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食べ過ぎた翌日に体重が増える原因とリセット方法

豊永彩子

食べ過ぎた次の日に体重が増える原因とは? 管理栄養士が食べすぎをリセットする方法、翌日のむくみ対策、おすすめの食事スケジュール、運動メニューを解説します。

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食べ過ぎた次の日に体重計に乗ると、体重が増えていてびっくりすることってありますよね。そんなとき、焦って食事を抜いてしまいたくなりますが、それは本当に正しい対処法なのでしょうか。食べ過ぎた次の日に体重が増える原因と、リセットする方法について管理栄養士の豊永彩子さんに教えていただきました。

<目次>

食べ過ぎた次の日に体重が増える理由

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食べ過ぎた次の日、想像以上に体重が増えてしまっていることがありますが、それはなぜなのでしょうか。豊永さんに理由を聞いてみました。

体重が増えるのはなぜ?

豊永:「いつもより食べ過ぎたな」と感じた翌日、体重の数値が増えていたら罪悪感を覚えてしまう人も多いでしょう。しかし、体重の数値は1日の中でも変動し、女性であれば月経周期=ホルモンバランスにも大きな影響を受けます。体重の変化の原因は主に「水分」。食べすぎた翌日に体重が増えてしまうのも、水分の影響です。体重の内訳は筋肉、体脂肪、水分、そのほかの内臓や骨ですが、体重の数値が変化した場合は、「何が変化したのか」を見極めることが重要です。

増えた体重の主な内訳

豊永:食べ過ぎによって体重が増えた場合、増加した分はほぼ「水分」です。前日食べすぎた(飲みすぎた)分のカロリーが翌朝体脂肪に変換され、体重の数値をアップさせてしまうほど、体脂肪の蓄積スピードは速くありません。何を食べ過ぎたかによっても差はありますが、「食べ過ぎ=糖質と塩分の過剰摂取」です。糖分と塩分は水分を溜め込む性質(糖分=保水性/塩分=ナトリウムとミネラルバランスのコントロール ) があるので、体内の水分量が増えて身体がむくみ、見た目が「ぽっちゃり」するという変化が現れます。

私たちの身体は、体温を始めとして「一定のバランスが保てるようなメカニズム」が整っています。一時的な「食べ過ぎ→体重増加」の変化に惑わされることなく、上手にコントロールしていきましょう。

食べ過ぎをリセットする方法

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食べ過ぎによって増えた体重の内訳は「水分」であることがわかりました。それでは、うまく水分を排出して食べ過ぎをリセットするためには、どうすればいいのでしょうか。リセットに必要な期間や食事スケジュールなどについて教えていただきました。

食べ過ぎのリセットに必要な期間

豊永:「リセット」というよりも「調整」という表現がふさわしいですが、目安は3日~1週間程度です。もしかしたら長いと感じる女性もいるかもしれませんが、焦って調整しようとすると、余計に身体のバランスが崩れてしまいます。毎日パーフェクトな食生活を実践することはできませんよね。「昨日食べ過ぎちゃった」とネガティブになるより、「今日は身体に優しいもので調節しよう」とポジティブに考えるほうが、スムーズに体重を戻すことができ、食事を楽しみながら体型をコントロールする習慣が身につきますよ。

食べ過ぎた次の日に効果的なむくみ対策

豊永:食べ過ぎた翌日のむくみは、過剰な塩分摂取によって、体内のミネラルバランスが崩れることが原因です。ミネラルバランスは「カリウム」と「ナトリウム(塩分)」によって調整されるので、バランスを取り戻すためには「カリウム」が必要です。

カリウムは生野菜やフルーツ(缶詰はNG)から摂取するのがよいでしょう。カリウムは加熱によって流出する特徴があるので、濃縮還元のジュースやゆでた野菜からは摂れませんが、スープや味噌汁であれば、流出したカリウムも一緒に摂れるのでおすすめです。また、食べ過ぎた場合は身体の代謝が活発になるので、水分(尿)の排泄も増加します。脱水症状にならないように、こまめな水分補給も重要です。

食べ過ぎた次の日の食事スケジュール

豊永:翌日の食事で大切なポイントは、「食べ過ぎた栄養素を控えて、不足している栄養素を補うこと」です。食べたものを代謝するためには、ビタミンやミネラルなどの栄養素が欠かせません。食べすぎた翌日は、調節のために「抜く」のではなく、「補う」ことが重要なのです。そこでおすすめなのが、以下のような食事メニューです。

