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専門家に教わる「モチベーションアップ」の秘訣

高見綾(心理カウンセラー)

中田ボンベ@dcp

仕事に取り組む上で大事なのが「モチベーション」です。モチベーションが低いと、どんなに好きな仕事であってもポジティブな気持ちで取り組めませんよね。ただ、一度モチベーションが下がってしまうと、なかなか気持ちが切り替えられないもの。そこで今回は、モチベーションをうまくアップさせるための秘訣などを、心理カウンセラーの高見綾先生に聞いてみました。

モチベーションとは

まずは、モチベーションが下がってしまう理由や、モチベーションのタイプについて解説してもらいました。

なぜ、モチベーションが下がってしまうの?

たとえば残業したり、休日を返上する勢いで仕事をがんばっていたとします。その仕事がとても好きで続けていたけれども、自分の思うような評価が得られなかったり、期待より報酬が少なかったりすることが続くと、次第にやる気を失い燃え尽きた感覚に陥ってしまいます。私のところに寄せられる相談の中ではこのパターンが一番多いかもしれません。

仕事に対して情熱を持って取り組んでいて、それをまわりの人に見てもらえていない、思いが伝わらない、評価されないという場合、最初はそれでも前向きにがんばろうと思うものです。しかしそれが続くと諦めの感覚に変わります。人は何かを諦めると感情を抑圧します。「どうしてわかってもらえないんだろう」「この企画がダメなんて悔しい!」など、怒りや悲しみの感情を当初は感じていたのに、「どうせ何を言っても無駄だ」「どうにもならないだろう」という感覚になると、感情を抑圧してしまいます。感情とモチベーションには関係があり、感情を抑えるとますますモチベーションは下がっていきます。

また、がんばらなきゃいけないとわかっているけれど、モチベーションが下がってしまって心も体も言うことを聞かない、ということもあります。その場合は、そもそも自己肯定感が低いケースが多く見られます。「今の自分ではダメだ」「自分は変わらなければいけない」という自己否定感が根底にあると、その自己否定感や義務感を埋め合わせるためにがんばろうとします。しかし、そもそも本当にやりたいことではない場合、マイナスの自己評価を埋めるためのがんばりは燃え尽きやすく、結果的にモチベーションが下がってしまうのです。

モチベーションのタイプとは

モチベーションは大きく内的報酬と外的報酬にわけられます。

内的報酬

内的報酬は、仕事そのものが楽しい、おもしろい、ワクワクする、充実感や達成感がある、といった、私たちの内側から湧き上がってくる感情で得られる報酬のことです。子どものころに、寝食を忘れるほど漫画に夢中になった人がいるかもしれませんが、これと同じことです。私たちは、喜びや楽しさ、ワクワク感、充実感、達成感など、心が震えるものが大好きです。そういった感覚が得られると思えば、自然とモチベーションは上がります。好きなことはずっとしていても苦にならないというように、内的な動機によるモチベーションには持続力があり、前向きに取り組むための大きな力を与えくれるものです。

外的報酬

一方の外的報酬とは、金銭的な報酬や社会的な評価といった外から得られる報酬のことです。収入(給与)や社会的な地位(昇進)、周囲からの評価、名誉などです。ただ、外的報酬をどのくらい重視するかは個人によって異なるため、外的報酬がもたらすモチベーションのパワーについては個人差があります。本人が重要と感じていれば、内的報酬と組み合わさることで相乗効果が高くなります。

モチベーションアップの方法

もしモチベーションが下がってしまったら、どのようにして回復させるといいのでしょうか? 適切なモチベーションアップの方法を高見先生に聞いてみました。

今すぐできるモチベーションアップの方法

以下の5つのことを試してみてください。

(1)自分にご褒美を用意する

旅行や趣味のイベントに行く予定を立てたり、給料でほしいものを買うなど、自分にご褒美を用意します。「繁忙期が終わったら休みを取って沖縄に行こう!」と思えば、楽しい予定に向かって前向きな気持ちで仕事に取り組むことができます。

(2)友だちと一緒にサポートし合う

誰にも相談せずに悩みを抱え、自分だけで解決しようとしていると、あるとき限界がくることがあります。友だちに話してお互いにサポートし合うことができると、またがんばろうと思えます。今後の目標や進みたい方向性についても話しておくとなおいいですね。

(3)自分を褒める

自己肯定感が低いとモチベーションは下がりやすくなります。「今日一日を振り返って、自分を5個褒める」をセルフワークとして行ってみましょう。紙に書いてみるのもいい方法です。

(4)誰かを笑顔にしようと考える

ちょっとしたことでいいので、お客様や会社の同僚など、目の前の人を笑顔にしようと考えましょう。それが「そのために私は何ができるのだろう?」と創意工夫につながります。私たちは「誰かの役に立ちたい」と思っています。誰かの笑顔に貢献できた! と思えると、大きなパワーが湧いてくるものです。

(5)「あんなふうになりたい」と思える人を見つける

尊敬できる人やビジョンになる人を見つけましょう。その人を目標にできるため、進む方向性が明確になり、これがモチベーションアップにつながります。

モチベーションアップの効果

モチベーションをアップさせることで前向きになれる、といいますね。では具体的にどのような効果をもたらすのでしょうか? モチベーションアップの具体的な効果を高見先生に教えてもらいました。

モチベーションアップの効果

自分の意に沿わないことを押し付けられるのは一般的に嫌なものです。モチベーションがアップすると、この「押し付けられている感」が減り、「私自身がこれを選んだ!」という意識が芽生えます。主体的になることで責任感が出て、仕事にやる気が生まれます。すると、「もっとうまくいくためにはどうしたらいいだろう」「もっとお客様に喜んでもらうためにはこんなことをしたらどうかな?」など、創意工夫をする意欲が湧きます。

楽しみながら仕事に取り組むことができるため、高い成果が出やすくなります。そうすることで周囲の人から信頼され仕事の幅が広がるなどいい循環が生まれ、仕事そのものが発展していくこともあるでしょう。

自分の興味のあることや、好きなことをしていると、情熱やモチベーションは自然と湧いてくるものです。ただし、感情には波があるので、好きなことであっても一時的にモチベーションが下がってしまうこともあります。もしお客様と直接接するような仕事であれば、「お客様に喜んでもらうため」と思えば、多少疲れていたとしてもがんばれてしまうのではないでしょうか。「人に与えられるものが自分にはある」という感覚を持ち、「誰かのために自分が今できることをしよう」と考えると、安定したパフォーマンスを発揮することができます。

また、モチベーションはないよりあったほうがいいのですが、最初からモチベーションが上がらないからといって悲観しなくてもいいです。やる気が出ないときでも、とにかくはじめてみるとあとからモチベーションがついてくることもあるのです。ですから、目の前の仕事を「一生懸命やろう」「自分のできることをやろう」「自分の力を出しきろう」と思って取り組んでみるといいかもしれません。

自分なりのモチベーションアップ方法を探ってみよう

仕事をする中でモチベーションが下がってしまうことは避けられないでしょう。ですから、うまくリカバリーできるよう、自分に合ったモチベーションアップ方法を用意しておくといいですね。その場合は、高見先生が挙げた方法を参考にするといいでしょう。もしモチベーションが下がっていなくても、いい循環を生み出すために気分を盛り上げることを心掛けるといいですね。

(文:高見綾、構成:中田ボンベ/dcp)

※画像はイメージです

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