セックスやマスターベーションでもっと気持ち良くなりたい。けれども、女性にとって性的快感を得やすい場所はどこなのか、そのことを正しく知る機会は、そう多くありません。
性について正しい知識を持つことは、とても大切なことです。今回は女性の性感帯について産婦人科医で性に関する著作も多い宋美玄先生に教えていただきました。
■性感帯とは
^性感帯とは、いわゆる「感じやすい場所」のこと^です。性感帯を触ったり、吸ったりして刺激すると、性的興奮がもたらされます。
どの場所が感じやすいかは人それぞれですが、性器周辺のように、多くの人に共通する性感帯もあります。
また、^うなじ、耳、首筋、脇腹、手や足の指、太ももの内側、膝頭など、多くの神経が通っている場所^は刺激に敏感で、男女共通の性的興奮を感じやすい、つまり性感帯になりやすいポイントといわれています。
なお、体のどこが性感帯になるかについては、個人差や性的経験の差の影響が大きいようです。
参考記事はこちら▼
性感帯は男女で違いがあります。男女別に性感帯の場所について解説します。
■女性の性感帯の場所と気持ち良くなる理由
性感帯になりやすい場所には、上記のように男女共通のものもあれば、体の構造上、男女どちらかにしかないものもあります。
今回は女性特有の性感帯について紹介します。女性にとって性感帯となり得る場所は、以下の通りです。
◇(1)乳首
乳首は神経が集中していて、感じやすいポイントの1つです。ただし乳首は男性にもあるため、「女性特有」というわけではありません。
しかし、女性には乳首から得られる性的快感が大きく高まる^「ブレンド・オーガズム」^という現象が起こることがあり、そうなると乳首は女性にとって特別な性感帯になることがあるようです。
宋先生いわく「ブレンド・オーガズムとは、^腟内のGスポットやポルチオで得た性的快感がからだ全体に広がり、乳房や乳首、クリトリス、肛門といった全身の性感帯が連動して、強烈な絶頂感(オーガズム)に達する^こと」だそう。
味わったことのある人によると、「電流が走り抜けるような感覚」と表現されること。このオーガズムが起こると、乳首は女性だけが感じられる特別な刺激を持つ性感帯になります。
◇(2)クリトリス
クリトリスは、男性でいえばペニスにあたり、本当は目に見えているよりもずっと大きな器官です。
私たちが普段見ているのは、クリトリスの陰核亀頭(いんかくきとう)という、ごく一部のみ。そこから足のような筋肉が左右に伸びて、小陰唇の裏側から腟を包み込んでいます。
クリトリスは女性の体の中でも特に敏感かつ快感を得やすい場所です。クリトリスを刺激してオーガズムに達すると、^腰から下がしびれるような快感^に包まれます。
マスターベーションの時も、ここを刺激すると多くの女性が性的快感を覚えます。
◇(3)外陰部
大陰唇(だいいんしん)や小陰唇(しょういんしん)から成る外陰部は、元々は腟口やクリトリスなどを保護するための器官です。^やさしくなでたり揉んだりすると性的快感を得る人が多く^、性感帯の1つといって良いでしょう。
興奮が高まってくると腟を含めた外陰部全体が充血して赤く色づいていきます。腟の内壁からは潤滑液が染み出し、いわゆる「濡れた」状態になる他、腟口がペニスを受け入れるように広がり始めます。
◇(4)Gスポット
Gスポットは腟の中にある性感帯です。手のひらを上に向けて腟に中指を挿入し、第一関節を軽く曲げたところにある人が多く、^腟内のヒダの中でその部分だけがざらざらしていたり、ちょっとだけくぼんでいたりする^人もいるようです。
クリトリスの陰核亀頭を裏側から触るような部分と考えると分かりやすいでしょう。
◇(5)ポルチオ
ポルチオはGスポットを通過した、さらに奥、子宮頸部と呼ばれる場所にあります。
ペニスや指を挿入することで刺激できる場所で、指で触った時にコリコリした独特の感触があります。
^ポルチオを刺激することで、脳にダイレクトに響くような強烈なオーガズムを感じるという人も^います。
参考記事はこちら▼
AVなどで耳にする「ポルチオ」。どこにあるのか、刺激することで本当に「中イキ」できるのかを教えます。
■女性の性感帯を刺激する方法
女性の性感帯はとてもデリケートな場所。刺激されて気持ちいいこともありますが、刺激の仕方によっては痛みを感じることもあります。
まずはソフトタッチを基本に、その上で以下のような方法を試してみましょう。
