二股されたら、どうする? 今年こそ本物の恋愛をする方法
恋愛&映画コラムニストのアイさんがいる「恋愛心理ラボ」は、恋のお悩みを手みやげにお茶を飲みにくるアラサー女子・ゆかりんが行きつけの恋の駆け込み寺。女子が気になる恋愛映画のシーンから、登場人物の心理を分析! 恋に迷ったときに力になってくれる恋愛のヒントをお届けします☆
二股愛の“甘い罠”、どうかわす?
ゆかりん「アイさん、ちょっと聞いて」
アイ「あら、なにかあったの?」
ゆかりん「そう、あったんですよ。去年の忘年会に友人が連れてきた男性から、あらためて2人で会おうってメールが来たんです。さらに地元でも高校時代の同級生と久しぶりに会って、東京出張のときにまた会えないかってメールがきて……」
アイ「もしかして、モテ・ウェーブが来ちゃった?」
ゆかりん「そうだといいんだけど、どっちも既婚者なんです。よりにもよって既婚者に立てつづけに誘われるなんて。私、そういうオーラ、出ていますか?」
アイ「そういうオーラって?」
ゆかりん「なんか、こう。私は二番目でもかまわないのよ、とか。大人の関係で割り切りましょうよ、とか。道ならぬ恋を誘い込むような妖しいオーラのことです」
アイ「大丈夫、ない、ない。息をするように女性を口説くイタリアンな男性も世の中にはいるのよ。そういう人は、ゆかりんがお相手してあげなくても困らないんだから反応しちゃダメ」
ゆかりん「でも、なんだか無視できなくて。口説かれるたびに女としての自信が一気によみがえっていくのがわかるんです。たしかに既婚者っていう条件はBランクだけど、このままずっとひとりでいるよりはマシかもって揺らいで……。これ、独り身の末期症状ですか?」
アイ「そんなことない。たしかに認めてくれる人がいるのはありがたいことよ。その好意や評価は、ありがたく受け取ってもいいけど、それはそれ、これはこれ。ゆかりんは、自分を裏切らない誠実な男性と幸せになるはずでは?」
ゆかりん「ダメなの、今はそういう健康的な考え方ができなくて。甘い言葉をもらうと、もっともっとほしくなっちゃうんです。でも、いったん踏み込んで途中で引き返すのは大変だから、こうやって話して理性をふるい立たせているんですよ」
アイ「独り身がこたえている時期に、既婚者の口説き文句は“甘い罠”ってわけね。今日の映画は『ブリジット・ジョーンズの日記』にしようかな」
迷ったら“自尊心”が導く方向へ
アイ「主人公のブリジット・ジョーンズは、大食いで大酒飲みのヘビースモーカー、32歳独身。おまけにちょっと太めでドジ。結婚願望は大いにあるけど、空回りばかりで成果なし。そんな彼女が、今年こそは素敵なパートナーと出会おうと新年の決意をするところからはじまるのよ」
ゆかりん「なんか、耳が痛い。ブリジットほどひどくはないけど、私にも新年の決意が必要かも。ちなみにブリジットは何を決意したの?」
アイ「禁煙・節酒・ダイエット。そして幸せになれそうにない相手には深入りしないこと。でも、新年の決意はすべて三日坊主に終わり、さらにセクハラ上司のダニエル・クリーバーに誘われるまま関係をもってしまうの。挙げ句にダニエルの浮気現場を押さえて大失恋……」
ゆかりん「きついなぁ。やっぱり二股愛には未来がないのかな」
アイ「しかも浮気じゃなくて、相手の女性が婚約者だったってことが発覚するの。浮気相手はブリジットのほうだったのよね。おまけに相手はモデルみたいな容姿の才能あふれる年下女性。まさに気分は奈落の底」
ゆかりん「イタすぎる。そして、私とかぶってる。ああ、よみがえる悪夢。既婚者に口説かれたくらいで浮かれている場合じゃないわ。私、滝にでも打たれて目を覚ましたほうがいいかも」
アイ「でもね、ブリジットの快進撃はここからなの。彼女は、ぽっちゃり体型でバカにされるなんて日常茶飯事なのに、誰かの理想に合わせてダイエットなんてしないの。ぽっちゃりだからモテないんだとか、そういうふうに自分を否定している時間がすごく短い。そして、ありのままの自分で何度でもトライするの」
ゆかりん「すごく強い。っていうか、むしろ図太いくらい」
アイ「そうなのよ。不実なダニエルの言い訳に耳も貸さず、毅然とした態度で転職を決めて、あっというまに傷ついた自尊心を立て直しちゃう。『私はひとりの女性として、そして人間として大切にされるべき。二股なんて冗談じゃない』って、自分の名誉のために憤慨できる女性なのね。自尊心の崩壊を防ぐのに、怒りっていうのは役に立つのよ」
ゆかりん「そこで憤慨しなかったら、不毛な関係がズルズル続いていくってことか。自尊心の持ち方って、ずいぶん人間関係に影響するんだ。元彼が後輩女子に心変わりしたとき、ダメージが深かったのもそのせいかな。ずっと嘘をつかれていたのは私のほうなのに、自分のほうが女性として劣っているんだって、ショックで怒ることなんてできなかった」
アイ「それはつらかったわね。相手の仕打ちで心が傷ついたとしても、自分の価値そのものまで傷つける必要はないのよ。不当な扱いをされたら憤慨して自分の自尊心を守っていいの。ただでさえ傷ついている自分をいじめ抜く必要なんてないんだから」
ゆかりん「そうなんですね。ああ、今ごろ悔しくなってきた。しかも、奥さんがいるのに平気で口説いてきた彼らにもなんだか腹が立ってきた! それで、まんまと浮かれていた自分にも腹が立ってきたー!」
アイ「ふふふ。健全な自尊心には虫よけ効果があるからね。たとえカンチガイだと言われても、自尊心は高めにしておくほうが立ち直りも早いし、次のチャンスもめぐってきやすいわよ」
ゆかりん「新年の抱負ひとつめ。自尊心は高めキープ、で決まりました!」
Data
『ブリジット・ジョーンズの日記』
ブリジット・ジョーンズは32歳の独身OL。仕事を持ち、ひとりで立派に生きている自負はあるけれど、「売れ残り」「時間切れ」と世間の目は厳しい。新年の決意は、禁酒・禁煙・ダイエット、そして幸せな恋愛をすること。ちょっと太めでドジだけど、前向きで健気なブリジットの恋の行方を描いたラブ・ストーリー。
監督:シャロン・マグワイア 出演:レニー・ゼルウィガー、ヒュー・グラント、コリン・ファースほか
ブルーレイ 1,980円(税込) 発売:ジェネオン・ユニバーサル・エンターテイメント