「ブラッシュアップ」とは? 意味や使い方・類語や言い換え表現
「ブラッシュアップ」の意味を分かっていますか? 使い方や類語表現などを、ビジネス用語に詳しいライター、macoさんが解説します。
ビジネスシーンでよく耳にする「ブラッシュアップ」という言葉。ビジネスシーンでよく耳にする「ブラッシュアップ」という言葉。
意味をぼんやりとしか把握できていないせいで、職場で使い方を間違えて、恥ずかしい思いをするのは嫌ですよね。
「ブラッシュアップ」は必ずしも使わなければいけない用語ではありませんが、職場での共通言語となっている場合は、使えるに越したことはありません。
この機会に正しく理解して、使いこなせるようになっておきましょう!
日本語における「ブラッシュアップ」の意味
まずは、ブラッシュアップという用語の意味について、きちんと把握しておきましょう。
ブラッシュアップ【brushup】
[名](スル)みがき上げること。学問などの再勉強や鈍った腕や技のみがき直し。また、一定のレベルに達した状態からさらにみがきをかけること。「留学で英語をブラッシュアップする」(『新語時事用語辞典』より)
ブラッシュアップには、「スキルの磨き直し」と「さらなるレベルアップ」という2つの意味がある、ということですね。
日本のビジネスシーンでは、後者の意味で使用されるのが一般的で、前者のニュアンスではあまり使われないかもしれません。
「ブラッシュアップ」の使い方
ここでは、ビジネスシーンを想定した例文を交えて、「ブラッシュアップ」の使い方を解説していきます。
(1)資料のブラッシュアップ
資料作成は、「ブラッシュアップ」が頻繁に使われるシーンの一つ。「一度作成した資料を、今よりクオリティの高いものにする」といったニュアンスで使われることが多いです。
例文
・作ってもらったこの資料、全体的にブラッシュアップして、もう一度持ってきてくれる?
・資料の誤字脱字が多いので、会議当日までに細かいところをブラッシュアップしておいてくれると助かります。
・資料のこの部分が説得力に欠けると思ったので、ブラッシュアップしておきました。
後輩や部下にブラッシュアップを頼むケースと、自らブラッシュアップを行うケース、どちらで使用しても問題はありません。
(2)プレゼンのブラッシュアップ
やりたいプロジェクトを会社の上層部にアピールする時や、自社サービスを顧客に発表する際に行われる、プレゼンテーション。
プレゼンの成功率を高めるために、「今よりさらに磨き上げる」という意味合いで「ブラッシュアップ」が使われます。
例文
・今のプレゼンだと結論が伝わりにくいから、そこをもう少しブラッシュアップしてみて。
・情報を整理してプレゼン全体をブラッシュアップすれば、聞く人により伝わりやすくなるはず。
・話のテンポやスライドを進めるタイミングなど、まだまだブラッシュアップの余地があるプレゼンだった。
(3)能力のブラッシュアップ
資料やプレゼン作成といった具体的な業務以外でも、特定のスキルを伸ばすことを「能力をブラッシュアップする」と表現します。これもブラッシュアップの一般的な使い方です。
例文
・英語力をブラッシュアップするために、アメリカへの留学を決意した。
・セールストークをブラッシュアップすれば、今より営業成績が伸びるかもしれない。
・社内の人と積極的に会話し、コミュニケーション能力をブラッシュアップしたおかげで、仕事を任されやすくなった。
「ブラッシュアップ」の類語・言い換え一覧
「ブラッシュアップ」には、同じ意味を持つ言葉や、似た言葉がいくつかあります。
ここでは、そんな同義語や類義語を一覧表でご紹介。「ブラッシュアップ」よりも馴染みのある言葉があれば、そちらを優先して使ってもいいでしょう。
洗練させる |
同義語 |
磨きをかける |
同義語 |
案を練る |
類義語 ※「アイディアをブラッシュアップする」と同義 |
改善(改良)する |
類義語 ※「より良くする」よりも「悪いところを直す」といったニュアンスが強い |
再考する |
類義語 ※「より良くする」よりも「一から考え直す」といったニュアンスが強い |
スキルアップする |
類義語 ※「技術をブラッシュアップする」と同義 |
職場で「ブラッシュアップして」と言われたらどうすればいい?