◇(1)乳首
乳首は勃起した状態の方が、感度が高まります。なので、^いきなり先端に触れるのではなく、まずはじらすように乳房の愛撫から始め、続いて乳輪に触れて、乳首がふくらむのを待ちましょう。^
乳輪をくるくるとなでるように触ると、期待感が高まり、乳首がよりふくらみやすくなるはずです。
乳首が完全に勃起したら、中指と親指でそっとつまみます。^つまんだ2本の指で乳首の側面を、人差し指でトップを刺激すると効果的^です。
もしくは^乳首を包み込むように吸い込み、唇と舌先で乳首を愛撫する^のも良いでしょう。
◇(2)外陰部
外陰部や腟への愛撫は、ペニスを挿入する前の大切なステップです。^外陰部全体をマッサージするように触る^と、その感覚が神経を通じてクリトリスにも伝わり、性的快感につながります。
◇(3)クリトリス
クリトリスは性的快感を得るためにあるといっても過言ではない器官で、刺激に極めて敏感です。だからこそ、^力を入れすぎず、そっとなでるようにやさしく刺激する^ことが大切です。力加減を間違えると、気持ち良いどころか痛みを感じてしまいます。
^クリトリスに直接触る前に、まずは下着や包皮の上から、クリトリスを隠している小陰唇をさする^と、ほどよい刺激が伝わり、性的快感を得やすくなります。
^興奮が高まってきたら、クリトリスの亀頭をむき出しにして、直接刺激してOK^です。ただし、決して力は入れないことが大切です。
つい力が入ってしまうかもしれませんが、それをぐっと抑え、ソフトにタッチしましょう。^時々つまんでみるなど強い刺激を織り交ぜてもよいですが、痛がっている様子があればすぐにやめましょう。^
◇(4)Gスポット
Gスポットは^指の腹やセックストイをやさしく押し付けたり、細かく振動させてこすったりして刺激する^のがおすすめです。
^強さを変えず、一定のテンポで淡々と刺激する^とオーガズムに達しやすくなります。
女性が自分の指で刺激するのは少し難しいかもしれないので、マスターベーションの時はバイブレーターなどを使うと良いでしょう。
また、^Gスポットと一緒にクリトリスや乳首を刺激する^と、さらに快感を得やすくなります。
◇(5)ポルチオ
ポルチオは^腟の奥のコリコリとした部分を、指の腹でやさしくなでて、ほぐすように刺激^しましょう。ポルチオも^一定の強さとテンポで、淡々と刺激するのがポイント^です。
痛がっていない場合は、少し刺激を強くしても良いですが、^ポルチオについてはあまり性的快感を覚えない人もいるため、反応をよく見て刺激することが大切^です。
参考記事はこちら▼
男性にも特有の性感帯があります。場所や触り方の注意点について解説します。
■女性の性感帯を刺激する時の注意点
女性の性感帯を刺激する時には、以下の点に注意しておきましょう。
◇(1)必ずソフトタッチで
先ほども説明しましたが、女性の性感帯はとても敏感でデリケートな場所です。強い力は厳禁。^そっとなでるくらいのソフトタッチから始めて、相手の反応を見ながら力加減を調整^していきましょう。
◇(2)リズムや強さを変えず、淡々と刺激する
女性の性的興奮が高まってきた様子を見ると、つい速いスピードで刺激したくなるかもしれません。ですが、それは要注意。^ぐっと我慢して淡々とした刺激を繰り返す^ことで、女性はオーガズムに達しやすくなるでしょう。
◇(3)愛撫をないがしろにしない
もう1つ注意しておきたいのが、愛撫などの前戯をないがしろにしないことです。
^Gスポットやポルチオといった性感帯を刺激すると早く挿入したい気持ちが強まり、それ以外の場所への前戯もそこそこに、挿入を焦ってしまう^ことがあるかもしれません。
しかし^愛撫をおざなりにすると、女性にとってセックスの快感が半減すると言っても過言ではありません。^
愛撫を入念に行い、女性の性的興奮をじゅうぶんに高めてから挿入へと進みましょう。
■「感じさせる」のではなく、相手を思いやることを大切に
挿入をセックスの本番と考えると、性感帯への刺激はそのための助走です。しかし、助走をおろそかにしては、気持ちのいいセックスは望めません。
また気持ちのいいセックスにはテクニックも大切ですが、それ以上に相手を思いやる気持ちが大切です。
「自分のテクで感じさせよう」とするのではなく、「相手と一緒に気持ち良くなろう」という心構えでセックスを楽しんでください。
(監修:宋美玄/文:山本尚恵)
※画像はイメージです