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冷凍やレンジでの調理はOK? ブロッコリーの栄養素と効果

栄養の基本

北村絵梨子(管理栄養士)

ブロッコリーの栄養素やその効果を、管理栄養士の北村絵梨子さんが解説。「冷凍でも栄養素は変わらない?」「電子レンジ調理はOK?」など、栄養素を逃がさない調理方法や食べ方のポイントを紹介します。

料理の彩りとして、添野菜として、と脇役のイメージが強いブロッコリー。何気なく口にすることも多いですが、実は栄養素が豊富な野菜なのです。

今回はブロッコリーの基本的なお話と栄養素について、また電子レンジなどで手軽に調理する方法などを解説します。

ブロッコリーとは?

ブロッコリーはアブラナ科の緑黄色野菜で、キャベツ類の仲間とされています。別名「イタリアンブロッコリー」といわれ、昔からイタリア人が好んで食べていたようです。

私たちが食べているのは花蕾(花のつぼみ)や花茎の部分。旬は11月から3月頃です。

ブロッコリースプラウトは仲間?

ブロッコリースプラウトとは、ブロッコリーの種を発芽させたもの。「スプラウト」とは、英語で新芽のことを指します。

生食に向く手軽さから、近年人気が高まっている食材の一つです。

突然変異で生まれたカリフラワー

ブロッコリーと形状の似たカリフラワーは、同じくキャベツ類の仲間です。

ブロッコリーが突然変異した後、品種改良が進み、今のような形になりました。色はもちろん、味や栄養成分にも違いがあります。

キュッとした独特の食感で、菜の花のような味がするブロッコリーに対して、カリフラワーはモロっとした食感で、キャベツのような淡白な味が特徴です。

栄養成分の大きな違いは、皮膚や粘膜の健康維持を助ける働きをもつβ-カロテンの含有量。ブロッコリーにはカリフラワーの約50倍のβ-カロテンが含まれています。

ブロッコリーの栄養素と効果

生のブロッコリー100g当たり(大きさにもよりますが、ブロッコリー1房の重さは約380g)の栄養成分を見てみましょう。

ブロッコリーにはビタミンC、β-カロテンなどのビタミン類や、カルシウム、カリウムなどのミネラル類、食物繊維も豊富に含まれています。

ブロッコリー(生) 100g当たりの栄養成分

エネルギー 40 kcal
たんぱく質 5.4g
脂質 0.6g
炭水化物 6.6g
ナトリウム 7mg
カリウム 460mg
カルシウム 50mg
マグネシウム 29mg
1.3mg
亜鉛 0.8mg
レチノール活性当量(ビタミンA) 75μgRAE
β-カロテン 900μg
α-トコフェロール(ビタミンE) 3.0mg
ビタミンB1 0.17mg
ビタミンB2 0.23mg
ナイアシン 1.0mg
葉酸 220μg
パントテン酸 1.42mg
ビタミンC 140mg
食物繊維 5.1mg

出典:日本食品標準成分表 2015 年版(七訂)デ ータ更新2019年

ビタミンC含有量は野菜の中でトップレベル

特に、生のブロッコリー100g当たりのビタミンC含有量は、主要な野菜の中でもトップ10に入ります。

ビタミンCは、肌のシミの緩和や、鉄の吸収を高め、貧血の予防などに働きます。また、病気から体を守る免疫系が適切に働くのを助ける作用もあります。

レモン約4個分のビタミンC

ブロッコリー1房(約380g)のビタミンCは532mg、レモン果肉1個分(約120g)のビタミンCは120mgとなりますので、ブロッコリー1房にはレモン約4個分のビタミンCが含まれています。

ブロッコリー1/5房で1日分のビタミンCが摂れる

このようにブロッコリーのビタミンC含有量は高く、およそ1/5房分食べることで、1日当たりの推奨量(100mg)を摂ることができます。

肌の健康状態を保つβ-カロテン

ブロッコリーに豊富に含まれているβ-カロテンは、皮膚や粘膜の健康維持を助けるなどの働きがあります。

また、β-カロテンは油と一緒に調理することで、吸収が良くなります。おすすめは電子レンジで加熱したブロッコリーを、ごま油と醤油で炒めたきんぴらなどの料理です。

たんぱく質や葉酸にも注目

たんぱく質含有量も緑黄色野菜の中では比較的高く、絹ごし豆腐100gのたんぱく質含有量とほぼ同等です。

また、女性の場合は、豊富に含まれる葉酸にも着目したいところ。葉酸は貧血予防にも効果があるといわれています。積極的に摂るようにしましょう。

たんぱく質であれば約3房分、葉酸であれば約1.1房分のブロッコリーがそれぞれ1日分の推奨量(たんぱく質:50g、葉酸:240µg)に値します。全てをブロッコリーで補うには難しい量かもしれませんが、他の食材と組み合わせながら効率的に栄養素を摂取しましょう。

注目のスルフォラファンとは?

