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これだけは押さえて! 大人の女性の「冠婚葬祭マナー」

松本繁美(マナーアドバイザー)

橘夢人

友人・先輩の結婚式や急な訃報など、冠婚葬祭に関する場面では、良識ある振る舞いをしたいものですよね。ここでは、マナーアドバイザーの松本繁美さんに、冠婚葬祭のシーン別で最低限押さえておくべきポイントを聞きました。

冠婚葬祭で押さえておくべきマナー【結婚式編】

結婚式に招かれた場合、特に
・招待状への返信
・当日のご祝儀
・服装
の3つが気をつけたい点となります。それぞれのマナーを確認しましょう。

結婚式の招待状への返信

結婚式の招待状の返信は早ければ早いほど良く、基本的に2~3日以内に返信するのがおすすめです。会場の席次などを決める都合上、3日以上お待たせすると迷惑がかかるので、早めの返信を心掛けてください。一方、欠席する場合は1週間後くらいを目処に返事をするのが◎。なんとか都合をつけようとしたことを示すためにも、このタイミングが礼儀です。

出席する場合の書き方

出席する場合は、お祝いの言葉などを書き添えて返信します。御出席の「御」は斜め字消二重線、「御欠席」は「御」を斜め二重字消線で、「御芳名」の「御芳」は縦字消二重線で消します。1文字は斜め二重線、2文字以上は縦二重線と覚えましょう。出席に書き添える「よろこんで」も、このときばかりは「慶んで」を使いたいものです。

表書きは、必ず「行」や「宛」を斜め二重線で消して、「様」に書き直しましょう。

欠席する場合の書き方

出席の時と同様、「ご結婚おめでとうございます」といったお祝いの言葉は忘れず記載しましょう。「出張が入っておりまして欠席せざるを得ません」とやむを得ない理由で欠席するという残念な気持ちを表します。
さらに、「○○ちゃんの花嫁姿、落ち着いたら、写真で見せてくださいね。」などと、メッセージも添えるといいでしょう。

結婚式のご祝儀

では、結婚式の際に包むご祝儀の目安や包み方、服装についても確認しましょう。

金額の目安

結婚式で包むご祝儀の目安は、友達・同僚の場合は3万円、親族・兄弟姉妹の場合は5万円が相場です。ただし、自分が妹にあたる場合は3万円でも構いません。大きな出費ではありますが、友人・兄弟姉妹にとって人生の一大イベントなので、惜しまず奮発しましょう。

祝儀袋の選び方

祝儀袋は、文具店やデパート、コンビニ、100円ショップなどで売っている物で問題はありません。ただし、選ぶ際に次のことに気をつけましょう。中身の金額と祝儀袋の格が釣り合っているかどうかです。3万円の中身で、10万円相当の祝儀袋ではミスマッチです。

祝儀袋には必ず水引(紅白または金色など)がついていますが、結婚祝いの場合は「結び切り」といって、解けない結びの物を選びます。入学祝、出産祝いなど何度あっても良い慶事に使う水引は、蝶結びなどを使います。最近は水引が変わり結びになっていたり、布製の物があったりと、種類が多くて迷いがちです。どれにして良いのかわからない場合は、お店の人に聞いてみてください。祝儀袋を包装しているセロファンの袋に対応金額が印刷されている物もありますので、こちらも参考になります。ご祝儀袋は、しばらくは記録や思い出のために取っておくカップルもいますので、心を込めて選んであげたいものです。

ご祝儀の渡し方

結婚式当日の祝儀袋の渡し方としては、袱紗(ふくさ)に包んで持っていき、受付で袱紗を広げて相手側に読み取れる方向で出すのが、一番丁寧な方法です。ご祝儀袋を相手にとって正面になるように両手で渡し、「本日は誠におめでとうございます」など、一言述べて一礼します。

袱紗について

ご祝儀を袱紗に包む理由は、祝儀袋を汚れや折れから守るためです。袱紗の色は、結婚のような慶事では赤か紫を選ぶのが基本ですが、ほとんどは慶弔両用の紫を選ぶことが多いです。なお、どうしても袱紗を用意できなければ、ハンカチやクリアファイルでカバーして持っていきます。この場合、受付のカウンターで開くのではなく、直前に取り出して渡しましょう。

結婚式の服装

ドレスのデザイン

当日の服装として、必ず避けるべきなのは「白」の服。花嫁と同じ白は着ないのが結婚式のルールです。また、花嫁より明らかに目立つ派手なドレスも考えもの。結婚式では花嫁が一番美しくあるべきなので、ここは遠慮するところです。

おすすめは、昼間であればカクテルドレスで、シルクなどの素材でひざ丈の物を選ぶと良いでしょう。肩が出たデザインであれば、ストールなどで覆います。目上、年上のゲストが多い中、露出が多く、いわゆる「ケバイ」服装は眉をひそめられるので避けたほうが無難。新郎新婦が最優先のこの日、お二人が誇らしい友人と思ってくれるようなドレスをイメージして選んでください。一方、夜の披露宴であれば、ロングドレスも活躍します。ウェディングの中身や会場によっても調節するのがおすすめです。

平服について

披露宴(ウェディングパーティー)によっては、招待状に「平服でお越しください」と書かれていることもあります。「平服」というのは普段着ではありません。具体的には、仕事で着ているようなスーツ、お出掛け用のワンピースなどを指します。このような場合、仕事で着ているスーツやエレガントなワンピ-スを選ぶわけですが、コサージュやアクセサリーで、いつもよりお洒落な感じにすると良いでしょう。

