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上司とは。良い上司と悪い上司の決定的な違い

ぱぴこ

良い上司とはどういう人なのでしょうか。ちゃんと評価してくれる人? それとも、自分の意見を聞いてくれる人? 私たちが理想とする上司像は、本当の意味で良い上司なのでしょうか。外資系企業で働くコラムニストのぱぴこさんに、上司とは何か、良い上司の定義とは何かについて聞いてみました。

良い上司と悪い上司。

仕事をしていく上での永遠のテーマともいえます。アラサーになると、会社によっては管理職に就く人も出てきて「理想の上司」を語る側から目指す側に移行していきます。恐ろしい。

「良い上司」なんて幻想じゃない? と思いながらも、自分の経験上、「良い上司」と「悪い上司」は実在したので記憶を掘り起こしながら考えてみましょう。

しかし、この「良い」「悪い」の2軸は、個人の意見や企業文化によっても左右される難しい軸でもあります。

また、「自分と合う」「合わない」といったニュアンス違いの軸とも混同されがちで取り扱い注意な指標です。正直なところ、このテーマを書くことにドキドキしています。

上司の定義とは。先輩とは何が違う?

まずは、簡単に上司の定義から確認しましょう。前提として一般的な日本企業を対象とします。

上司とは自分より役職が上の人間を指し、入社年度や年齢などは関係ありません。役職が有るか無いか? がメインの判断基準です。

例えば、同部署に同期入社した2人がいたとして、片方が平社員、片方が課長だった場合、役職者である課長は同期ながら上司にあたります。

一方で、先輩は入社年数・勤務年数が自分より早い人の総称です。例えば、役職者が中途入社してきた場合は「上司だが社歴は自分が先輩」という関係が成り立ちます。

良い上司も悪い上司も文化と制度で変わる

あなたは「良い上司」と聞いた時にどんな人を思い浮かべますか?

一般的には「部下を成長させる上司」や「部下の悩みや業務を理解し、導く上司」などが想定されます。

しかし、「何もしないで社内ニートをしたい」部下にとって、「部下を成長させる上司」は最悪だと感じるでしょう。このように職場の目的や部下のモチベーションによって良い上司、悪い上司の定義は変わります。

また、部下個人の思想だけでなく、文化や制度でも違いがあります。これを明確にした面白い調査があります。リクルートマネジメントソリューションズが実施した「RMS Researchアジア4カ国の上司像と働き方に関する調査2012 」です。

本調査では日本・中国・シンガポール・インドのアジア4カ国での定量調査が行われ、その結果が報告されています。それによると、日本は他国に比べ明確に「理想の上司像」及び「上司に求めるコミュニケーション」が異なりました。

そこでは、日本における理想の上司に求めるものの半数が「状況に応じて柔軟に対応し、評価の詳細に対しては明示せず曖昧であること」となっており、他国の理想の上司像とは真逆だったのです。

つまり他国において評価を得る「良い上司」は、日本で同じ振る舞いをした瞬間に、半数以上の人間に「悪い上司」と評価されるわけです。

このデータからみても、万国万人に共通する「良い上司」「悪い上司」はいないことが分かります。

良い上司の3つの特徴

前項で確認したように、定義は背景により変わるという前提はあれど、書籍などで定義される目指すべき「良い上司」像はあります。ここでは、その特徴についていくつか挙げてみます。

参考記事はこちら▼

マネジメント能力がある人とは? こちらの記事も併せてチェックしてみてください。

(1)目標達成のための組織を作れる

上司にももちろん上司がおり、自らのKPI(目標を達成する上で、その達成度合いを見るための指標)が設定されています。

部下個人にとっての「良い人か?」は短期的には重要かもしれませんが、自分のボーナスや査定に影響を与えるのは上司がその役割を全うし、売上目標を含むKPIを達成できるか? にかかっています。

どんなに人が良く人格的に優れた上司でも、常に目標達成できておらず、部門業績が悪い状態が続いていたら、それは良い上司ではありません。

また、評価が給与に反映されない状態が続けば、有能な人材は流出してしまいます。そういった意味でも、自分が課せられた役割を全うするための組織を作れる上司は、良い上司といえるでしょう。

(2)ミッションの共有が明確

ミッションとは「チームや組織が実行すべき事柄」や「企業が社会的に果たすべき使命」という意味で使われます。このミッションを明確にして、部下と共有できる上司はゴール設定が明確で良い上司です。

「とにかくやれ」という押し付け型ではなく、「何のためにやるのか」を伝えることで自発的な行動を引き出すことができます。また、部下が「どうするべきか」を自分で考え実行するようになるので、チームの馬力を上げることにつながります。

(3)部下へ具体的な評価ができる

部下へ期待していること、やってほしいことを明確に伝えられ、かつその成果をフィードバックできる上司は良い上司です。評価・査定は上司によって実施されます。部下が「正しい評価を受けていない」と感じるとモチベーションの低下は免れません。

部下の成長について必要なことを把握し、それに対する成果をしっかりと見る。そして、具体的な評価をすることで部下の成長を促すことができる上司は優秀です。

悪い上司の3つの特徴

反対に悪い上司の特徴は何でしょうか? 良い上司は、実行力があり、目的の共有ができて、部下を導ける人でした。悪い上司の場合、端的に言えばその逆です。

(1)「嫌われない良い人」であろうとする

職場は仲良しクラブではないですし、部下は子どもでも友人でもありません。しかし、「良い上司」と「良い人」を履き違え、部下にはっきり物を言えないなど弱腰な態度に出てしまう人はいます。

過剰にプライベートの相談に乗ろうとしたり、はっきりと指摘しないでいたりすると、「上司の役割」を全うすることができなくなります。上司は上司たる役割を果たす必要があるので、それができなければ悪い上司になります。

(2)偉いと勘違いし、上から目線

職位や地位を鼻にかけて、上から目線で命令するような上司は悪い上司といえるでしょう。上下関係は、組織をうまく運営するための「役割」です。

上司の権威付けや、プライドを保つための不要なダメ出しや指摘が続けば、部下のモチベーション低下は避けられません。

(3)言っていることに一貫性が無い

部下の仕事は、上司の発言に左右される部分が多いです。そのため、上司の発言や行動が気分で変わると、部下の仕事も変わります。

「Aをやる!」という指示で動いていたのに「AじゃなくBだ!」「やっぱりCだ!」と発言がコロコロ変われば、それによる確認や修正などで余計な工数がかかります。

単純な仕事量の増加と、「やったことが無駄になる」「確認しても意味が無い」などが重なれば部下の疲労も増加します。一貫性が無い上司は悪でしょう。

参考記事はこちら▼

「ダメ上司」と呼ばれる人にはいくつか特徴があります。あなた自身はダメ上司になっていませんか? 10の質問で診断します。

理想の上司とは

理想の上司は、仕事ができて統率力があり人格者というスーパーマンですが、スーパーマンを目指すのは現実的ではありません。ただ、理想としては「上司という役割を全うする」ということを理解して振る舞える上司でしょう。

また、悪い上司で述べたように嫌われる、嫌がられることを避けようと、良い上司ではなく「良い人」を目指してしまうと全てが崩壊しかねません。

上司も役割の1つです。業務の範囲が広がり、役割が変わったとはいえ、1プレイヤーだった時と同じように求められている成果を出すことに変わりありません。

その上で、自分の役割を全うするために、チームの増強を目指すという意味でも部下の成長を促す視点を持っていきましょう。

(ぱぴこ)

※画像はイメージです

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