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「モラル」の本当の意味とは? 意味や「マナー」との違いを解説

上色ゆるり

「モラルハラスメント」「モラルに欠ける」の「モラル」とは、どういう意味を持つ言葉か知っていますか? いまいち理解できていないという人のために、外来語に詳しいライターの上色ゆるりさんに「モラル」について解説してもらいました。

「モラルがない」「モラルに反する」といった言い回しは、ビジネスに限らず、ニュースや普段の会話でもよく耳にしますよね。

それほど日常的に使われている「モラル」という言葉ですが、意味を「正しく説明できる!」と自信を持って言える人はあまり多くないでしょう。

そこで今回は、「モラル」の意味や正しい使い方を、例文付きで解説します。

「モラル」とは?

まずは、「モラル」という言葉が持つ本来の意味について、改めて確認していきましょう。

「モラル」の本来の意味と語源

モラルとは、「倫理」や「道徳意識」を指します。

辞書では、以下のように記されています。

モラル
道徳。倫理。
(『デジタル大辞典』小学館)

人や生き物に対する思いやりを持った言動や、良心に従った善良な行動を起こすために守るべき基準を意味する言葉です。

「モラル」という言葉単体では、良い意味としても悪い意味としても捉えることができ、「モラルがある」「モラルがない」というように、他の言葉と組み合わせることによって意味合いが変わります。

なお、「モラル」の語源は、英語の「moral」から来ています。

moral
【形容詞】
(1)(善悪の基準になる)道徳(上)の、倫理的な。
(2)道徳を教える、教訓的な。
(3)善悪の判断できる、道義をわきまえた。
(4)道徳的な、品行方正な;純潔な、貞節な。
(5)(法律・慣習ではなく)徳義に基づいた;心〔精神、意志〕に働きかける、心の、精神的な。
【名詞】
(1)(社会の)道徳、モラル;(特に男女間の)品行。
(2)(寓話)などの寓意、教訓。
(『新英和中辞典』研究社)

「モラル」の類義語・対義語

「モラル」の類義語は、「道徳」「善徳」「徳行」などが挙げられます。

また、「モラル」の対義語は「不道徳」「背徳」など。カタカナ語としての対義語は、「インモラル」と表現できます。

「モラル」を使った例文

「モラル」とはどういう意味なのか理解していたとしても、使い方を知らなければ、実際の会話で活用できないですよね。

ここからは、使い方をつかむために、「モラル」を使った例文を紹介します。

「モラルがある」「モラルがない」

「モラルがある」「モラルがない」という言い回しは、「モラル」の最も一般的な使い方。シンプルな表現方法で、シーンを問わず使うことができます。

それでは例文を見ていきましょう。

例文

・多くの人が集まる場所なので、モラルのある行動を心がけてください。

・SNSでモラルがない発言が目立っており、それにより傷ついている人がたくさんいる。

モラルさえあれば、基本的にはどんな場所でもやっていけるだろう。

「モラルに欠ける」

「モラルに欠ける」とは、倫理や道徳、相手を思いやる気持ちが欠けていること、失われていることを意味します。

「モラルに欠ける行動」というように、「モラルがある」「モラルがない」と同様、名詞と組み合わせることで形容詞として使うことができます。

似たニュアンスである「モラルがない」よりも、やや柔らかい表現になります。誰かに指摘したり、丁寧な言葉遣いを意識したい時は、「モラルに欠ける」という言い回しを使う方がおすすめです。

例文

・お互いに気持ち良く過ごすため、モラルに欠ける発言は控えましょう。

・「誰かがきっとやってくれるだろう」という考えは、モラルに欠ける。

・最近、新入社員のモラルに欠ける行動が目立つので、教育指導をより強化していく必要がある。

「モラルに反する」

「モラルに反する」とは、倫理のある言動、思いやりのある言動とは真逆であることを表す言葉です。

「モラルがない」「モラルに欠ける」といった言い回しと比べるとマイナスのイメージが強く、鋭い表現方法になります。

場合によっては、相手を傷つけてしまう可能性もあるので、注意して使いましょう。

それでは例文を紹介していきます。

例文

モラルに反する活動が見受けられた場合は、直ちに対処する必要がある。

・A案は有益であると支持される一方で、モラルに反するのではないかという意見もある。

・B社が提案した新サービスは、モラルに反すると判断され中止になった。

「モラルを守る」

「モラルを守る」とは、道徳から外れてしまうことなく、常に倫理的に行動することを指します。

「モラルを守ってください」というように、誰かに向かって呼びかける際によく使われる言い回しです。サービスなどを利用する際の注意事項や、大勢の人々に対する注意喚起にて見聞きすることが多いでしょう。