冠婚葬祭で押さえておくべきマナー【葬式・通夜編】

お葬式・お通夜の場では、
・当日の服装
・お香典の渡し方
・お悔やみの述べ方
の3つが気をつけたい点となります。それぞれについて確認していきましょう。

葬式・通夜に出席する際の服装

葬式・通夜での服装は、双方で少し異なります。アクセサリーのポイントと併せて覚えておきましょう。

服装

お葬式では喪服を着用します。この喪服は、ワンピースやスーツ、アンサンブルなどが該当します。生地は光沢のないもので、襟もとは開きすぎず、詰まった物を選びましょう。コートを羽織る場合、仏式では獣の殺生を禁じていることから、毛皮やレザーはNGです。靴は飾りや光沢のない黒のプレーンなパンプスを用意し、ストッキングも黒を着用します。

お通夜の場合、多少服装規定は軟化し、黒または地味な色で、地味なデザインのワンピースやスーツを着用すれば良しとされています。その理由は、通夜は急遽決まるもののため、お葬式と違って「駆け付ける」ことも十分ありえるからです。当然、服装も用意している余裕があるはずもなく、地味であれば問題なしというわけです。色でいえば紺色やダークグレーも大丈夫です。こんな場合も想定して、職場のロッカーに1着、黒のジャケットを置いておくと重宝します。

近頃、葬儀に参列せず通夜だけに参列する人が増えてきました。それに伴い、喪服で通夜に行く人も増え、葬儀と変わらない服装の人が多く見受けられます。もちろん、喪服で礼をつくして通夜に行くのはマナー違反ではありません。

アクセサリー、バッグ

葬儀、お通夜でのアクセサリーは、パール(黒、白)の一連のネックレスかオニキスが基本です。ネックレスとともに、イヤリングもパールの一粒タイプの物をつけます。気をつけなければならないのは、ネックレスは一連の物しか許されないこと。2連、またはロングタイプを二重に巻くのは「悲しみが二重になる」との意からNGとなります。

また、バッグは黒の小ぶりの物で布製が望ましいのですが、皮のバッグでもOK。ただし、光沢がある、金具が大きくてピカピカしている物は避けましょう。

葬式・通夜の香典について

香典に包む金額の相場

包むべき金額の相場は、以下のとおりです。

両親:5万~10万円
親戚:1万~5万円
友人、仕事関係:1万円
知人:5,000~1万円

なお、2・4・6・9がつく金額は、タブーなので避けるのが鉄則。新札ではなく使用済みのお札を入れ、新札しかない場合はひと折りしてから入れるようにします。

香典袋の選び方

香典袋は、仏式・神式では、結び切りで黒白(または銀色)の水引の袋を選びます。まれに京都などでは、黄白の組み合わせの袋もありますが、結び切りであることに変わりはありません。結び切りは解くことができないほど水引を固く結んだ物のため、葬儀のように「人生に一度きり」の場合に使います。

香典袋は中に入れる金額に合わせ、3,000~5,000円の場合は水引が印刷された物を、1万~3万円の場合は黒白・銀の水引が施された物を選びましょう。

キリスト教の葬儀では、お花料として、白色無地で十字架や百合の花が印刷された袋を使うのが一般的です。水引の袋も蓮の花の印刷が施されていなければ、「ご霊前」として使用できます。

香典袋の表書き

香典袋(不祝儀袋)の表書きは、「御香典」「お香典」「ご霊前」「御仏前」などと書くのが基本ですが、同じ仏式でも宗派によって書き方が異なったりします。ここでは、それぞれの書き方を紹介しましょう。

・仏式の場合
仏教の場合の表書きは、一般的に「御霊前」が多く、この表書きは通夜・葬儀だけでなく四十九日(忌明け)より前の法要でも用いられます。ただし、浄土真宗では「御仏前」を用います。

・神式の場合
「御霊前」「御玉串料」「ご霊前」「神饌料」などと記載します。
・キリスト教式の場合
「ご霊前」「お花料」などと書くのが一般的です。

・無宗派式、宗派がわからない場合
「御霊前」「ご霊前」などと記載します。

葬式・通夜での振る舞いについて、気をつけるべきポイント

葬式・通夜では服装だけでなく振る舞いにもマナーがあります。

お悔やみの述べ方

「この度はご愁傷様でございます」「心よりお悔やみを申し上げます」「突然のことで驚いております。どうかお力を落とされませんように」などが常套句です。

ただし、すらすらと流暢にお悔やみの言葉を述べれば良いというものではありません。たとえうまく言葉にできなくても、遺族の悲しみを思い、黙って頭を下げるだけでもお悔やみの気持ちは伝わります。ただし、死者に手向ける礼は最敬礼といって、45~60°の深いお辞儀を心掛けてください。受付で香典を渡すときも同様に「ご愁傷様でございます」とお辞儀をしてから渡します。

会場で気をつけるべきこと

ご焼香の際にはたくさんの人が自分の後ろに並んでいることを意識して、姿勢を良くしましょう。そのほかに大事なことは、遅刻をしないこと。遅れると読経やお焼香といった流れを妨げてしまうので、時間を守って到着するようにしましょう。

また、葬儀場では、基本的に遺族と直接話すことはありません。親しい場合は声をかけることもありますが、長話は避け、お悔やみは手短に述べるのが常識です。ましてや、この場で死因を尋ねたりするのはNGなので気をつけてください。

冠婚葬祭ではマナーが気持ちの現れ!

一番大切なのはお祝いや弔いの気持ちじゃない? と思ったあなた! 確かに気持ちは大切です。けれども、冠婚葬祭といったかしこまった場では、そのマナーを守ることが、お祝い、弔いの気持ちの現れになるのです。新郎新婦、また遺族といった方々に、恥ずかしい思いをさせないマナーを身につけたいものですね。

(監修:松本繁美、文:橘夢人)

※画像はイメージです

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