悪い男は「遊んだほうがいいよ」とささやきかける #悪い男の恋愛ブラックファイル
幸せな恋愛をするためには「悪い男に捕まらないこと」が一番大事。この連載では、恋愛を語る奇術師・浅田さんが、悪い男たちの恋愛手口を紹介します。
お嬢さん。
幸せな恋愛をゲットするための、たったひとつの冴えたやり方をご存じでしょうか?
それは「悪い男に捕まらない」こと。
いいですか?
この世には、貴女の心と身体を奪おうとする獣や悪魔がたくさんいます──いま、この画面を見ながら想像したよりもずっと。本連載では、そんな「悪い男」の手口を紹介していきます。
それをどうか心の中にファイルしてください。危ない色のファイルですが、いつか役に立つときがくるはずですから。
本日の恋愛ブラックファイル
「いろんな男を知らないとさ」
「もうちょい、遊んだほうがいいかもね」
「ハメをはずせるのって、いまだけじゃない?」
わかりますか、この感じ。
さらりと「貴女のためだから」と遊びに誘ってくる感じ。
正直、心もゆらぎますよね。確かに、残された人生で、いちばん若いのはこの瞬間です。仕事やプライベートで、どんどん責任や立場も重くなるでしょう。自由なこともできなくなる。
そっか。そういう大人の考え方もあるんだ。
恥ずかしくて、首を縦にふるわけにいかないけれど。内心はドキドキしっぱなしです。相手の男性に清潔感があって“アリ”ならなおさら。そこで腰に手をそえられたりなんかして、ますます想像がめぐります。
そうだよね。彼の言うことも正しいのかも。遊べるのはいまだけだし、楽しむのは悪いことじゃないはず。たくさんの男性を知ることで、見えることがあるのかもしれない──。
ダウト!
お嬢さん。それが悪い男のブラック恋愛術なのですよ。
よろしいですか?
悪い男は「遊んだほうがいいよ」と簡単にささやきかけるのです。貴女がその言葉に弱いのをわかって、自分の欲望の方向にコントロールするために。
この手口を使う悪い男のタイプ
ズバリ「ささやき悪魔系男子」です。
このタイプは非常に策士です。
女心というより、人間心理を知りつくしています。人間はどんな言葉に弱いのか──それを利用するわけです。
特徴は誘導的な会話をしかけてくること。
オラオラ系男子のように「遊ぼうよ!」「好きだよ!」と直接的な物言いをすることはありません。あくまで「君のために言うけど……もうちょい遊んだほうがよくない?」と女性側から選択するようにささやくのです。
思わず「確かにそれが正しいような……」と感じるかもしれません。つい誘惑に負けそうになるのもわかります。とても甘く語りかけてくるでしょうから。
しかしその正体は、己の欲望のために貴女をコントロールしようとする悪い男なのです。
この手口を使う効果と男性心理
悪い男がこの手口を使う理由はシンプルです。
貴女の価値観を都合のいいように変えるため。
いわゆる女性が「大切な恋人にしか身をまかせたくない」と考えるのは当然のことです。同時に、それは悪い男にとって都合の悪いことでもあるのですね。
だからこそ、
・遊ぶのは悪いことではない
・むしろ人生を知るために大事なことだ
・なんだったら手伝いますよ
というふうに価値観を変えようと、悪魔のように耳元でささやくのです。
その結果遊ぶことになったとしましょう。
それも貴女が望んだことなのだから──そういう価値観を与えられたからですが──自分は悪いことはしていない。むしろ願望を叶えてあげたのだ、というわけです。
そのあとも、彼は、貴女の味方のふりを続けることでしょう。
自分は悪者にならず、あくまで貴女のほうから道を踏み外すようにささやきかける。そして、何くわぬ顔で貴女の腰に手をあてる。非常にズルい手口。
まさに悪い男のブラック恋愛術です。
この手口の見破り方と対処法
この手口の見破り方を紹介します。
とてもシンプルです。
とにかく「遊んだほうがいいかも」式のトークに気をつけること。
どんな場所で、誰が、どんなふうに口にしようと関係ありません。結局のところ「貴女が遊ぶことを正当化しようとしてるか?」だけに注目してください。
そうであればアウトです。
古今東西、悪魔というものは、美しい顔と美しい言葉で誘惑してくるものです。つまり、どれだけ説得力があっても、ルックスが良くても、ムードに酔わされても、信頼できる気がしても、悪魔は悪魔です。
悪い男は、貴女をそそのかすためなら、どんなシチュエーションだって用意してみせるでしょう。とにかく上のセリフに注意してください。
もちろん、私たちは大人です。
どんなことだって本人が(貴女が)それでいいと思ったのであれば文句はありません。遊びたければ遊べばいい。いましかできないことをすればいい。それもひとつの考え方でしょう。
しかし、その価値観が「誰によって、なんのために作られたものか?」を考えるのは無駄ではないかもしれません。
お嬢さん。
その価値観、誰といるときに作られたの?
(文:浅田悠介、イラスト:ますだみく)