【医師監修】妊娠検査薬は最短でいつから？フライング検査と正しい使い方

妊娠したかどうか知りたいとき、まっさきに頭に浮かぶのは「妊娠検査薬」を使うかどうかでは。ドラッグストアなどでもよく目にしますが、妊娠検査薬はいつから使えるものなのでしょうか。

妊娠検査薬には、大きく分けて2つのタイプがあります。それは「通常タイプの妊娠検査薬」と、それより早い時期から使用できる「早期妊娠検査薬」です。それぞれいつから使用できるのか解説します。

ドラッグストアなどの店頭でよく目にするのが「通常タイプの妊娠検査薬」です。これは、「生理予定日の1週間後」からの使用が勧められています。

早期妊娠検査薬は通常タイプの妊娠検査薬より感度が高いもので、日本で販売されているこのタイプの製品では「生理予定日」から使用できます。

妊娠検査薬は、通常タイプも早期妊娠検査薬も、同じような仕組みで妊娠の有無を調べています。

妊娠検査薬は、尿に含まれる「hCG（ヒト絨毛性ゴナドトロピン）」というホルモンの有無によって陽性・陰性を判定します。この仕組みは医療機関で行う妊娠判定の尿検査も、市販の妊娠検査薬や早期妊娠検査薬も基本的に同じです。

hCGとは、受精卵が子宮内膜に着床すると分泌が始まる「妊娠中の女性に特有のホルモン」で、通常、男性や妊娠していない女性ではつくられません。

hCGが尿中に検出されはじめるのは「生理予定日ごろ」で、これは妊娠週数でいうと「妊娠4週ごろ」に当たります。

このころのhCGの分泌量はまだ少ないのですが、その後急激に増え、「生理予定日の約1週間後（妊娠5週）」になると、通常タイプの妊娠検査薬でほぼ正確に検知することが可能な尿中濃度になります。

早期妊娠検査薬は、通常タイプより少量のhCGでも反応するようにできているのが特徴です。

一般的な妊娠検査薬で検出可能なhCG濃度は「50mIU／mL」ですが、早期妊娠検査薬は「25mIU／mL」から検出できるため、「生理予定日」から使用が可能なのです。

このように、妊娠検査薬は尿中にhCGがあるかどうかで妊娠の可能性を判定するものです。正確に検査するために、正しい使い方のポイントも紹介します。

・適切に保管された、直前まで未開封のものを使う
・パッケージに記載の使用期限以内のものを使う
・その製品が推奨している使用時期に使う
・説明書に記載された方法で使う

「フライング検査」や「早期妊娠検査薬の購入方法」「次の生理予定日がわからないとき」「陽性が出たらどうするか」「陰性でもまだ妊娠の可能性が残っている場合」については、それぞれこのあとくわしく解説します。

通常タイプは「生理予定日の1週間後」、早期妊娠検査薬は「生理予定日」から使えると説明しましたが、それより早く「フライング」で使っても良いのでしょうか。

妊娠検査薬はいずれも、検査薬の該当部分に「尿をかける」か「浸すか」するだけなので、使おうと思えば推奨されている時期より早く使うこともできます。

でも、「フライング検査で陰性」だった場合、本当に妊娠していないかはわかりません。検査時期が早すぎると、尿中のhCG量が少なすぎて「妊娠しているのに陰性」になることがあるからです。

やはり、妊娠検査薬は推奨されている時期に使用することをお勧めします。

通常タイプの妊娠検査薬はドラッグストアなどでよく目にしますが、早期妊娠検査薬はあまり見たことがないかもしれません。使いたい場合は、どうやって購入すればよいのでしょうか。

日本で市販されている早期妊娠検査薬「チェックワンファスト(R)」は、薬剤師のいる薬局・ドラッグストアで購入が可能です。

ただし、通常タイプの妊娠検査薬が「第2類医薬品」なのと異なり、早期妊娠検査薬は「医療用体外診断用医薬品」という分類になっており、薬局・ドラッグストアであっても、取り扱いのない店舗もあります。

購入したいときは、事前に早期妊娠検査薬の取り扱いがあるか確認するとよいでしょう。

生理不順などで次の生理予定日がわからない場合は、妊娠検査薬はいつ使用すれば良いのでしょうか。

次の生理予定日がわからないときは、「避妊せずに行った性交の3週間後」を目安に使用します。

妊娠検査薬を使ってみて陽性だったら、次はどうすればよいのでしょうか。シチュエーション別に解説します。

この場合は、すぐに産婦人科を受診しましょう。

hCGは妊娠時にのみ分泌される特有のホルモンですが、hCGが検出された＝妊娠検査薬が陽性となっても、子宮の適切な場所以外に妊娠しているいわゆる「子宮外妊娠（異所性妊娠）」などの可能性もあります。

産婦人科で診察を受け、超音波検査で正常な妊娠かどうかを確認してもらう必要があります。

早期妊娠検査薬の使用や通常タイプでのフライング検査の結果、「生理予定日ごろ」に陽性となることもあります。この場合、その時点ではまだ赤ちゃんが小さすぎて超音波検査で確認できないので、陽性を確認してすぐに受診すると、しばらくしてから再受診するよう言われることも。

この場合は、体調や気持ちの面で変わりがないなら「生理予定日から1週間後ごろ（妊娠5週ごろ）」まで待ってから受診しても大丈夫です。ただ、心配事があったり、生理時より多い出血やひどい腹痛などを伴ったりする場合は、すぐに受診してください。

妊娠検査薬も早期妊娠検査薬も、尿中に規定の濃度以上でhCGが存在すれば「99％以上」の正確さで「陽性」になると言われています。

でも、妊娠しているので「本当は陽性なのに陰性と表示」される、いわゆる「偽陰性」になることもあります。

普通は規則的に生理が来る人であっても、ストレスなどで排卵が予定より遅れると生理予定日は簡単にずれます。

妊娠5週のつもりが、実は妊娠4週だった場合、妊娠検査薬を使うと偽陰性になる可能性はあります。検査薬陰性でもやはり生理が来ないなら、1週間後に再検査してみましょう。

とくに、早期妊娠検査薬やフライング検査で生理予定日に検査してみたら陰性だったけれど、その後も生理が来ないならやはり「1週間後に再検査」してみてください。

また、検査前に水分を摂り過ぎて尿が薄くなることでも、尿中hCGの濃度は下がってしまいます。

妊娠検査薬はいつの尿でも使用可能ですが、尿が薄くなることによる偽陰性を防ぎたいなら、「朝一番の尿で検査する」のがおすすめです。

早期妊娠検査薬は、一般的な市販の妊娠検査薬の高感度版。より早く妊娠の有無を検査できるというメリットはありますが、その結果、陽性となっても正常に妊娠しているかどうか超音波検査で確認できるようになるまで、少し待つ必要があることも。
いずれの妊娠検査薬の使用でも、陽性が出た場合は、正常な妊娠かを確かめるために妊娠5週頃には受診するようにしましょう。

（文：山本尚恵、監修：宋美玄先生）

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※この記事は、マイナビ子育て編集部の企画編集により制作し、医師の監修を経た上で掲載しました

※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます