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上昇志向が強い人の特徴5つ! 上昇志向がないときの対処法

笹氣健治(心理カウンセラー)

あなたは上昇志向が強いタイプの人ですか? それとも、それほど強くないタイプでしょうか? 上昇志向が強い人は、日々自分磨きに励み、積極的に新しい仕事にチャレンジし、結果を残して社会に認められようとしてがんばります。一方で上昇志向が強くない人は仕事はしっかりこなすものの、昇進や昇給にはさほど興味を示しません。

上昇志向は強い方がいいのか、それとも、必要ないものなのか? そもそも、上昇志向が強い人とそうでない人のちがいは何なのか? そのあたりを一緒に考えていきたいと思います。

上昇志向が強い人の特徴とは?

上昇志向とは?

上昇志向は、一般的には「より高い次元を目指そうとすること」を意味しますが、特に、社内や社会において「権力」「出世」を強く求めて努力する人のことを「上昇志向が強い」と言う場合が多いようです。つまり、向上心やチャレンジ精神が旺盛であるということだけではなく、「他人より優位性を得たい」という欲求の強い人が、一般に「上昇志向が強い人」と呼ばれています。

上昇志向が強い人に共通する特徴5つ

上昇志向が強い人の行動の特徴として、積極的に自分の能力を高める努力をする、自分をアピールする、フットワークが軽い、といったことが挙げられますが、その心理的背景には何があるのかを説明しましょう。

権力欲や出世欲の強い「上昇志向が強い人」は、心理学的には「自己愛性パーソナリティの傾向が強い人」に分類できます。自己愛性パーソナリティとは、「自己愛が強い性格」のことです。

自己愛が強いと、自己顕示的でプライドが高く、他人からどう思われるかに敏感になります。また、自分はなんでもできる万能な人間だと思っているところがあり、権力や成功への野心が強く、自分が上位者・勝者でないと気が済みません。要するに、自分大好き人間なのです。

「上昇志向が強い人」は、多かれ少なかれ「自己愛が強い人」だといえます。その特徴を整理すると次の5つにまとめることができます。

(1)自分が上でないと気が済まない

・尊敬してくれる人、かわいらしく頼ってくる人に対しては、非常に優しい。
・成功した友だちを妬んでひがむ。
・出世、財産、権力、名誉を生きる目的とする。そして、自分はそれらを得るにふさわしい人間だと思っている。

(2)注目されたい

・自分が中心にならない集まりには興味がない。
・自分自身のことや自分が出す話題が中心になっているときには大きな喜びを感じる。逆に、まわりがほかの話題について話しているときはおもしろくない。

(3)自己陶酔する

・自分がいいことをすると、「自分はなんてすばらしい人間なんだろうか!」と自分に酔いしれる。
・「あなたのためなら死ねる!」と言いながら、これほどまでに人を愛せる自分自身のことをすばらしいと思っている。

(4)独占欲と所有欲

・ほしかったモノが手に入ると、とたんにそれに対する愛着が冷めてしまう。
・本当にほしがっているのは、「それを自分のものにする」という達成感である。独占欲と所有欲を満たしたいのである。

(5)自分のことしか考えられない

・自己満足のために他人を利用する。他人が自分のために何かをしてくれるのは当然と思うが、自分が他人のために何かをすることはない。
・自分が傷つけられると激怒するが、自分が他人を傷つけても何も感じない。

こうやって特徴を並べると、なんとも鼻もちならない人のように思えますが、このような傾向があることが自分を高めるために努力する原動力となっているのです。

上昇志向がない人の特徴とその理由

上昇志向が弱い人・ない人というのは、「権力」「出世」を得るための努力をしない人であり、そういったことに対する欲望が薄い人だといえます。

ところで、上昇志向が強い人は自己愛が強いと説明しましたが、実は、上昇志向が弱い人・ない人も同じように自己愛は強いのです。ではなぜ同じように「権力欲」「出世欲」を持たないのでしょうか? それには3つの理由が考えられます。

(1)過去にうまくいかなかった経験がある

ひとつめは、過去にうまくいかなかった経験があって、それによって「自分には無理だ」と思ってしまっているからです。勉強ができない、スポーツができない、ほかに何か特技があるわけでもない。そういう10代を過ごしてきた彼ら・彼女らは、「どうせ自分には能力がないから、いくらがんばっても上に行くことはできない」と自分の可能性をあきらめてしまっているのです。彼ら・彼女らも、もともとは成功への野心があり、自分にもできるのではないかという期待は持っていました。しかし、優れた結果を出している同世代の人たちに比べて自分には能力がないと悲観し、自分自身に対する期待を持ち続けることができなくなってしまったのです。

(2)負けて傷つくのが怖い

ふたつめは、負けて傷つくことを恐れていて、他人と競争することから降りる選択をしているからです。うまくできないのにがんばり続けることで、自分のみじめな敗北を何度も見せつけられることになります。それは自尊心が傷つくことであり、耐えられない。そこで「いっそのこと上を目指すのはやめよう」という結論にたどりつきます。上を目指さなければ、敗北感を味わって傷つくこともありません。もちろん、上を目指さなければ喜びも満足も得られませんが、うまくいかずに傷つくよりずっとマシです。自分が傷つかないために野心は持たないことにしようと無意識のうちに決めてしまったのです。