・味噌汁
・スープ
・冷奴
・湯豆腐
・お浸し
・胡麻和え
・海藻類の酢の物
・サラダ
・フレッシュフルーツ

野菜はなるべく色の濃いものを選び、肉や魚は脂身の少ない部位を選びましょう。例えば食べ過ぎた日の食事がピザやパスタであれば、「糖質」と「脂質」は十分に摂取できていますが、「たんぱく質」が不足していそうですね。このように、食事内容から不足しているものを考えて摂取してみるとよいでしょう。

食べ過ぎた次の日に取り入れたい運動

豊永:日常生活では、階段を利用したり、意識的に歩いたり、「活動量を上げること」を意識しましょう。ジョギングやランニングなどの有酸素運動だけでなく、ゆったりとした呼吸で行うストレッチやヨガなどもおすすめです。リラックスすると副交感神経が優位になり、消化器官の活動が促されて消化や代謝がスムーズに行われます。気分転換はもちろん、身体のコンディションを整えるためにもおすすめです。

食べすぎた次の日の注意点

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食べ過ぎのリセット方法について見てきましたが、翌日の食事について注意すべき点はあるのでしょうか。豊永さんにアドバイスしていただきました。

豊永:「食べ過ぎた分をリセットしよう」と考える人は多いかと思いますが、そのために断食をしたり、ドリンクだけで数日を乗り切るという方法はおすすめできません。食べ過ぎた分を消費するには、エネルギー代謝をスムーズに行う必要があります。代謝できない(栄養素を効率的に使えない)分が、体脂肪として蓄積されてしまうことを覚えておきましょう。

ダイエット中の食べすぎを防ぐ方法

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ダイエット中、何かの拍子で食欲が爆発して、食べ過ぎてしまうこともありますよね。そもそもダイエット中の食べ過ぎを防ぐためには、どうすればいいのでしょうか。原因と対策について教えていただきました。

ダイエット中に食べ過ぎてしまう原因

豊永:ダイエットしているのについ食べ過ぎてしまう主な原因は、以下の3つです。

食事量の不足

1つ目は単純に「足りないから」です。食事量が足りないために満腹感が得られず、身体に必要な栄養素も不足し、脳が「足りない」と判断してもっと食べるようにと指令を出します。決して「意思が弱い」のではなく、「食べるメカニズム」をオンにするきっかけになってしまう……ということです。

食事が楽しくない

2つ目は食事を楽しめていないから。引き算式のダイエットをする場合、本当は食べたくないメニューを仕方なく食べるというケースが多いです。その場合、当然食欲は湧きませんし、本来食事をする上で重要な五感(味覚、視覚、嗅覚、聴覚、触覚)もよい刺激を受けないでしょう。食欲をコントロールする「中枢」はこの五感の影響を受けているので、いつまでも満腹中枢が刺激されずに、食べ過ぎにつながってしまうのです。

極端な糖質制限

3つ目は極端な糖質制限によって、食欲コントロールのメカニズムが崩れてしまうケースです。ある研究結果では、糖質を摂ることで食べ過ぎを防げるということがわかっています(※)。このことから、極端な糖質制限をすることで、食欲が抑えられなくなってしまう可能性も考えられるでしょう。

ダイエット中の食べ過ぎを防ぐ方法

豊永:ポイントは、「食事量を減らさずにしっかり食べること」と「食事を楽しむこと」です。心がけとしては「必要な栄養素を補う食事」を意識し、食事の「量」ではなく「質」を変化させましょう。具体的には、ビタミンやミネラルの供給源となる野菜、海藻、きのこ類などを追加し、主菜となる肉や魚もしっかり食べる必要があります。これらのことを意識すると、主食(糖質)はそんなにたくさん食べられないので、自然とバランスが整います。食事のバランスが整うと、身体の栄養不足が解消されて、自然と食べ過ぎない身体になれるでしょう。

まとめ

食べ過ぎた次の日の食事のポイントは、「不足している栄養素(食材)を補うこと」です。焦って短期間で調整しようとせず、ある程度のスパンでバランスを整えることを意識し、楽しみながら食事をする習慣を身につけましょう。これができれば、多少食事が乱れることがあっても、冷静に対処できるようになりますよ。

(監修:豊永彩子)

※画像はイメージです

(※)『肥満 : エネルギー調節メカニズムと食事』
中村 丁次 聖マリアンナ医科大学病院栄養部 2009.11

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