例として、以下のような言い回しができます。

例文

・みんなが楽しめるように、モラルを守って利用しましょう。

モラルを守ることは、社会人として当然のことだ。

モラルを守って行動しなければ、いつか誰からも信用されなくなってしまうだろう。

「モラル」と「マナー」の違いは?

「マナー」とは、「礼儀」や「作法」といった意味の言葉。

「マナー」は、社会や組織などによって客観的に定められた規則、ルールを指すのに対し、「モラル」は自らの生き方や思考によって定められた、主観的な道徳的基準のことを指します。

駅などで見かける「車内マナーを守りましょう」など、「マナー」にはルール(規則)といった側面がありますが、「モラル」には自身の経験や憶測から来るその人独自の基準というニュアンスがあります。

「モラル」が入った言葉

以下では、「モラル」の使い方をより意識するために、モラルが含まれる言葉をいくつか紹介していきます。

モラルハラスメント

モラルハラスメントは、職場や社会生活において、他者のモラルに反する言動や行動を指します。

例えば、人格を否定するような言動や行動、嫌がらせやいじめ、差別などです。

モラルハラスメントを受けると、心理的苦痛や重度のストレスがのしかかり、仕事や生活に大きな悪影響を及ぼすでしょう。

社会的にも問題視されており、企業によっては、モラルハラスメントを防止するガイドラインを設けている会社もあるほどです。

情報モラル

情報モラルとは昨今の情報社会において、適切に行動をとるための考え方を指します。主に、個人情報の保護や著作権の尊重、インターネット上のルールやマナーの厳守などです。

インターネット上では、情報の盗用や改ざん、なりすましなど問題が次々と起こっています。さらには言葉の暴力や差別、ヘイトスピーチなど交流する上でのトラブルも後をたちません。

情報モラルを守るには、適切な知識と対策、ルールとマナーを遵守することが重要です。このように、適切な情報に触れて行動することを情報モラルと呼びます。

モラルハザード

モラルハザードとは、主に金融や保険分野で関係する言葉で、リスクを考えず行動することを言います。

具体的には、保険に加入していることを良いことに、リスクをあえて避けず無責任な行動を取る行為のことです。

典型的な例で言うと、自動車保険に加入しているドライバーが、仮に事故を起こしたとしても保険がカバーしてくれる安心感から、あえて無謀な運転をする人を指します。

インモラル

インモラルとは、「不道徳なさま」であったり「背徳的」であったりと、道徳や倫理に反するといった意味です。例えば詐欺行為や不正行為、他人をあざむく行為などを指します。

そのため、インモラルは、社会的影響や信頼などに悪影響を及ぼしたり、信用や評判を落としたりする可能性があると言えるでしょう。

インモラル的な行動は避けた上で他者を尊重し、倫理的な判断が大切です。

アンモラル

アンモラルとは「不道徳的」や「非論理的」を意味する言葉です。一般的な倫理や道徳に反し、社会的価値観に合わないことを言います。

主に、他者への配慮がなかったり道徳的な考えを無視したり、不正行動を取ったりすることです。

先ほどの不正行為に焦点をあてるインモラルよりも、さらに広い範囲で道徳に反する行為を指します。

意味と使い方を把握して「モラル」を正しく使いこなそう

「モラル」という単語は、日常的によく使われる言葉なので、なんとなく理解しているつもりになってしまいますよね。

しかし、もしも間違って意味を覚えていたり、使い方を間違えたりしてしまうと、いざという時に恥ずかしい思いをしてしまうかもしれません。

誤った言葉遣いをきちんと指摘してもらえる機会は、大人になるとどんどん減ってしまいます。恥をかいてしまうことのないよう、正しく使いこなせるようにしておきたいですね。

(上色ゆるり)

※画像はイメージです

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