お使いのOS・ブラウザでは、本サイトを適切に閲覧できない可能性があります。最新のブラウザをご利用ください。

「精査」の意味とは? 使い方や例文・類語との違いを解説

Sai

ビジネスシーンなどでよく聞く「精査」という言葉。「検査」や「調査」など似た言葉が多く、意味や使い方がよく分からない人は多いでしょう。今回はビジネス用語に詳しいライターのSaiさんに、意味や類語との違い、正しい使い方などを解説してもらいます。

「ご精査の程よろしくお願いいたします」や「精査した上で回答いたします」などという形で使われることが多い「精査」という言葉。メールや資料などを通じてビジネスシーンでもよく見かけますが、類語と意味を混同している人や、間違った使い方をしている人は少なくありません。

この記事では、精査の意味や類語との違い、ビジネスシーンにおける「精査」の正しい使い方などを、例文も併せて詳しく解説します。

「精査」の意味とは?

まずは、「精査」という言葉の意味を詳しく確認してみましょう。

「精査」とは基本的に詳しく調べるという意味

「精査」とは、次のような意味です。

せい‐さ【精査】
くわしく調べること。「感染の原因を精査する」
(『デジタル大辞泉』小学館)

対象のものをより詳しく、細かく調べて確認するという意味の名詞です。なお、「精査する」や「精査される」など動詞として使われる場合もあります。

使われる場所や状況によって多少意味が異なる

基本的には対象をより詳しく調べるという意味の「精査」ですが、使われる場面や状況によって多少意味が異なる場合があります。

病院における「精査」の使い方

医療の場において使われる精査は、「専門的でより詳しい検査をすること」という意味で使われます。簡易検査では判断できなかったり、1人の医師の所見だけでは治療を進められなかったりする場合に、より細かく患者の状態を調べるということですね。

銀行における「精査」の使い方

 

「精査」は銀行で使われる場合も多少ニュアンスが異なります。銀行の営業店は、営業終了後にその日のお金の動きを全て計算し金額に間違いがないかどうかを確認するのですが、この作業のことを「精査」や「現金精査」といいます。

ビジネスにおける「精査」の使い方

「精査」とは、何かを調べて正確さや適切さを確認することにあたります。ビジネスシーンにおいては、契約書の精査や品質の精査、会計の精査などさまざまなシーンで行われます。

精査をすることでミスや不備などが防げる上、品質やサービス向上につながるビジネスでは欠かせないプロセスです。ビジネスにおいて「精査」は、頻繁に使用されるため、ぜひ理解しておきましょう。

英語で表現すると「examine」

海外支社や海外の取引先などとやり取りする機会が多い人は、英語で書類などの確認を先方にお願いしたり、データなどを詳しく調べたい旨を伝えたりすることがあるでしょう。

このような場合は、「精査」の英語表現である「examine」を使うことで、「詳しく確認してほしい(確認したい)」というニュアンスを正しく伝えることができます。

例文

  • Please examine the data carefully before the next meeting.(次の会議までにデータを精査しておいてください)
  • We’ll take this case back to the company and examine it.(この件は社に持ち帰って精査します)

なお、examineと一緒に「細かく」という意味の「minutely」や、「入念に」という意味の「carefully」を使うことで、「精査」が持つ「詳しく調べる」というニュアンスをより強調することができます。

【例文付き】ビジネスにおける「精査」の正しい使い方

ビジネスシーンで頻繁に使われる「精査」という言葉。その使い方は大きく分けて、書類や資料などを「自分が精査する」場合と、相手に「精査してほしいと依頼する」場合の2種類があります。

間違った使い方をしないためにも、それぞれのシーンにおける正しい例文を確認しておきましょう。

自分が「精査」する場合

まずは、自分が調べる側の場合に使える「精査」の例文を紹介します。

例文

  • この件に関しましては、精査の上、後日回答させていただきます。
  • 次の商談で使う予定の資料を精査する。
  • 現在精査中ですので、しばらくお待ちください。

自分が「精査」する側の場合は、「精査する」という動詞の形で「精査」を使うパターンと、「精査の上」・「精査中」などというように、「精査」を名詞として使うパターンの2種類があります。

相手に「精査」を依頼する場合

次は、確認を相手に依頼する側の場合に使う「精査」の例文を見てみましょう。

例文

  • 報告書を提出いたしましたので、ご精査のほどお願いいたします。
  • 企画書の内容について、ご精査をよろしくお願いいたします。

相手に「精査」を依頼する場合は、「精査」を「お願いします」というフレーズとセットで使用します。また、ビジネスシーンにおいては、「ご精査」というように敬語表現にすることを忘れないようにしましょう。

「検査」や「調査」などの類語との違いは?

