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2021年01月19日 11:22 更新

【医師監修】赤ちゃんに水道水っていいの? ミルク用にも大丈夫?

赤ちゃんのミルクや離乳食などに、水道水を使っても大丈夫かどうか気になったことはありませんか? 今回は、日本の水道水の安全性や、臭いなどがした時の対策方法、水道水を使ったミルクの作り方についてお話します。

水道水って安全?

哺乳瓶で飲む赤ちゃん
Lazy dummy

日本の水道水は厳しく管理されている

日本の水道水の水質は、水道法第4条に基づき厚生労働省令で定められた基準に沿ってしっかりと管理されています。

水質の基準としては、細かく51項目が定められています。
大腸菌は「検出されないこと」、一般細菌は「1ml検査して細菌の塊が100以下であること」、水銀は「1L当たり0.0005mg以下であること」など、国際的にみても厳しい基準となっています[*1]。

水道水のもととなる水は、河川などから取り入れられた原水です。
原水は管理の行き届いた浄水場などの処理施設で、汚れやにごりなどが取り除かれ、さらに塩素消毒されてきれいな浄水となります。浄水は、管理された水道管を通って、家庭にもそのまま飲める水が届けられています。雑菌などが入り込んでいないかは、毎日確認されています。

水道整備で赤ちゃんの死亡数が低下

日本では、江戸から明治初頭に、コレラでたくさんの人が亡くなりました。
水道施設を整備し、塩素消毒などを行って安全な水が飲めるようになると、赤ちゃんの死亡数は減り、コレラ、赤痢などの伝染病も減っていきました[*2]。
今の安全な水道水は、気づかないうちに赤ちゃんやママ、パパの命も守っているといえます。

水道水は「トリハロメタン」が心配ってよく聞くけど大丈夫?

消毒のために水道水に加えられている塩素が、水の中の有機物と反応すると、「トリハロメタン」ができます。

「トリハロメタン」は発がん性があると疑われている物質なので、不安に思う人もいるかもしれません。

ただ、日本では水質基準の中で、「総トリハロメタンは水道水1L中に0.1mg以下」と定められています。含まれていたとしてもごくわずかなので、健康に影響することはないと考えられています。

赤ちゃんには一度沸かしたものだとより安心

このように、日本の水道水は世界的にもとても安全なものとなっています。
ただし、未発達な赤ちゃんのためには、水道水に含まれているわずかな塩素なども取り除いてあげたくなりますね。

水道水を10分以上沸騰させ続けると、水道水の中の塩素やトリハロメタンはほぼ消えてしまいます[*3]。
気になる時にはキッチンタイマーなどを使って、しっかりと沸騰させて作った湯冷ましにすれば、さらに安心です。

ミルクを作るのは水道水で大丈夫

水道水は粉ミルクにぴったり

日本製の粉ミルクは、日本の水道水に溶かすことを考えて、ミネラル分が調整されています。
そのため、粉ミルクを作る時には水道水や浄水器を通した水を使って大丈夫です。

なお、ミネラル分が多過ぎると、赤ちゃんの腎臓に負担をかけてしまいます。市販のミネラルウォーターを使う場合は、カルシウムやマグネシウムが少ない軟水を使うようにしましょう。

ミルクの作り方

粉ミルクは、とても衛生的な工場で作られています。それでも完全に無菌ではありませんし、調乳する時にうっかり菌が入ってしまうこともないとはいえません。

そのため、粉ミルクを作る時には、必ず「水道水を沸騰させてから冷ました、70℃以上のお湯」を使います[*4]。

ほ乳瓶や吸い口など、使う器具は消毒済みのものを用意しましょう。
パッケージなどに書かれた量のミルクを入れて、70℃以上のお湯を注いだら、ほ乳瓶をよく振って粉ミルクを溶かします。

赤ちゃんにあげる時にはほ乳瓶ごと冷やして、ミルクを36~37℃の人肌に冷ましてくださいね。なお、ほ乳瓶の中のミルクに直接水や氷を入れると、雑菌が入り込みやすくなるのでやめましょう。

だいたい冷めたら、手首の内側に少し垂らしてみて、熱くないことを確認してから赤ちゃんに与えます。

離乳食づくりにももちろんOK!

