「あの人は偽善者だ」という言葉を度々耳にすることがありますよね。ネガティブな意味で使われる「偽善者」という言葉は、具体的にどのような人のことを指すのでしょうか。
今回は、「偽善者」と言われる人の特徴や心理、偽善者にならないために気をつけるポイントを解説していきます。
■偽善者とはどんな意味?
まずは、偽善者という言葉の意味を確認しておきましょう。辞書では以下の通りに解説されています。
ぎぜん‐しゃ【偽善者】
偽善を行う人。
出典:『デジタル大辞泉』(小学館)
そもそも、「偽善」とはどのような意味なのでしょうか。
ぎ‐ぜん【偽善】
うわべをいかにも善人らしく見せかけること。また、そういう行為。
出典:『デジタル大辞泉』(小学館)
このように「偽善者」とは、^「上辺だけ善人のように振る舞う人」^のことを指します。
■偽善者とはどんな人かが分かる特徴5つ
偽善者は、一見良い人のように見えます。
特に付き合いが浅いうちは、「いつも助けてくれる親切な人だな」と感じることが多いでしょう。その分、「この人って本当は偽善で動いているんだ」と気づいた時のショックは大きいですよね。
ここからは、偽善者を見抜くための特徴を解説していきます。
◇(1)口がうまい
偽善者は、口がうまく饒舌な人が多い傾向にあるかもしれません。
^「自分を良く見せたい」という気持ちが強いため、「私はこんな親切なことをしています」というアピールが上手です。^
そのため、関わりが薄い人からは「良い人だよね」という表面上の評価を受けることが多いでしょう。
◇(2)他人の目があるところでしか親切をしない
偽善者は、他人の目があるところでのみ良い行いをします。
^偽善者の目的は「自分の評価を上げること」であるため、影でこっそりと行う親切は意味がないと思っているのです。^
そのため、自分の親切さをアピールしやすい場面だけを狙って、人前で良い行いを見せつけます。
◇(3)計算高い
偽善者は、「自分の行いをアピールすべき相手は誰か」ということをよく分かっています。つまり、どこで偽善を働くかは計算によって決めます。
^職場では取り入るべき相手をすぐに見分けられるため、目上の人からは評価が高い傾向にあるでしょう。^
反対に、親切にしても意味がない相手には目もくれない様子。人によって態度を変えるため、後輩や部下からは嫌われているかもしれません。
◇(4)善行アピールをする
偽善者は、自分の親切な行動を必要以上にアピールします。
本来であれば、善行をアピールする必要はありません。
^しかし、偽善者にとってはそれを周囲に知ってもらうことこそが目的であるため、自らの善行をくどくアピールするのです。^
「あなたのために私はこんな行いをした」と何度も言われるため、相手は「恩着せがましいな」と感じてしまいます。
◇(5)他人の成功が許せない
偽善者は他人が成功することを許せません。
^いつも自分が一番でいたいため、自分以外の人に注目が集まることは嫌なのです。^
誰かが褒められている場面でボソっと「全然大したことないのに」といった嫌味を言うことも……。
これまで良い人だと思っていた人が突然そんなことを言ったら驚きますよね。^他人の成功を喜んでいない様子ならば、偽善者の可能性が高いでしょう。^
▶次のページでは、偽善者と呼ばれる人の心理をひも解きます。
■偽善者と呼ばれる人の心理とは?