(3)「権力」や「出世」に魅力を感じない

みっつめの理由は、がんばって「権力」や「出世」を得られたとしても、その「権力」や「出世」は、努力に見合うほど魅力的なものではないと悟ってしまったからです。今や大企業であっても、いつ倒産するかわからない先行き不透明の時代です。そんな会社で出世して偉くなっても生涯安泰というわけにはいきません。業績不振の責任を取らされたり、高給取りほどリストラの対象になりやすかったりします。また、権力を得た人の横暴ぶりを報道で見るにつけ、権力者にはなりたくないという思いも増していきます。そのように価値のない「権力」「出世」を目指してがんばっても何もいいことがない、だから努力する必要もない、と思うようになってしまっても、それは仕方がないことかもしれません。

これらの理由から言えるのは、上昇志向が弱い人・ない人は、自分の可能性をあきらめた人であり、自分が傷つくことに耐えられない人だということです。どうせうまくいかないことにチャレンジして何も得られないよりは、最初から高望みをやめて、ほどほどの人生を送れればいいと、割り切ってしまったということです。

上昇志向を高めるには?

上昇志向が強いことのメリット

「権力」「出世」を目指すという動機の是非はともかく、自分をレベルアップする努力は、その人の未来の可能性を広げることに確実につながります。そういう人が世の中に増えることで、社会が元気になって経済が活性化し、新しいビジネスも生まれます。もしみんなが成長努力をしない社会になったらどうなるか想像してみると、やはり上昇志向を持つ人が多くなることは社会が発展していく上では必要だと言えるでしょう。

そもそも自分をレベルアップすることは、「権力」「出世」なんかよりも、多くの満足感を自分にもたらします。さまざまな苦労もあれば、うまくいかないこともたくさんあるかもしれませんが、苦労や困難があるからこそ、それを乗り越えたときの達成感は格別なものとなり、成し遂げた自分自身を誇らしく思えるようになるはずです。その充実感は、失敗を恐れて何もチャレンジしない人は決して得ることができない喜びになるのです。

上昇志向を高める3つの方法

上昇志向は人間なら本来、誰もが持っているものです。それが今は弱まっているだけであり、自分の中で上昇志向を抑え込んでいる心理的ブロックを取り去ることで、再び強めることができます。上昇志向を持てる自分に変わるために役立つ3つのステップをご紹介しましょう。

ステップ1 メリット・デメリット分析をする

上昇志向が弱い人は、上昇志向を持つことにどこか抵抗を感じています。まずはその抵抗の正体を知ることが必要です。そのために、上昇志向を持つことのメリット・デメリット、上昇志向を持たないことのメリット・デメリットを自己分析してみてください。おそらく、多くの人は次のような結果になると思います。

<上昇志向を持つメリット>
・自分が成長できる
・他人から認められる
・活躍の幅が広がる

<上昇志向を持つデメリット>
・つらい努力を続ける必要がある
・ライバルとの競争が生じる
・失敗や挫折がある

<上昇志向を持たないメリット>
・誰とも争わなくて済む
・苦労しなくて済む
・失敗しなくて済む

<上昇志向を持たないデメリット>
・自分が成長しない
・評価がいつまでも上がらない
・周囲からの信頼や期待が得られなくなる

ここからわかるのは、上昇志向を持つことにはデメリットがあり、上昇志向を持たないことにメリットがある、ということです。だからこそ、なかなか上昇志向を持てないのです。このことに気づくことが重要です。

ステップ2 危機感を持つ

一方で、上昇志向を持たないデメリットがあることにも気づけたと思います。次は、そのデメリットによって今後の自分の人生がどうなるかを想像してみましょう。いつまでも成長できない、評価も上がらない、まわりから信頼が得られず期待もされない。そうなった先に、どんな未来、どんな老後が待っているでしょうか? そうやって今後のことを考えると、今のまま安穏としていてはいけないという危機感が湧いてくるでしょう。すると、自分を変えなきゃという意識も強くなっていくはずです。

ステップ3 結果よりもプロセスを意識する

2つのステップに取り組んでみて、自分も何かがんばってみようと少しでも思えてきたら、次は行動に移す番です。自分をレベルアップさせるものを何でもいいので、とにかくひとつ始めましょう。外国語を習う、ビジネス関係の雑誌や本を読む、何かの資格を取る、といったように、思いついたことをはじめてみてください。何をやっていいかわからないという人は、身近にいる上昇志向の強い人がやっているのと同じことをやってみたり、その人に何をやればいいかアドバイスもらうといいでしょう。

なお、行動する際に重要なことは、結果よりもプロセスを意識することです。たとえば外国語を覚えようという場合、検定試験でいい点を取れるかどうかという結果ではなく、毎日何時間どんな勉強をするかといったプロセスに注意を向けましょう。結果を考えてしまうと、失敗したらどうしようと不安になったり、早く結果を出さなきゃといった焦りが生じます。大事なのは、その結果を得るために何をしたか、です。

行動をはじめると、上昇志向のスイッチが入ります。そして、少しずつ自分がレベルアップしている実感が得られてくると、受け身で退屈だった毎日が、徐々にやりがいを感じられるようになって楽しく変わっていくはずです。

上昇志向よりも大事なこと

「権力」「出世」を求めるかどうかは人それぞれで構いませんが、自分の知識やスキルを高める努力は誰にとっても必要なことです。世の中が変化する中で生き残っていくためには、自分をレベルアップさせることが不可欠であり、そうやって何かにチャレンジしていると毎日にやりがいを感じながら生き生きと過ごすことができるようになります。

ぼんやりと生きていると、人生はあっという間にすぎていきます。ぜひ自分の成長を意識して将来になってから悔いの残らないように自分を高める努力をしてほしいと思います。

(笹氣健治)

※画像はイメージです

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