お使いのOS・ブラウザでは、本サイトを適切に閲覧できない可能性があります。最新のブラウザをご利用ください。

ありのままの自分とは? ありのままを受け入れる方法

熊谷佐知恵(心理カウンセラー)

中田ボンベ@dcp

ありのままの自分とは? 素の自分を見せたら嫌われると、ありのままをオープンにできない人もいることでしょう。でも、自分らしくいたいですよね。今回は、ありのままの自分を受け入れる方法を、心理カウンセラーの熊谷佐知恵さんに聞きました。

よく「ありのままでいることが大事」といいますが、中にはそうすることが難しい、受け入れられないという人もいます。その場合、どうすればありのままの自分でいられるようになるのでしょうか? また、ありのままでいることには、どんなメリットがあるのかも気になるところ。そこで今回は「ありのままの自分を認めて幸せになる方法」を心理カウンセラーの熊谷佐知恵先生に教えてもらいました。

「ありのままの自分」の意味とは

「ありのままの自分」とは、ただそのままの自分を認め、受け入れている状態を指します。どんな状況であろうと、自分のことを客観的に受容できている状態ですから、ある種「悟りの境地」のような状態ともいえます。

近年、ありのままに生きられない苦しみや生きづらさを感じる人が増え、自己否定や自己肯定感などのキーワードに興味を持つ方が多くなりました。自分の内側で感じていることと、他者に対して取り繕っている自分とのちがいが自覚できるくらい、私たちの意識は広がりを持ちつつあるのかもしれません。

「ありのままの自分」とは、「ありのままではない自分」であると認識したあとで、私たちの中に生まれる「実態と認識の自己一致」だといえます。まるごとの自分を受け入れられているという意味でも、自分に対しての葛藤がなく、とてもシンプルで清々しい境地なのかもしれませんね。

「ありのままの自分」を認めるとどうなる?

「ありのままの自分」を認めるメリット

誰でも思春期のころには自意識が高まり、多かれ少なかれ自分に対してコンプレックスを持ちはじめます。たとえば人よりも「鼻が低い」とか「眉毛が太い」とか……。

その後もコンプレックスはいろんな分野で生まれます。そのコンプレックスがあるために、あるいはコンプレックスがないことで、「彼氏ができない」「自分は魅力的ではない」「愛されない」と思い込んでしまいます。

でも、そうしたコンプレックスも、あなたの魅力の一部として輝かせることも可能です。自分のどんなことに対しても「そうかもしれない」と否定せずに認め、受け入れられるようになると、自分が愛おしく感じられるようになれます。その悩みや苦しみをどのように克服したかの「経験」も、いずれ人に教えてあげられる誇れるものとなるでしょう。

そして何よりも自己肯定感がある人はとても魅力的です。セクシャリティーとは生命力そのものです。いいところも悪いところも、己の未熟さもすべて含めて自分だと認める清々しさは、人に好感を与えます。

「ありのままの自分」が認められない状態とは

「ありのままの自分」が認められない場合、自分ではないほかの誰かになろうとして不毛な努力を重ねてしまうことがあります。その結果、受け取れるはずの喜びを取りこぼしてしまうかもしれません。そして、いつまでもがんばっているのに満足できる結果が得られないとしたら、あなたの魂は喜べないかもしれません。

たとえば、他人の価値観や感情に大きな影響を受けたままで何かを成そうとするとします。しかしそれが自分の望まない方法であるなら、たとえ成功しても幸せや充実感は得られないでしょう。同じように、自分という人間の今の状態や思いを知り、認めることができないと、本当の意味での自己実現からは大きくそれてしまう可能性があるのです。

「ありのままの自分」が受け入れられない理由や原因

たとえば、子どものころにつくられた「親や他人のからの支配」から抜けられないでいる場合です。そのような人は、特定の誰か、あるいは特定でもない誰かに気に入られるように、嫌われないように、見捨てられないようにと、さまざまなルールや観念を自分の中につくってしまいます。「相手のニーズや期待にそぐわない自分は愛されない」という思い込みが、自分を素直に表現することを押しとどめてしまうのです。

カウンセリングの現場で「ありのままの自分」というキーワードが扱われるのは、主に自己表現がテーマになるときです。その場合、ありのままの自分は醜くて、弱虫で、卑屈で、未熟で駄目な人間という具合に、自己否定するくせが前提にあります。そして「本当の自分を知られてしまったら、自分は嫌われてしまうだろう」と強い怖れを持っているのです。

嫌われないように、見捨てられないようにと、相手の期待やニーズに合わせて生きてきた結果、自分の本当の気持ちやしたいことがわからなくなります。

そのルーツは、私たちの子ども時代にさかのぼります。子どものころに自分を表現した際、「うるさい!」「あっちに行っていなさい!」と親から怒られたり、無視されたり、知らない間に自分だけ置いて(買い物に)出かけられてしまったり……。こうした子どもからするとショッキングな体験が原因であることが多いのです。

そして、傷つき満たされなかったままの承認欲求があるので、自分以外の誰かに自分を認め、受け入れてもらうことを切望し、そのような関係に執着を持ち続けてしまうのです。

「ありのままの自分」を受け入れて好きになる方法

自分が長所・短所と思っている性格や資質でも、見方によって長所が短所になったり、短所が長所に変わったりします。結局はよい悪いのジャッジ抜きで「これが私」「これも私」と認めて受け入れるだけでいいのです。

どうしても「こんな自分は……」という思いが手放せないのならば、「駄目な自分もかわいい自分」と、これをしばらく呪文のように使って、自分を許せるよう試みるといいかもしれません。

結局、みなさん難しく考えすぎなんですよね。「本当の自分を見せたら嫌われてしまうかも」と怖がっていますが、それは誤解なのだと早く理解すべきだと思います。自分ではうまく本当の自分を隠せているつもりでも、大抵はすでにまわりの人にバレています(笑)。

ですから「自分が嫌っている部分も含めて、まわりの人は付き合ってくれているのだ」と、その事実に早く気づいてほしいですね。それに気づくことができたら、まわりの人に感謝の気持ちが湧いてくるでしょう。「みんな大好き!」と思えるかもしれません。そして「みんな大好き!」と思える自分を、私たちは嫌ったり、否定する必要はありませんよね。本当の自分が愛されている」「このままの自分でも受け入れられている」と感じられるからこその喜びであり、安心であり、幸せな人生なのですから。

もし自意識に捉らわれすぎたら、このように広い視点で物事を捉え直してみるのもオススメです。

素直に自分を認めることが大事

熊谷先生によると、「ありのままの自分」をうまく受け入れるには、広い視点で見て、自分自身を素直に認めることが大事とのこと。自分に強いコンプレックスがある場合は、それを認めたり、受け入れたりするのはそう簡単ではないかもしれません。しかし、それでも自分で自分を認め、受け入れいくことを心掛けることが重要のようです。ただ、自分ひとりではどうしても卑屈になってしまったり、前向きになれないことも多いでしょう。そんなときは、仲のいい友人に相談したり、カウンセラーに頼ってみるのもひとつの方法。自分を変えたいのならば、勇気をもって一歩踏み出してみてはいかがですか?

(文:熊谷佐知恵、構成:中田ボンベ/dcp)

※画像はイメージです

SHARE