偽善者と呼ばれる人は、なぜ上辺だけの親切を働いてしまうのでしょうか。ここからは、偽善者の心理について解説していきます。
◇(1)他人から嫌われたくない
偽善者は、^「他人から嫌われたくない」という気持ちが強い人^です。
誰でも嫌われることは避けたいと感じますが、偽善者はその気持ちが強い傾向にあります。
他人から嫌われたくないゆえに、その場だけの親切心を見せたり、とりあえず良い顔をしてしまったりするのです。
◇(2)周囲から良い評価を得たい
偽善者は他人からの評価を気にしており、^自分に対して良い評価を持ってほしい^と感じています。
そのため何でも知っているように振る舞ったり、独りよがりな親切を押しつけてきたりすることがあるのです。
◇(3)大きな悪気はない
偽善者はありがた迷惑な親切を押しつけてくることが多いですが、^本人には悪気がないことも多い^です。
決して「他人を傷つけたい」とか、「他人を貶めたい」という気持ちがあるわけでなく、ただ単純に「自分が良く見られたい」という気持ちが根底にあるだけなのです。
ただし、それによって他人が迷惑を被っていることには気がつかないため、結果として人から避けられてしまうこともあります。
◇(4)他人を思いやっているわけではない
偽善者は、一見良い人のように見えます。困っている人がいたら率先して助けようとするため、むしろ第一印象は悪くないのです。
しかし、偽善者は本当に相手のことを思いやって行動しているわけではありません。
^「この人を助けたら自分の評価も上がるはず」といった見返りを狙って行動していることがほとんどです。^
◇(5)自己中心的
偽善者は、「自分さえ良ければそれで良い」という人が多い傾向にあります。
善行を働いているのは、他人のためではなく自分のためなのです。そのため、自分の偽善によって他人が迷惑な思いをしていても気がつきません。
^「自分の評価が上がるかどうか」ということだけを気にしている自己中心的な心理を抱えていると言えます。^
▶次のページでは、偽善者にならないためにすべきことを解説します。
■偽善者にならないための対処法
偽善者は、他人から嫌われてしまう傾向にあります。
自分では親切にしているつもりでも、相手から偽善だと思われていたらやるせないですよね。とはいえ、人間誰しもずるい感情を持っています。従って、親切な気持ちの裏に「良く思われたい」という気持ちはひそんで当然。
ここからは、なるべく偽善者にならないための対処法を解説していきます。
◇(1)損得勘定で物事を判断しない
偽善者は、常に損得勘定で物事を判断しています。
「この人を助けたら自分にとってプラスだな」「この人は周囲に影響力がないから関わらないでいいや」など、全て自分中心に考えているのです。
偽善者にならないためには、^「本当に困っている人がいたら、相手が誰でも助けること」が大切^です。相手を選ばず親切を行っていれば、きっと偽善者になることはないはずです。
◇(2)他人を妬まない
偽善者は他人を妬んだり、僻んだりすることが多いです。それは、「常に自分が注目されていたい」と考えているから。
偽善者にならないためには、^他人の成功を心から喜ぶことも大切^です。周囲に成功を収めた人がいたら、それをきちんと称える姿勢を忘れないようにしましょう。
◇(3)人の評価を必要以上に気にしない
偽善者は、人からの評価が何よりも大切。人に親切をするのは自分の評価を上げたいからです。誰しも他人からよく思われたいと思うものですが、必要以上に人の評価を気にするのはやめましょう。
^本当に相手を思いやっての善行であれば、偽善者だと思われることはなくなります。^
◇(4)自ら善行をアピールしない
たとえ親切な行いをしても、自らそれをアピールしないようにしましょう。^親切な行いというのは、他人がこっそりと広めてくれるものです。^
「私はこんな良いことをした」とアピールをしていると、周囲から「あの人は褒められたいだけなのだろうね」と思われてしまいます。
アピールしたい気持ちも分かりますが、本当のヒーローはそれを口に出さないもの。あなたの行いはきちんと見ている人がいるので、わざわざ言わなくても大丈夫です。
■偽善者は自分のことだけを考えている人
偽善者は一見良い人のように見えますが、^実は自分のことだけを考えている自己中心的な人^です。
偽善者から良いように利用されないよう、しっかりと相手を見極めることが大切。また、自分が偽善者にならないよう律していきたいものです。
偽善者の本質を理解して、「本当に良い人」を目指せるといいですね。
(にほんご倶楽部)
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