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送る意味や期間って? 残暑見舞いの例文と返事の書き方

松本繁美(マナーアドバイザー)

Kaoru Sawa

日本ではお世話になった方に対し、季節ごとにさまざまな挨拶をおこなう「お見舞い」の風習があります。しかし、いざ自分が送ろうと思うとマナーやルールをきちんと知らないことも。今回は、残暑見舞いについて、その意味や送る期間など、マナー講師の松本繁美さんに教えてもらいました。残暑見舞いの例文や返事の書き方をチェックして、マナー美人をめざしてみて!

残暑見舞いを送る意味

残暑見舞いとは? 暑中見舞いとのちがい

残暑見舞いの目的

残暑見舞いとは、なかなか涼しくならない陽気のなか、相手の健康を気遣ったり、元気づけたりするためのお見舞いのこと。暑中見舞いは厳しい暑さのさなかに送るものですが、残暑見舞いと同じように相手の健康への気遣いや励ましの意味で送ります。つまり、残暑見舞いと暑中見舞いのちがいは送る時期。一方で、目的は同じといっていいでしょう。

暑中見舞いを出せなかったときに「残暑見舞い」を

暑中見舞いの時期が過ぎると残暑見舞いの時期に変わるため、暑中見舞いをうっかり出しそびれたり、暑中見舞いの返信をするころにはその時期が過ぎていたりすることも。そんなとき、残暑見舞いとしてお見舞いを送ることもできます。暑中見舞いを送ろうと考えていた方へ期間内に送ることができなかったときや、思わぬ方から暑中見舞いの期間ぎりぎりにお見舞いをいただいたとき、残暑見舞いを活用することができるので覚えておくと大変便利です。

残暑見舞いの歴史

暑中見舞いの歴史は古く、江戸時代には既にこの原型となる風習があったとされています。当時は1年をお正月からの半期とお盆からの半期に分けて考えており、新しい期がはじまるときに品物を持って挨拶回りをする風習がありました。お盆からの半期のはじまりに挨拶したのが暑中見舞いにあたります。当時は直接相手を訪問するほか、遠方には飛脚を使って挨拶状や品物を送っていたようです。明治時代以降になると郵便という通信体制ができたことで、より書状のやりとりが盛んになっていったのでしょう。

いつ送る? 残暑見舞いの期間

残暑見舞いを送る期間

残暑見舞いを送る期間は、立秋(2018年は8月7日)から8月いっぱいが目安。暑中見舞いへの返信がこの時期にかかってしまう場合は、残暑見舞いとしてお見舞いを送るといいでしょう。また、関東では7月1日から7月15日がお中元の時期ですが、この時期を過ぎて品物を送る場合も8月7日から8月末までは「残暑お見舞い」とします。

送る時期に相応しいご挨拶を

気を付けなければいけないのは、送る時期にどのようなご挨拶をするか。お中元の時期が終わったあと、8月6日までに品物を送る場合は「暑中お見舞い」「暑中お伺い」。そして9月に入ってから送る場合は季節のご挨拶となりますので、送る時期に合ったご挨拶をするようにしましょう。

ビジネスで使える! 残暑見舞いの送り方

送るのはハガキor手紙?

残暑見舞いは、マナー上はハガキでも手紙でもどちらでも問題ありません。一般的には、品物を送るときは添え状として手紙で、書状のみの挨拶のときはハガキが用いられます。ビジネスシーンで残暑見舞いとして書状を送りたいときは、ハガキが適しているかもしれません。封書だと開封するまで中身がわからないため、オープンなハガキのほうが好まれるようです。ただし、役員クラス以上などで秘書がいるような立場の方に送る場合は、秘書が開封して中身を開示するのが一般的なので、封書で送っても問題ないでしょう。

挨拶と書き出し

挨拶の言葉は「残暑お見舞い申し上げます」、もしくは「残暑御見舞い申し上げます」と書きはじめます。この場合、「拝啓」や「敬具」といった頭語と結語は不要です。続けて、相手の健康状態などを気遣う文を入れると良いでしょう。たとえば、「お元気でお過ごしでしょうか」や「お変わりございませんか」、「いかがお過ごしでしょうか」などがあげられます。

ビジネスで役立つ例文

次に示すのは、ビジネスシーンでの残暑見舞いの例です。

残暑お見舞い申し上げます。
暦の上では秋になりましたが、猛暑日が続く毎日、
いかがお過ごしでしょうか。

私どもは夏休み中、久しぶりに田舎でのんびり過ごしました。
英気を養い、今は9月に向けてのプロジェクトに取り組んでおります。
○○様には大変お世話になった上での進行です。必ず成功させますので、
引き続き宜しくお願い申し上げます。

夏の疲れもピークに達するのはこれからだと申します。
くれぐれも自愛ください。

平成○○年八月

挨拶の最後に日付を書きますが、日付は「平成○○年晩夏」「平成○○年立秋」「平成○○年八月」などと書きます。

返事を出す際のマナーって?

残暑見舞いの返事はいつまでに返すべき?

残暑見舞いの返事は3日以内に出すのが理想的。返事が遅くなってしまった場合は、その旨をお詫びする文を入れて返事を書くといよいでしょう。残暑見舞いを出す時期は、立秋から白露(2018年は9月8日)の前日までです。この時期を過ぎてしまったり、白露ぎりぎりで残暑見舞いが届いたりした場合には、季節の挨拶としてお返しをするようにします。返事を送る際には、残暑見舞いを受け取ったことを伝え、時候の挨拶を用いて返信しましょう。

返事の例文とマナー

残暑見舞い返事の例

残暑お見舞い申しあげます。
ご丁寧に残暑見舞いのお葉書をいただきまして
有難うございました。
今夏の暑さは例年に類がないほどの厳しさですが、
○○様におかれましてはお元気でご活躍とのこと
何よりと存じます。
まだまだ猛暑は続くようです。
お疲れが出ませんよう、ご自愛ください。
平成○○年 晩夏

返事を書くときには、相手の残暑見舞いを受け取ったことを必ず知らせるようにしましょう。また、返事のタイミングが9月になってしまった場合は、季節の挨拶として返信します。

9月になってから送る場合の季節の挨拶の例

拝啓
秋の気配が日ごとに深まり、朝夕はしのぎやすくなりました。
お忙しい中、心のこもった残暑見舞いをいただき有難うございました。
お元気でご活躍のご様子、何よりと存じます。

おかげさまで、私共も変わらず元気に過ごしています。
注:このタイミングで自分の近況報告を入れる。

夏の疲れは秋に出るとも申します。何卒、ご自愛下さい。
敬具
平成○○年 初秋

 

暑中見舞いや残暑見舞いには通常頭語と結語は用いませんが、季節の挨拶文の場合は、「拝啓」または「謹啓」などと、頭語からはじめます。

正しいマナーや例文を知ってスマートな残暑見舞いを

大人になるにつれ、ビジネスシーン、プライベートのどちらでもお見舞いやご挨拶を送る機会は増えてきます。暑中見舞いを送りそびれたり、返信が遅れてしまって困っていたりする方は、ぜひ残暑見舞いを活用してスマートにご挨拶をしましょう。マナーや作法ももちろん大事ですが、大切なのは相手の健康を気遣ったり、元気づけたりしたいという気持ち。相手への感謝や思いやりを忘れずに、今年は心のこもった残暑見舞いを送ってみてはいかがでしょうか。

(文:松本繁美、構成:Kaoru Sawa)

※画像はイメージです

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