の使い方や注意しておきたいポイントを解説します。会話やビジネスシーンで違和感なく使えるようにチェックしてくださいね。
基本形は「ストイックな〇〇」
「ストイック」を使って文章を作る場合は、「ストイック」の後に対象を付けて「ストイックな〇〇」という形で使用することが多いです。
例えば、「ストイックな人」と書くと「普段から努力を欠かさない人」という意味になり、その人を褒めたり讃えたりするような表現になります。
また、「××にストイックな〇〇」とすると、「ストイック」の対象が狭まり、より具体的な内容を表します。強調したいポイントがある場合には、「仕事にストイックな人」のように具体的な内容をプラスして文章を作りましょう。
例文
・仕事にストイックな彼の態度に、周りの社員が刺激を受けている
・ダイエットにストイックな様子を尊敬している
「ストイック」だけで表現する方法
もう1つの使い方として、「ストイック」だけを用いた表現方法もあります。
「彼女はストイックだ」のように、文末などに「ストイック」を配置して使う他に、「ストイックすぎる」といった表現で使う場合です。
「ストイックな〇〇」と表現する意味や対象は変わりませんが、「彼はストイックな人」のような回りくどい言い方にならないのが、この形のメリットです。
スッキリとした文章になるので、メールやメッセージなどコンパクトに文章をまとめたい時などに活用していきましょう。
例文
・彼は仕事に対してとてもストイックだ
・健康管理にストイックすぎる
自分に対しては使わない
「ストイック」を使った表現でやりがちな失敗は、「私はストイックに頑張っている」のように自分に対して使ってしまうことです。
「ストイック」は厳しく努力する様子を表しているため、自分に対して使うと、すでに限界に感じている=甘えている印象に取られてしまううことも。
たくさん努力をしても足りないと感じ、さらに自分を追い込んで努力する姿が「ストイック」が表す本来の意味なので、自分を褒めたいという意図で使うことはおすすめしません。
「ストイック」の類語
「ストイック」の理解を深めるために、ここでは同じような意味を持つ類語を紹介します。「ストイック」との違いなどを押さえて、それぞれの言葉を使いこなしましょう。
克己的
「克己的」は「自分の欲望や感情に打ち勝つ」という意味があり、「ストイック」の言い換えにも使える言葉です。ただし、「克己」という形だと、すでに克服したというニュアンスになるため、「ストイック」とはやや意味が異なる点に注意。
「克己的な人」のように、「ストイック」と同じような使い方で文章を作ると良いでしょう。
例文
・真面目に仕事をする、克己的な姿がかっこ良い
・つらいことでも克己的に取り組むことが、周りからの評価につながる
一生懸命
目標に向かってひたむきに頑張るさまを表す言葉である「一生懸命」も、「ストイック」の言い換えに使えます。漢字からも分かるように、「命をかけて頑張る様子」を表しており、真剣さが伝わる言葉ですよね。
ただ、「一生懸命」は「一所懸命」という言葉から生まれた言葉であり、誤用だと思われることもあります。どちらも間違いではなく、意味も変わりませんが、現代では「一生懸命」を使うことが多いようです。
例文
・彼は一生懸命に仕事をした結果、昇進を果たした
・彼女の一生懸命な働きにより、ピンチを脱した
ストイックの対義語
最後に、「ストイック」と反対の意味を表す対義語を紹介します。「ストイック」と一緒に使うと意味が通らない文章になるため、対義語も合わせて覚えてくださいね。
貪欲
「ストイック」の「禁欲的」という意味と正反対なのが、「非常に欲深い」という意味を持つ「貪欲」です。
「貪欲な姿」と表すと「ストイック」なように思えますが、興味や出世など自分の欲望にしたがって行動しているため、「ストイック」とはいえないのです。
また、「貪欲でストイック」という表現は一見正しく見えますが、欲深いのか禁欲的なのかわからなくなってしまうため、文章を組み立てる時は気をつけてくださいね。
例文
・必要な知識を貪欲に学ぶことで、他にはない発想力を手に入れた
・好きなことに貪欲な姿勢は見習わないといけない
快楽的
「快楽的」は「欲望を満たすことで得られる楽しみ」という意味がある言葉。「ストイック」は自分の気持ちや欲望を律していますが、「快楽的」は楽しみを得るために欲望のままに動くため、正反対の意味を持っています。
また、「快楽的」は官能的な欲望を対象に表すこともあり、この点からも「ストイック」とは異なることが分かりますよね。
例文
・快楽的な行動ほど、ストレス解消になる
・人に迷惑を掛ける行動なら、快楽的なことでも我慢しなければならない
エピキュリアン
「エピキュリアン」は、「ストイック」と同じように、哲学の考え方を表した言葉で「快楽主義者」という意味です。
また、「エピキュリアン」は考えを持つ人全体を表す名詞なので、「ストイック」のような使い方はできないことに注意してくださいね。
褒め言葉として「ストイック」を使いこなそう!
褒め言葉としても使う機会の多い「ストイック」は、イメージよりも厳しい状況を表していると驚いた人も多いかもしれませんね。哲学の教えを語源としているので、修行的な意味合いが強く、より厳しい状況を表しているのでしょう。
正しい意味を知って、日々の中で使ってみてくださいね。
(kirara)
関連する診断をチェック!
※画像はイメージです