「精査」の使い方に悩む理由の1つとして、似たような意味の言葉が多いことが挙げられます。「検査」や「調査」などと混同してしまい、正しい使い方が分からないという人は多いでしょう。

ここからは、ビジネスシーンでよく使う「精査」の類語や、「精査」との意味の違いについて紹介します。

「検査」との違い

「精査」と同じ「査」という字が含まれる「検査」は、「精査」とニュアンスが似ていることもあり、混同してしまう人が多い言葉です。

しかし、「検査」は「ある基準をもとに異常の有無を調べる」という意味のため、「詳しく細かく調べる」という意味の「精査」とは使う場面が異なります。

例えば、検査を使った代表的な語句に「手荷物検査」や「血液検査」などがありますが、どちらも異常や問題がないか調べる際に使う言葉であって、「対象のものを細かく調べる」という意味ではありません。

「検査」は「基準を元に問題がないかどうかを調べること」、「精査」は「対象を絞った上で詳しく調べること」と覚えておくと、違いが分かりやすいでしょう。

「調査」との違い

「物事を調べて詳細を明らかにすること」という意味を持つ「調査」も、「精査」と非常によく似た言葉です。

しかし、「調査」は一度に多くのことを幅広く調べる時に使う言葉であり、1つのことを詳しく調べる「精査」とはニュアンスが異なります。

「世論調査」や「市場調査」など、「調査」が含まれる語句を見ても、より広範囲の物事を調べていることが分かりますよね。

したがって、「調査」は「一度に多くの対象を調べること」、「精査」は「対象のものを詳しく調べること」であると理解しておくと、正しく使い分けができるでしょう。

「検討」との違い

「精査」と同じく「物事をよく調べる」という意味がある「検討」ですが、「精査」と違うのは、「調べた上で物事の良しあしを判断する」というニュアンスが含まれる点です。

ビジネスシーンにおいて「再検討をお願いします」とか「ご検討ください」などというフレーズを聞いたことがある人は多いと思いますが、この場合、ただ考えるだけではなく「答えを出すこと」を求められています。

「調べる」という意味しか含まない「精査」とはニュアンスが異なるため、注意するようにしましょう。

「査収」との違い

ビジネスメールなどで目にすることが多い「査収」は、「書類や品物・金銭などをよく確認した上で受け取ってもらう」という意味の言葉です。ビジネスシーンでは「ご査収ください」という丁寧表現で使われる場合がほとんどです。調べた上で「受け取る」というニュアンスを含むのが、「精査」とは異なる点として挙げられます。

なお、「査収」は書類や物品を送る側のみが使う言葉であり、受け取った側は「査収しました」という表現を使うことはできません。「受領いたしました」とか「納品いただきありがとうございます」などと返答するのが一般的なので、覚えておきましょう。

精査の対義語

精査使い方や意味を知ると同時に、対義語を知っておくと理解度がさらに高まります。ここからは、精査の反対の意味となる対義語をいくつかみていきましょう。

通覧

通覧とは、物事の全体を理解することや目を通すこと、広く知れ渡るといった意味です。ビジネスシーンでは新しい資料に目を通したり、プロジェクトの計画を策定したりする時にもよく使われる言葉です。使い方としては以下があります。

・「新入社員に会社の資料を通覧してもらう」

・「新聞やニュースを毎日通覧し、世の中の動向を把握しています」

・「精査を終えたので最終的に通覧します」

通覧をすることで書類の内容を理解したり、物事全体を把握したりが可能となります。概要を理解してほしい時などに、通覧を使うと良いでしょう。

略儀

略儀とは、本来行うべき手順を省略した方法を指す言葉です。

ビジネスシーンでは、手紙やメールなどの文章を送る際、「略儀ながら」と書き添えて使われることがあります。これは本来直接伝えるべきことを、メールで簡潔に伝えることを言います。

ビジネスシーンなどで略儀を使用した例文は以下の通りです。

・「略儀ながらメールで失礼いたします」

・「略儀ながらご挨拶とさせていただきます」

・「略儀ながらご報告は以上となります」

意味や類語との違いを理解し、「精査」を正しく使おう

ビジネスシーンでよく見かけるものの、意味や使い方を間違えている人も多い「精査」という言葉。似たようなニュアンスの類語と混同しがちですが、一度それぞれの言葉が持つ意味をしっかり理解すれば、使い分けは難しくありません。

「精査」の正しい例文や類語との違いを確認しておき、仕事場などで自信を持って「精査」を使えるようになりましょう。

(Sai)

※画像はイメージです

SHARE