ブラッシュアップの意味や使い方を理解できてきたところで、次に考えておきたいのが、「職場の上司や先輩から、実際にブラッシュアップを頼まれた場合、どうすればいいか」。
具体的にどんな行動を起こすべきか、シチュエーション別に解説していきます。
(1)資料やプレゼンのブラッシュアップを求められた場合
作成した資料やプレゼンをブラッシュアップするよう言われた場合、まずはなぜ今のままではいけないのかをよく確認しておくことが重要です。
「内容に具体性がない」「結局何が言いたいのかよく分からない」「情報量が多く冗長になってしまっている」など、改善のヒントをもらいましょう。
原因が分かったら、いよいよブラッシュアップです。
・具体性がないなら、いくつか例を交えて説明してみる。
・何が言いたいのか伝わりづらい場合は、メインとなる主張や結論を一番始めに持ってくる。
・情報量が多すぎるなら、全体を見直して必要な情報と不要な情報を仕分けする。
こんな風に、「今よりクオリティの高いものにするためにはどうすればいいか」という部分に着目して、資料やプレゼンを作り直してみましょう。
(2)能力のブラッシュアップを求められた場合
語学力や営業力など、特定の能力に対するブラッシュアップを求められた場合は、「何が足りないと思われているのか」をはっきりさせておきましょう。
「英語での会話や電話対応は申し分ないが、メールのやりとりもできるよう英語の文章力を伸ばしてほしい」「人当たりはいいのに営業の成約率が伸びていないので、トークの中身を磨いてほしい」など、あなたのスキルアップを求める原因があるはず。
そういった原因を正しくと把握できていないと、能力を向上させようと努力しても、裏目に出てしまう可能性が高いです。上司や先輩に直接聞いたり、聞きづらい場合は同僚などに相談したりして、第三者の意見をもらうのもいいでしょう。
また、「スキルアップすることで職場にどう貢献できるのか」も確認しておきたいポイントの一つ。
「海外の取引先とのやりとりを全て任せられるようになる」「新商品の売上を伸ばし、会社の業績を安定させる」など、明確なゴールが見えていると、能力を向上させるモチベーションがアップします。
ここまでできれば、あとはゴールに向けて努力するのみ。教材を使ってビジネス用の英文法を一から学ぶ、営業成績がいい先輩に指導をお願いするなど、具体的なアクションを起こし、能力のブラッシュアップを目指しましょう。
英語の「brush up」とは意味がやや違うので注意
「ブラッシュアップ」は横文字の言葉であるがゆえに、英語でも同じ意味で通用すると思われがちですが、実はそうではありません。
英語の「brush up」は、身なりを整える・錆びついたものを磨くという意味を持つため、和製英語の「ブラッシュアップ」とはニュアンスがやや異なります。
もし英語で「洗練させる・向上させる」と表現したい場合は、「refine」といった単語を使うのが適切でしょう。
ビジネス用語を正しく理解して、円滑なコミュニケーションを
「ブラッシュアップ」をはじめとする横文字のビジネス用語は、近年日本のビジネスシーンで頻繁に使われるようになってきました。
もちろん、同じ意味を持つ日本語で言い換えることも可能なので、無理に「ブラッシュアップ」という言葉を使用する必要はありません。
しかし「ブラッシュアップ」という言葉が飛び交っている職場の場合、意味と使い方をきちんと把握しておかないと、社内のコミュニケーションに支障をきたす場合も。
職場の仲間と円滑なコミュニケーションを取るために、また社会人の基本的な教養として、「ブラッシュアップ」の使い方は押さえておきましょう。
(maco)
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