辞めたい。仕事に疲れた時の間違った対処法
仕事に疲れた時、みなさんはどのように対応していますか? 休みたい、辞めたい、リフレッシュしたい、さまざまなことが頭に浮かびますよね。実は対策としてやってはダメなことがあるのです。心理カウンセラーの小日向るり子さんに詳しく教えてもらいました。
「仕事疲れた! 辞めたい!」。
社会人であれば誰もが一度はこんな感情を抱いたことがあるのではないでしょうか。
しかし、仕事により経済的な基板を作り安心を得ることは生活の基本。やめたくなったから辞める、とはいかないのが現実ですよね。
今回は、現在の女性が仕事に疲れる状況を解説し、仕事に疲れた女性が取ってはいけない行動やおすすめのリフレッシュ方法をお伝えしたいと思います。
仕事に疲れたと感じやすい時とは
それではまず、女性が仕事に疲れたと感じやすい場面を挙げてみます。
(1)業務が多忙な時
仕事が忙しい時に女性が最も削ってしまいがちなのが睡眠です。
しかし睡眠不足が続くと身体の疲労がとれず、思考能力も落ちるため、仕事のペースダウンやミスの誘発要因になりやすく、忙しいのにさらに業務時間が増えるという悪循環に陥ってしまいがちです。
また睡眠不足は抑鬱感情を引き起こしやすいため精神的な疲労感も増長させてしまいます。
(2)職場の人間関係がうまくいっていない時
職場で苦手な人がいる、パワハラなどのハラスメントを受けているといった場合は「仕事に疲れた」というよりも「人間関係に疲れた」状態です。
その他、仕事で悩んだり手順がわからなかった時に聞ける人がいない、といった孤立感も精神的な疲れを誘発します。
(3)プライベートとの両立が困難になった時
仕事をしてお金を稼ぐことはプライベートを充実させるための大切な手段。
そうであるにも関わらず、彼と休みが合わずにまったくデートができない、同居している家族の介護がある、などプライベートな時間が充実できないと、仕事をすることに虚しさを感じてきます。
(4)業務が自分に合っていないと感じた時
人には「適材適所」があります。しかし組織にも業務改変、人材膠着や顧客との癒着防止などの理由により人事異動をする場合があります。
会社といっても業務はさまざまです。異動した部署が自分に合っていない場合、それまで楽しかった仕事が一気に苦痛になるということは珍しいことではありません。
転職? 辞めるべき? 仕事に疲れた時にやってはダメなこと
それでは次に、仕事に疲れた時にやってはダメなNG行動をお伝えします。
(1)衝動的に辞めてしまう
辞めた後は多かれ少なかれ「敗北感」を感じるものです。この感情をこじらせると自己否定につながり、それは再度社会に出る際の不安要素となります。
休職制度が使えないか、有給制度で可能な限り休めないか、異動を打診できないか、まずは諦めずに「組織に居続けながら自分自身を休めることができる方法」を考えてみましょう。
(2)周りと比較して自分を鼓舞する
協調性を大切にする日本人によくありがちなのがこれ。「○○さんなんてもっと働いているのだから自分はもっと頑張らなくては!」と自分を鼓舞してしまうのです。
人はそれぞれ基礎体力も精神力も違います。疲れている自分自身に焦点を当ててください。
(3)過度なストレス発散
過度な行動とは「仕事のストレス発散」という名目のもとに発散行為を「過剰に」してしまうことです。
たとえばお酒の飲み過ぎ、過食、栄養ドリンクの大量摂取などが該当します。それらでスッキリできるのは数時間。切れると倍の疲れが襲ってくるだけです。
(4)経済的共有者に吐き出す
たとえば同棲している彼氏や経済的援助をしている家族などです。特にあなたの経済力で生活している割合が高い人に対しては注意しましょう。
身近にいる人に感情を吐露したい気持ちはわかりますが、経済を頼っている人はあなたに辞められたら困る事情があります。
そのためつい「頑張れ」「辞めちゃだめ」など気持ちに寄り添ってもらえない反応が返ってくる可能性が高く、その場合さらに疲労感や虚しさが募ってしまいます。
まずはリフレッシュ? 仕事に疲れた時の対処法
それではここからは仕事に疲れた時の対処法について解説していきます。やっていただきたいことを順を追って書いていきます。
(1)ゆっくり休む
心身の一時的な疲弊はゆっくりと休めば必ず回復します。疲れた心身ではネガティブな思考しか出てきません。
頭が「退職」でいっぱいになっていても、今は疲れているからこういう考え方しか浮かばないのだと考えてください。
(2)楽しいと思うことをやる
あなたが「楽しい」「癒される」と感じることはなんですか? 映画を観る、旅行、ショッピング、温泉、布団でゴロゴロ、など個々にあると思います。
自分の中の楽しさや癒しを思い切り感じてください。
(3)仕事に疲れている理由を考えてみる
ゆっくり休んでリフレッシュした後は、仕事に疲れてしまった理由を考えてみてください。
疲れた時は理由を考える力もないものですが、休めて回復した脳で考えるとクリアに浮かんでくるものです。
(4)自分にとって仕事とは何かを問いかけてみる
「仕事とは何か」を問いかけてみましょう。生活するため、家族のため、独立する時の資金、自己実現、など浮かんだものを紙に書きだして優先順位の高い順番に並べてください。
そうして自分が働く意味をじっくりと考えてみるのです。
(5)転職・退職について考えてみる
(3)で仕事について考えた時に転職や退職という選択肢が出る可能性もあります。
そうした場合は社内規定を読み返して退職金のことや有給消化について調べてみる、転職情報を集めてみる、など具体的に詰めてみましょう。
そうしているうちに、退職・転職という選択肢がなくなる場合もありますが、それもひとつの結論です。
仕事に疲れたらまずは休んで頑張らない
仕事には向き不向きがあり、みんなができているから自分も同等にできる業務ばかりではありません。
しかし、疲れた心身からは自分を責めるネガティブな感情しか出てこなくなります。
疲れてしまったら「同僚は頑張っているのだから」「自分が抜けたら部署に迷惑をかける」という気持ちはいったん横に置いて、まずはゆっくりと休んでリフレッシュしましょう。
その後で仕事について真剣に考えて出た決断は、それが退職であっても敗北ではなく再決断です。
(小日向るり子)
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