アウトプットがうまい人は仕事ができる。上達するための3つのトレーニング方法
「仕事をする上で、アウトプットが重要である」という言葉を聞いたことがあります。なんとなくの意味は分かるものの、結局、何をどうすればいいのでしょうか? 多くの人からキャリア相談を受けている人気コラムニストのトイアンナさんにアウトプットについて詳しく伺いました。
「もっとアウトプット(成果)を重視して」と言われても、勤勉な人ほど困ってしまうんじゃないでしょうか。
というのも、現代の日本では努力を褒められることの方が多いから。要領よく仕事を終わらせて17時退社する社員より、残業で21時まで残る人の方が「頑張ってるな」と言われることも。
新型コロナウイルス感染症の影響で在宅勤務が増えた時「テレワーク中も業務態度を確認するために、画面の前に座っている時間を計測するシステムを開発」なんてニュースが流れた時は、膝から崩れ落ちるかと思いました。
PCと向き合った時間が、成果につながるわけじゃない!
そこで、誤解されがちな「アウトプット」の意味を再度固めつつ、アウトプットを上達させる方法を解説できればと思います。
アウトプットとは何か、その目的とは?
アウトプットとは「成果」です。成果とは、会社ですと最終的に「どれくらい金もうけにつながったか」を指します。たとえ10時間Excelと格闘しようが、売上につながらなければそれはアウトプットではありません。
逆に、5分の努力でも売上が1億作れたなら、それは立派なアウトプットです。このようにアウトプットとは「最終的な目的へ貢献する成果」のことを意味します。アウトプットなくして企業は存続できませんし、あなたの給料も生まれません。
学校で例えるなら、いくらきれいにノートを取っても、テストの点が低ければ「アウトプットができていない」となります。逆に徹夜でゲームしてからテストを受けても満点が取れるなら、それは立派なアウトプットです。
アウトプットを意識するメリット
アウトプットを意識するメリットは、シンプルに「お金もうけや受験合格など、利益があるから」です。
受験勉強で学問を楽しむことや、仕事でプロセスにこだわることも人生の大事な側面です。しかし、好きな科目ばかり勉強して受験で不合格になったり、会社の売上を赤字にしたら本末転倒。
アウトプットを意識すると、お金もうけや合格以外にもメリットが多数あります。詳しく見ていきましょう。
(1)最短でビジネススキルが上がる
アウトプットを意識すると「最後はこうやって会社の売上につながるから、最短距離を走るならこうすればいいんだ」と、効率的な道が見えます。
ゴールを見ながら走るので、仕事や勉強でも寄り道しなくなるのです。最短時間でビジネススキルが上がるため、出世や評価にもつながります。
(2)趣味の時間が増える
仕事や勉強で効率が上がれば、残った時間は自分のもの。「テストに出ないけれど、やりたい科目」を勉強してもいいですし、趣味に没頭してもいいのです。
アウトプットを意識すると、「やらなければならないこと」が先に片付きます。ですから、残った時間を「やりたいこと」に割けるのです。
(3)仕事で評価される
冒頭で「今の日本ではアウトプットなんて、会社は求めてないんじゃないの?」と暴言を吐きましたが、一度「仕事が早い人」と見なされれば、しっかり評価されます。
仕事が効率良くできる人には責任ある仕事が回ってきますし、昇進も早まります。キャリアアップを狙うなら、アウトプットへの意識は必須といえるでしょう。
アウトプットが苦手な人の特徴
では、逆にアウトプットが苦手な人の特徴は何でしょうか。いくつかまとめてみました。
(1)インプットが仕事だと誤解している
インプットとは、何かを学習したり、取り組んだりする時間のこと。いくら取り組んでも売上にならなければ、仕事としては0円の価値になってしまうのですが「だって頑張ったもん」とは誰しも思いたいものです。
私もやりがちな思い込みなので、常に「これは売上につながる努力か?」と問い直す必要があります。
(2)完璧主義
プレゼンの資料や提出書類は、上司に見せる時点で「100%」の出来じゃなければいけないと思っていませんか?
ビジネススキルが育つ前は、むしろ半分くらいできた時点で見せた方が、最終版を作る前に修正ができて上司は助かるものです。アウトプットが苦手な人は、頭では分かっていてもつい100%の出来栄えになるまで、修正を続けます。
(3)生真面目な努力家
アウトプットが得意な人って、要するに「最短時間で仕事を終えたい人」なので、怠惰ともいえます。逆にアウトプットが苦手なタイプは、とことん仕事に向き合いたい努力家が多い印象です。
その努力が効率的に成果へつながればいいのですが、苦手な人ほど「美は細部に宿る」と、成果へ無関係な部分にこだわってしまいます。
アウトプットが上達する3つのトレーニング方法
ここからは、アウトプットが得意になる3つのトレーニング方法をお伝えします。
(1)最初に「アウトプットは何になるか」を書き留める
何かを学ぶ時、漠然と「〇〇を勉強しよう」と取り掛かるのではなく「〇〇のプレゼンが2週間後にあるから、その資料を集めよう」と、アウトプットを意識してください。
そして、実際に「〇〇のプレゼン資料を集める」などと、アウトプットにつながる目標を書き留めましょう。視界に目標を書き留めるだけでも、アウトプットを意識した行動ができます。
(2)自分のキャパシティを超えるアウトプット量を自分に課す
アウトプットが苦手なのは、自分がアウトプットに追われていない状況にいるといえます。いかに仕事上手でも「1日に10回プレゼンがある人」はインプットにこだわり抜けなくなります。
効率的に学習しないとアウトプットが間に合わない! と思えるほど、発表や提出の場を自分に与えましょう。
職場だけでなく読書会やサークルなどで発表する場を無理やり設けて「こだわったら間に合わない」状況に自分を追い込めば、アウトプットを意識しやすくなります。
(3)アウトプットを意識してインプットする
アウトプットを改善する最高の方法は「インプット(学習)」にあります。本を隅から隅まで読むようなインプットではなく、成果物の資料に適した部分だけを読むように意識する。
ネットでも検索結果を全ページ見るのではなく、「これが一番近そうだな」というページにアタリをつけて読む……といった、アウトプットを意識したインプットを心掛けてください。
アウトプットが苦手な人は意外と多い
ここまで、アウトプットを意識する方法をいくつかご紹介してきました。冒頭の通り、職場によってはアウトプットを考えづらい環境にあった方も多いと思います。しかし、最後に会社で選ばれるのは何だかんだいっても「売上を作る人」です。
これからどんな不景気が来ても「あなただけは残ってほしい」と言われる人材になりたいなら、今からでもアウトプット思考を始めてみましょう。
(トイアンナ)
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