水道水は厳しい水質基準のもと管理されている、世界的にも安全な水です。
そのため、離乳食づくりに使うこともできます。
安心して水道水を使って、おいしい離乳食を作ってあげてくださいね。

水道水がおかしい?と感じたら

水道水をコップにいれる様子
Lazy dummy

日本の水道水は安全ですが、見た目や味、臭いがいつもと変わることもあります。そんな時には赤ちゃんにはあげるのはいったんストップ。次の対処方法を取って、異常がなくなってから赤ちゃんに使いましょう。

いつもと違う臭いを感じたら

流しっぱなしにしてみる。改善しないときは水道局に相談を

鉄などの金属の臭いを感じたら、家やマンションなどの配管のサビが溶け出している可能性があります。特に朝最初に出したり、半日以上使わなかった水道水には金属の臭いがしやすいものです。

そんな時には、水道水を約10L(バケツ1杯分)くらい流しっぱなしにしてみましょう。配管の中の水が入れ替わって、金属の臭いがなくなります。
流した水を捨てるのがもったいない時には、飲まずに植木にやったり庭の撒き水に使ってくださいね。

また、水道水からカビや油、薬品の臭いがすることもあります。この場合も水道水をしばらく流しっぱなしにすると、臭いはなくなります。もしもなかなか臭いが消えない時には、水道局に相談しましょう。

なお、水道水でカビの臭いがした場合、川や湖にもいる微生物が細胞の中で生み出したものが原因であることが多いようです。安全性に問題はないことがほとんどなので安心してくださいね。

臭いがなくなっても気になる場合は、浄水器を使うのもおすすめです。
なお、浄水器を使うと塩素が抜けるので、雑菌が増えやすくなります。浄水器を通した水は、早めに使い切ってくださいね。

カルキ臭を強く感じたら

なかには、いつもに増してカルキ臭(塩素の臭い)を強く感じることもあるかもしれません。

塩素は消毒のために水道水に加えられています。
ただしカルキ臭が強い場合は、原水に含まれているアンモニア態窒素が塩素と反応して生まれた「クロラミン」という物質が臭っている可能性もあります。

安全性に問題はありませんが、、カルキ臭を消したい時には、水道水を10分ほど沸騰させ続けてから使うと良いでしょう。

赤い水が出たら

続く場合は水道局に相談を

水道から赤い水が出ることもあります。
これは、水道管や配管からはがれた赤い鉄さびが混じったものです。

水道工事や事故などで水道管の中の水の流れや圧力が急に変わると、水道管内の鉄さびがはがれて水に混じって、赤い水になるのです。
赤い水が出てもしばらく水道水を流しっぱなしにすると、透明に戻ります。もし赤い水を飲んでしまったとしても、体にはほとんど吸収されないので心配はありません。

赤い水が出続けていたり、工事がなくても赤い水が毎日続いていたら、家やマンションなどの配管のサビが混じっているのかもしれません。まずは水道局に相談してみてくださいね。

まとめ

日本の水道水の基準は、法律で定められています。世界的に見ても安全性がとても高く、そのままでも安心して飲める水ですが、赤ちゃんにあげる時には念のため、湯冷ましにすると安心です。また、粉ミルクはそもそも日本の水道水に合わせて作られているため、水道水で作って大丈夫。離乳食を作る時にももちろん水道水は使えます。もしも水道水の臭いや色が気になったら、しばらく出しっぱなしにしたり、カルキ臭なら沸騰させて飛ばしましょう。浄水器を通すとカルキの臭いは取れますが、殺菌力が低くなるので早めに使い切るのがおすすめです。どんどん成長していく赤ちゃんのために、安全な水でミルクや離乳食をたっぷり作ってあげてくださいね。

(文:大崎典子/監修:丘 逸宏先生)

※画像はイメージです

※この記事は、マイナビ子育て編集部の企画編集により制作し、医師の監修を経た上で掲載しました

※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます

  • 本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください。

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