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「参加の可否」の正しい使い方は? 「有無」「是非」との違い・言い換え表現

松岡友子(コミュニケーションマナーアドバイザー)

「参加の可否についてご返信ください」「参加の可否を教えてください」など、ビジネスメールなどで見かける機会も多い「参加の可否」という言葉。「参加の有無」「参加の是非」とはどう違うのでしょうか? コミュニケーションアドバイザー®の松岡友子さんに「参加の可否」の意味や使い方を教えてもらいました。

2020年は新型コロナウイルス感染拡大の影響で少し事情が違うとはいえ、年末年始は通常、クリスマス会や忘年会、そして新年会と、1年のうちで最もお誘いを多く受ける季節です。

飲み会やパーティーなどのイベントを企画する側であれ招待を受ける側であれ、出欠の返事は必ずするでしょう。

今回はその際によく使われる「参加の可否」という言葉について見ていきます。

「参加の可否」の意味

今回主に注目するのは「参加の可否」の「可否」の部分です。

「可否」とはどういう意味でしょうか。辞書を引いてみましょう。

かひ【可否】
(1)よしあし。
(2)賛否。
(『広辞苑 第七版』岩波書店)

つまり「可否」とは、「よいかよくないか」「賛成か不賛成か」という意味であることが分かります。

このことから、「参加の可否」とは、「参加できるかどうか」という意味合いとなります。

「参加の可否」を使う場面とは?

では、今回のテーマである「参加の可否」はどのような場面で使われるのでしょうか。

そもそも「可否」というような二字熟語は、基本的には少し改まった場面で使われることが多い言葉です。

使う場面の例としては、

・パーティーや会合への参加(の意思)を確認する時
・研修や講演会への出席(の意思)を確認する時

など、「参加が可能か不可能か」「参加の意思はあるのかどうか」を聞いたり確認したりする場面で使われることがほとんどです。

これらは文書やメールで使われることが多いのですが、口頭で使うことも可能です。その場合、参加を確認する相手の人数は、大人数であっても誰か一人であっても構いません。

「参加の可否」を使った例文

ここでは、前述した「参加の可否」を使う場面に合わせた例文をそれぞれ紹介します。

パーティーや会合への参加(の意思)を確認する時

例文

・懇親会の件、部長の参加の可否につきましては現在確認中です。

研修や講演会への参加(の意思)を確認する時

例文

・新入社員の皆さんは、研修への参加の可否を12日までにお知らせください。

「参加の可否」を使う上でのポイント

ここでは、「参加の可否」を使う上で知っておきたいポイントを紹介します。

口頭でも使える

前述の通り、「可否」は少し改まった熟語表現なので、ビジネスの場であれば口頭でも使うことができる言葉です。

もちろん「ミーティングへの参加が可能かどうかお知らせください」と言い換えて表現することもできます。

親しい間柄の人には使わない

親しい間柄の人であれば、「参加の可否」はビジネスメールっぽくて少し堅苦しい印象を与えます。

親しいのであればフランクに「出欠を確認させてください」などと言い換えると良いでしょう。

「参加の可否」と「参加の有無」の違いとは?

「参加の可否」とよく似た「参加の有無」という言葉。

何か違いがあるのでしょうか? 解説していきます。

「参加の有無」の意味は?

「参加の有無」とは、「参加のありなし」を意味します。

具体的には、

・「展示会への女性の参加の有無を調査した」
→展示会への女性参加者がいたかどうかを調査した。

・「25歳を対象に、献血への参加の有無を調査した」
→25歳を対象に、献血へ参加したことがあるかどうかを調査した。

という意味合いで使われます。

「参加の可否」は先のこと、「参加の有無」は過去のこと

「参加の可否」は、これから先(将来)のイベントなどへの参加の「可能性」「意思」について述べる時に使われます。

一方「参加の有無」は、今まで(過去)のイベントなどへの参加の「実績」「経験」について述べる時に使われる言葉です。

この点が、「参加の可否」と「参加の有無」の違いです。

「参加の可否」と「参加の是非」の違いとは?

こちらも、「参加の可否」とよく似た「参加の是非」という言葉。

何か違いがあるのでしょうか? 解説していきます。

「参加の是非」の意味は?

まずは「参加の是非」の「是非」の意味について見ていきましょう。

ぜひ【是非】
(1) 是と非。道理にかなうこととかなわないこと。よしあし。正邪。
(2) よしあしの判断・批評。品評。
(『広辞苑 第七版』岩波書店)

と記載されています。

(1)に記されている「是と非」の意味をさらに調べていきましょう。

ぜ【是】
(1)道理にかなったこと。よいこと。正しいこと。
(2)よいと認めること。よいと認めた方針。
(3)満足すべき状態にあること。
(4)これ。かく。

ひ【非】
(1)よくないこと。道理にあわないこと。不正。あやまり。
(2)うまくゆかないこと。
(3)そしること。
(4)そうでない意。
(『広辞苑 第七版』岩波書店)

これらのことから、「是非」には、「正しいか正しくないか」という意味があるということが分かります。

例えば「新執行部の下、改めて業界団体への参加の是非について話し合った」というように、参加すること自体が正しいのか正しくないのかという判断を問う言葉です。

「参加の可否」は可能性を、「参加の是非」は正しさを問う

「参加の可否」は、参加すること自体は悪いと判断したり否定したりはせず、基本的には肯定した上で参加の「可能性」について問う言葉です。

一方「参加の是非」は、前述の通り、「参加することが正しいか正しくないか」という意味になるので、参加の意思を確認したい場合には適していません。

意味の違いを正しく理解して使い分けよう

「可否」「有無」「是非」のように、似ているけれど確実に意味の異なる言葉は多いものです。

意味の違いを理解しないまま使っていると、どこかで誰かの誤解を生んでしまうことがあるかもしれません。

多くは漢字の成り立ちからヒントを得ることができますが、皆さんの周囲では実際にどのように使われているのか、常にアンテナを立てて注意深く観察してみてください。

(松岡友子)

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