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ハラスメントの二次被害「セカンドハラスメント」とは? 原因と防止策

宮崎大輔

セカンドハラスメントとは、会社などにハラスメント被害を相談した結果、ハラスメントを受けた被害者がなぜか責め立てられたり、何らかの二次被害を受けたりすることをいいます。今回は、そんなセカンドハラスメントについて、弁護士の宮崎大輔さんに詳しく教えてもらいます。

セクハラやパワハラの被害を受け、勇気を出して会社に相談してみたものの、問題が解決するどころか逆にバッシングされたり、放置されたりする「セカンドハラスメント」を受ける人も少なくありません。

セカンドハラスメントは、一度に多数の人間から受ける場合もあり、セクハラやパワハラ以上に苦痛を伴うこともあります。

そもそもセカンドハラスメントが起こる原因は何なのでしょうか? また、セカンドハラスメントの防止策や対処法などについてもご紹介します。

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セカンドハラスメントとは?

セカンドハラスメントは、まだまだ耳なじみのない言葉かもしれません。

簡単に説明すると、会社などにハラスメント被害を相談した結果、ハラスメントを受けた被害者がなぜか責め立てられたり、何らかの二次被害を受けたりすることをいいます。

また、相談してみたものの一向に対処してもらえず放置されることなども、セカンドハラスメントとされます。

セカンドハラスメントの具体的なケース

ここからは、セカンドハラスメントをより深く理解できるように、実際に相談のあった具体的なケースを紹介します。

ケース1:責任転嫁から生じる二次被害

会社にセクハラ被害を相談したところ、会社側から「あなたから誘ったのではないか」「あなたにも原因があるのでは?」などと、こちらにも責任があるような言い方をされた。

こちらのケースは、ハラスメント被害を会社に相談した場合に最も起こりやすいタイプのセカンドハラスメントです。

一部ではありますが、会社側は、社内でハラスメント問題が起こったことを認めてしまうと会社自体の法的責任に波及する可能性があるので、及び腰になることもあります。

その裏には、会社としてはハラスメント被害の相談を受けても、とにかく問題をうやむやにしたいという本音がある可能性も考えられます。

ケース2:ハラスメント被害の放置から生じる二次被害

会社にパワハラ被害を相談したが、全く対応してくれず、逆にパワハラ被害が拡大した。

セカンドハラスメントの事例でケース1に次いで多いのが、会社に相談してもまともな対処をしてくれず放置され、会社に相談したことがばれて、よりハラスメントの被害が拡大するパターンです。

ケース3:プライバシーに対する意識が希薄で生じる二次被害

会社にセクハラ被害を相談したところ、会社中に相談内容が広がり、うわさになって居心地の悪さを感じた。

相談窓口が一元化されておらず、被害者の直属の上司が相談を受ける場合や、相談窓口を設置していても、相談内容に対するプライバシーの意識が希薄であることが原因となって生じるセカンドハラスメントです。

ケース4:加害者への適切な対応をせず生じる二次被害

会社にパワハラ被害を相談したところ、上司からパワハラをしているつもりはないと逆恨みされ、仕事をまわしてもらえなくなり、会社内での立場を失った。

ハラスメント被害に対して、会社が適切な対応を取らない場合(加害者の部署を移動させるなど)に起こり得るセカンドハラスメントです。

セカンドハラスメントが起こる原因

では、これらのセカンドハラスメントは、何が原因で起こるのでしょうか?

(1)会社がハラスメントについて周知・啓発などを行っていないから

会社が社員に対して、ハラスメントについて周知徹底をせず、被害への対応方針などをあらかじめ明確にしていないことが、セカンドハラスメントを生みやすい職場環境を作ってしまう原因といえます。

(2)相談窓口が機能していないから

会社の相談窓口が特定の部署から独立した機関ではない場合や、ハラスメント被害に対する事実関係の調査方法やプライバシーに対する配慮方法などが確立されておらず、相談窓口として機能していない場合は、そのような相談窓口自体がセカンドハラスメント発生の原因となる場合があります。

(3)被害者へのケアや再発防止策を徹底していないから

会社側が被害者に対するケアを怠り、適切な再発防止を講じない場合には、その対応自体がセカンドハラスメント発生の原因となることもあります。

セカンドハラスメントの防止策

では、会社側そして個人レベルでセカンドハラスメントを防止するにはどうすればいいのか。

まずは、会社側がセカンドハラスメントに対する意識をしっかり持つことが大切だと思います。

会社内でハラスメントについての研修を行い、就業規則などでハラスメントが生じた場合の対処法、被害者に対するケア、再発防止策などをしっかり明文化し、社員に周知することが何より大切です。

ただ、ハラスメントに対する意識の低い会社に所属している場合は、セカンドハラスメントを個人レベルで防ぐことはなかなか難しいのが正直なところです。

できることとしては、会社へのセカンドハラスメントの啓蒙や、上司や同僚への周知が一つの手にはなります。

セカンドハラスメントを受けた時の対処法

最後に、あなたがもしセカンドハラスメントを受けた場合に、どのように対処すればいいのかをお伝えします。

まず何よりも重要なのが、一連の出来事を証拠として残しておくことです。ですので、ハラスメント被害を相談する際の対応が肝になるのです。

例えば、相談窓口に相談する場合は、録音をしておくこと。相談窓口とのやり取りはできるだけメールを用いて証跡を残すことなど後で第三者が見ても判断できる証拠を残しおきましょう。

相談先としては、社労士や総合労働相談コーナーという都道府県ごとの窓口、ハラスメント問題に強い弁護士に相談してみるのもよいでしょう。

特に、セカンドハラスメントに対する意識が希薄な会社とやり取りをする場合は、弁護士のアドバイスが役に立つと思います。

また、厚生労働省が運営する「あかるい職場応援団」という総合情報サイトにハラスメントに関する有益な情報がたくさんありますので、ハラスメントのことについてお悩みの場合は、ぜひ一度確認してみてください。

セカンドハラスメントで苦しむ人が少なくなるように

お伝えしてきた通り、セカンドハラスメントの発生は会社側のハラスメントへの意識に由来する部分が多く、個人レベルではなかなか防ぎにくいものです。

ですので、ハラスメントを相談する過程から、セカンドハラスメンが起こった場合に自分の身を守れるよう対応しておくことが大切です。

セカンドハラスメントに苦しむ方が1人でも少なくなるように、社会全体の意識改革が進むように望みます。

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(宮崎大輔)

※画像はイメージです

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