加えて、上記の栄養素一覧に含まれてはいませんが、ブロッコリーに含まれるスルフォラファンが近年注目されています。

スルフォラファンとは、ファイトケミカルの一種。肝機能の改善、抗酸化作用、花粉症などの炎症を抑制する効果があると考えられています。

なお、ファイトケミカルとは、野菜や果物に多く含まれる色素や辛味、香りの成分。生命活動に必須の栄養素ではありませんが、病気を予防する効果や老化の原因となる活性酸素を取り除く効果が期待されており、現在も研究が進められています。

ブロッコリーの調理方法

肌のシミの緩和や貧血予防などの効果が期待できるブロッコリー。ここでは、おいしく摂取するための調理方法を見ていきましょう。

栄養素を逃さないためのポイントとは?

ブロッコリーは大量のお湯で茹でると、水溶性ビタミン(ビタミンB1やB2、ビタミンCなど)やミネラル類が、茹で汁の中に溶け出してしまいます。

一方で、蒸す、電子レンジでの調理は、水溶性ビタミンやミネラル類の損失が少ないので、栄養素を逃しにくい調理方法であると考えられます。

調理方法1:電子レンジ

電子レンジを使うと便利です。水分が蒸発するので少し固めに仕上がりますが、しっかりと余熱で火を通しましょう。粗熱がとれるまでそのまま放っておけばOKです。

1.株のままのブロッコリーに、水をかけます。

2.水分がついたままのブロッコリーを耐熱皿にのせて、ラップでゆるく包みます。

3.ラップで包んだブロッコリーを電子レンジに入れて500Wで3分(600Wなら2分30秒、700Wなら2分)加熱します。

4.取り出したブロッコリーが冷めてから、小房に分けます。

調理方法2:蒸す

前述のとおり、蒸す調理方法も栄養素の損失が少ないのでおすすめです。

蒸し器を使うのは大変、という方には、フライパンで蒸し焼きにするといいでしょう。ふっくらとした仕上がりになります。

1.小房に分けたブロッコリーをフライパンに入れ、塩を少々振ります。

2.ブロッコリーを入れたフライパンに水を100ml注ぎます。

3.ふたをして、中火で約4分蒸し焼きにします。

調理方法3:茹でる

茹でることによって栄養素が逃げてしまう懸念はありますが、鍋で塩茹でにすると、ホクホクとした柔らかい仕上がりでおいしく食べることができます。

1.ブロッコリーを小房に分けます。

2.小房に分けたブロッコリーを、塩(お湯の容量に対して1~2%程度の塩)を加えたたっぷりのお湯に入れます。

3.2~3分茹でた後、ザルに取り自然に冷まします。

時間がないときは、水をかけて冷ましてもOKです。ただ、つぼみが水を含んでべちゃっとした食感になるので、水気をしっかりと拭き取りましょう。

ブロッコリーの疑問Q&A

最後に、多くの人が気になっているブロッコリーの疑問や豆知識についてお答えします。

食べ頃のブロッコリーの選び方

ブロッコリーを選ぶときは、

・茎が太くてしっかりしているもの
・切り口がみずみずしいもの
・花蕾が小さく詰まっていて全体的に丸く盛り上がっているもの
・濃い緑色のもの

を選びましょう。黄色の花が咲くと、全体的に色があせて黄緑色になり、味や香りが悪くなってしまいます。

ブロッコリーの洗い方

ブロッコリーは小分けにすることで、房と房の間にある汚れが落としやすくなります。

丸ごとサッと水洗いしてから小房に切り分け、水を張ったボウルに入れて流水を当てながら洗いましょう。

冷凍ブロッコリーにも栄養素はある?

ブロッコリーのビタミンや食物繊維の含有量は、冷凍保存しても概ね保たれているという研究結果が報告されています。

仕事が忙しい時や、手軽にブロッコリーを食べたい時は、コンビニなどで売られている冷凍ブロッコリーを利用してもいいですね。

なお、冷凍ブロッコリーは、自然解凍すると水っぽい食感になってしまいます。凍ったまま、煮る、蒸す、炒めるなど直接加熱して急速に解凍するようにしましょう。

煮込み料理やスープなどに利用することで、水っぽい食感になるのを防ぐこともできます。汁ごと食べれば水溶性のビタミンCを効率良く摂れるのでおすすめです。

ブロッコリーで手軽に栄養素を取り入れよう

ブロッコリーは栄養素が豊富で、さまざまな調理法で食べることが可能です。また、冷凍保存されたものでも、概ね栄養成分が保たれているので、手軽に栄養素を取り入れることができ、忙しく働く人におすすめの万能食材といえるでしょう。

また、ブロッコリーは脂質が少なく味にクセがないので、どんな調味料でも合わせやすいです。油との相性が良く、マヨネーズと合わせて食べることも多いのですが、エキストラバージンオリーブオイルに塩を少しかけたシンプルな食べ方もおすすめ。ブロッコリー本来の味を楽しむことができますよ。

このように各調理方法のポイントを押さえて、ぜひ普段の食事にブロッコリーを取り入れてみてくださいね。

(北村絵梨子)

※画像はイメージです

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