「熊肉」と聞いたことがあっても、食べたことのある方は少ないでしょう。なかなか世に出回らず貴重なお肉である熊肉ですが、別名やどんな料理があるのか気になりませんか?
この記事では熊肉に別名があるのか、具体的な味や熊肉を使った料理の他、熊肉以外のお肉の別名も紹介していきます。
■熊肉の別名は?
狩猟により捕獲された野生鳥獣の肉を「ジビエ」と呼び、熊肉もそれに含まれます。
同じジビエのイノシシ肉や鹿肉にはよく知られる別名がありますが、^熊肉には世間一般で使用されている別名は存在しないようです。^
なお長野県の遠山郷では、そこで狩猟したイノシシや鹿、熊などの肉の総称として「山肉(やまにく)」という言葉が使われています。
■その他のジビエ・肉の別名
ここでは熊肉以外の肉について、有名な別名があるものをその由来と共に紹介します。
◇(1)イノシシ肉は「牡丹(ぼたん)」「山鯨(やまくじら)」
^イノシシ肉は広く「牡丹」と呼ばれます。^理由には諸説あり、皿に盛られた肉が牡丹の花のようだからというものや、縁起の良い柄として知られる「唐獅子牡丹」からという説などがあります。
唐獅子(からじし)とは本来、中国から伝わった伝説上の動物のことですが、この「しし」の音をかけて、イノシシ肉を「牡丹」と呼ぶようになったといわれています。イノシシを使った鍋は「牡丹鍋」とも呼ばれています。
また日本では海にいる鯨を古くから食べてきたことから、^イノシシ肉や獣肉の総称として「山鯨」という言葉が使われることもありました。^
◇(2)鹿肉は「紅葉(もみじ)」
^鹿肉は「紅葉」と呼ばれています。^これは、花札の絵柄がきっかけという説があります。10月の花札の絵柄として、紅葉と鹿がセットで描かれていることから、こう呼ぶようになったそう。
江戸時代の庶民の間では鹿鍋が人気で、提供する飲食店は「紅葉鍋」と看板を掲げていたといわれています。鹿肉は赤身のうま味とあっさりとした味わいから、現在でもフレンチや和食などジャンルを問わず人気があります。
◇(3)馬肉は「桜(さくら)」「けとばし」
^馬肉には「桜」という別名があります。^これは、肉を切った際の切り口が他の肉と比べて淡い赤で、桜色であることが由来という説があります。缶詰でも「さくら肉大和煮」などが流通しているので、見掛けたことがある方もいるかもしれません。
また、^馬は脚でよく蹴ることから「けとばし」「けっとばし」などと呼ばれることもあります。^
■熊肉はどんな味?
^熊肉はうまみがとても強い^といわれている肉。^脂身の融点が低いことから、とろけるようなおいしさ^で、甘みも感じられます。特に秋から冬にかけて、どんぐりなどを食べて脂がのった冬眠前の熊肉は味が良いとされています。
ほのかな野性の風味もあり、ジビエ好きには人気のお肉です。なお狩猟後の処理によって風味などが変わるため、おいしい熊肉を食べるには猟師の技術が深く関係しています。
■熊肉の料理にはどんなものがある?
^熊肉の食べ方としては、熊鍋が一般的です。煮込めば煮込むほどに味わいが深まり、脂のおいしさが楽しめます。^
その他にもすき焼きや、新鮮で臭みが少ないものは焼き肉もおすすめです。どうしても野生の風味が気になるという方は、みそなどを使って濃い味付けにするといいでしょう。
なお熊肉をはじめとして、野生鳥獣の肉には寄生虫や微生物がいる可能性があります。そのため^生食は避けましょう。^火を通す場合も、表面を軽くローストするのではなく、中心部まで十分に加熱する必要があります。そういった意味でも鍋料理はおすすめです。
■熊肉には広く知られている別名は存在しない
熊肉には基本的に他の名称はなく、そのまま「熊肉」と呼ばれることが多いです。
あまり流通していないため、スーパーなどで手に入れるのは難しいかもしれません。しかしジビエや山肉を扱うお店では、熊の肉を食べられるところもあるため、興味のある方はぜひ味わってみてはいかがでしょうか。
(#にほんご倶楽部)
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