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アンバサダー(ambassador)とは何? 意味やアンバサダーマーケティングについて解説

小坂井さと子

アンバサダー(ambassador)とは何でしょうか? 言葉の意味やアンバサダー・マーケティングについてビジネス翻訳の小坂井さと子さんに解説してもらいます。

アンバサダーとは本来「大使」という意味の英単語です。でも今日では「大使」という意味以外で使われているケースが増えています。

テレビや雑誌で「〇〇アンバサダー」を紹介する記事や、Instagramで「アンバサダー募集」の投稿を見たことがある人もいるでしょう。

近ごろ話題になることの多い「アンバサダー」について、その意味やなぜ注目されているかを紹介します。

「アンバサダー(ambassador)」の意味とは

アンバサダーは英語のambassadorに由来しています。まずはambassadorの意味を押さえておきましょう。

英語では「大使」や「使節」「代表」を意味する言葉

ambassadorは以下のような意味を持つ単語です。

ambassador(アンバサダー)

1.(…駐在の)大使
2.(公式または非公式の)使節; 代表
(出典:『新英和中辞典』)

ambassador to Japan(駐日大使)のように公職を指す場合もありますが、peace ambassador(平和大使) のように、代表と認められた非公式な役職を指す場合もあります。

ビジネスで使われるアンバサダーとは

ビジネスシーンでのambassadorとは、「代表」や「公式の代理人」という意味が転用され、使われたものです。

アンバサダー

[補説]日本では、自治体・機関・企業などから起用されて広報活動を行う人、またはイメージキャラクターのことを指して用いられることが多い。
(出典:『デジタル大辞泉』)

最近、よく耳にする「〇〇アンバサダー」の多くは、企業やブランドのPR活動をしている人を指すようです。もう少し細かく「アンバサダー」を使った言葉を見てみましょう。

「アンバサダー」を使ったいろいろな言葉

私たちの周りの「アンバサダー」の意味と使われ方を紹介します。

ディズニーなどで使われる「アンバサダーホテル」とは?

ディズニーランド好きの方にとっては「アンバサダー」というと真っ先に思い浮かべるのが、ディズニーアンバサダーホテルかもしれません。

ディズニーアンバサダーホテルだけでなく、「アンバサダー」という名前のついたホテルは世界中にあります。

中でも有名なのが、ロサンゼルスのThe Ambassador Hotelです。1921年に建設されたアンバサダーホテルは、多くの大統領が訪れた豪華ホテルとして世界に名を知られていました。

ハリウッド映画にも何度も取り上げられ、1930~40年代にはアカデミー賞授賞式も開催されたのです。The Ambassador Hotelは1989年に閉鎖されましたが、その後も「アンバサダーホテル」は豪華なイメージを表す言葉として世界中で使われています。

「(ブランド名)+アンバサダー」とは?

「ネスカフェアンバサダー」など「〇〇アンバサダー」という表現も、広告でよく見かけるようになりました。

「ブランド名や商品名+アンバサダー」は、ブランドや商品と消費者をつなぐ「大使」という意味です。

よく似た表現に「観光大使」や「親善大使」という言葉があります。芸能人が「〇〇観光大使」のタスキをかけて手を振っているニュースを見たことがある人も多いでしょう。

このような「大使」も「アンバサダー」も共に、地方や組織、ブランド、商品の魅力をPRする存在となっています。

SNSなどで見かける「アンバサダー募集」とは?

SNSで「(商品名)アンバサダー募集」という広告を見たことがある人もいるかもしれません。これは企業と消費者をつなぐ「アンバサダー」として、商品の魅力を紹介する人を募集しているものです。

このようなアンバサダーを起用したマーケティングは、「アンバサダー・マーケティング」として注目を集めています。次の章では「アンバサダー・マーケティング」を紹介します。

「アンバサダー・マーケティング」とは何?

今日、アンバサダーという言葉を耳にする機会が増えているのは、「アンバサダー・マーケティング」という手法が注目されているからです。

ここではアンバサダー・マーケティングとはどのようなものか、簡単に説明します。

アンバサダー・マーケティングとは?

アンバサダー・マーケティングは、InstagramやTwitterなどのソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)を活用したマーケティングの手法です。

現代の消費者は、企業からの広告よりも、同じ消費者のクチコミを信用する傾向があります。

CMで芸能人が「おいしい!」と笑いかけても、さまざまな広告があふれている中では、消費者の注意を惹きつけることは難しくなっています。

しかし身近な人が「おいしかった」というのを聞くと、「自分も食べてみようか」と思うでしょう。

SNSの発達によって、私たちは多くの人のクチコミを参考にすることができるようになりました。レストランや化粧品、家電など、クチコミを集めたサイトも広がりを見せています。

今ではショッピングや食事の際に、多くの人がクチコミサイトを確かめてから、商品や店を選ぶようになっています。

企業もこうした消費者の動きに合わせて、自社ブランドのファンの声をマーケティングに活用するようになりました。アンバサダー・マーケティングもその1つです。

アンバサダー・マーケティングのメリット

アンバサダーは企業の広告としてではなく、消費者代表として、商品の使用感を消費者視点で伝えます。その中には、企業も気がつかなかった発見や新しい使い方も含まれます。

それにより、消費者はアンバサダーを通して、広告では伝わらない商品の魅力を知ることができるのです。

アンバサダー・マーケティングのデメリット

企業のカラーやサービスのターゲット層と合っていないアンバサダーを起用した場合、求めている結果につながらない可能性も多々あります。

また、SNS上への投稿には炎上のリスクもあり、起用するアンバサダーが過去、企業イメージを損なう投稿をしていないか見極める必要があります。

大きな反響を得られやすい面に反して、アンバサダーを起用する難易度は比較的高く、炎上リスクもあるという点がデメリットと言えるでしょう。

アンバサダー・マーケティングの事例

アンバサダー・マーケティングの事例を見てみましょう。実際に企業がどんな試みをしているか知ることで、アンバサダーがどう活躍しているのかが分かります。

ワークマン

ワークマンでは「製品開発アンバサダー」を採用し、アウトドアやランニング、バイクなどに詳しい人の意見や希望を製品開発に生かしています。

Xperia(エクスペリア)

俳優やスポーツ選手といった業界の著名人をアンバサダーとして迎え、Xperiaに関する写真やムービーをSNSへ投稿。消費者に向けて商品のアピールを行っています。

ネスカフェ

自社の家庭用コーヒーマシンをオフィスに普及するために行われているキャンペーン。オフィスの代表者がネスカフェ製品を購入し、一定の条件を満たすことでアンバサダーとなります。アンバサダーになれば特典として、職場へマシンの無料貸出が行われます。

アンバサダーを通して自社製品の宣伝・イメージアップに成功した事例です。

インフルエンサーとアンバサダーの違い

SNSを活用したマーケティングには、アンバサダー・マーケティング以外にも、インフルエンサー・マーケティングがあります。

インフルエンサー(influencer)とは、「影響力を与える人」という意味を持つ英語です。

一般的にはFacebookやInstagram、YouTubeなどのSNSなどで多数のフォロワーがいる人を指します。特にInstagramを中心に活躍している人が多いのも特徴です。

一方、アンバサダーは、有名人かどうかは無関係に、ブランドのファン代表として企業と契約し、商品の感想や使用感などをSNSなどで定期的に投稿する人を指しています。

アンバサダーを活用して成長する企業も

ブランドと消費者をつなぐアンバサダーは、消費者の希望を伝えて商品開発にも関わるようになっています。日本ケロッグではアンバサダー・プログラムを実施した結果、対象商品の売上が前年比で25%の伸びを見せています。

消費者視点を商品開発やマーケティングに組み込むために、今後もアンバサダーの活用が行われていくでしょう。

ブランドと消費者をつなぐ新しい「アンバサダー」の意味

本記事ではアンバサダーが「大使」という意味であることを紹介しました。さらに、今日私たちが耳にする機会の増えたアンバサダーは、企業に依頼され、商品を消費者の視点から紹介する人を指していることも見てきました。

SNSが進化したことで、商品やブランドの情報を発信するのは企業だけではなくなり、消費者の視点からも発信されるようになりました。

それを受けてブランドの側も、消費者のクチコミやSNSへの投稿をマーケティングや商品開発に活用するようになったのです。

大使の役割が国と国をつなぐことにあるように、新しく意味の広がったアンバサダーもブランドと消費者をつなぐ人々であることが分かります。

皆さんもお気に入りのブランドがアンバサダーを募集していれば、そのブランドの魅力を大勢の人に知らせるお手伝いをしてはいかがですか?

(小坂井さと子)

※画像はイメージです

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