マインドコントロールされている人の特徴とは? 助ける方法や洗脳との違いも解説
マインドコントロールや洗脳という言葉を聞くと、誰しも不安な気持ちになるもの。まして大切な人や自身がマインドコントロールされているのではないかと感じているなら、目を覚ます方法を知りたいと思いますよね。そこでマインドコントロールについて、心理カウンセラーの原裕輝さんに教えてもらいました。
あなたの愛する人がマインドコントロールをされているのではないかと感じたら、あなたはその時にどうしますか?
マインドコントロールされているかの判断方法、どんなタイプの人がマインドコントロールされやすいか、また身近な人がマインドコントロールにあったらどう助けるのかなどを知っておくことで、きっと慌てずに対応ができるはず。
本記事ではマインドコントロールについて解説します。
マインドコントロールとは? 洗脳との違いはあるの?
カルトや霊感商法・占い詐欺・マルチ商法などの話題がニュースで報道される際などに、「マインドコントロール」という言葉がよく出てきます。
この「マインドコントロール」は、「心を支配されている状態」という意味合いで一般的に使われています。
さて、「マインドコントロール」と似た言葉として「洗脳」という言葉があります。「それって一緒じゃないの?」と思われた方もいらっしゃるかもしれませんね。
実はちょっと違うのです。
マインドコントロールは、コミュニケーションを使って、コントロールをする側の都合が良い形になるように、相手の考えや行動を誘導する心理術をいいます。
一方で洗脳は、監禁・暴力・拷問などの物理的な強制を使って、相手に新たな観念や価値観を植えつけていくことを指します。
マインドコントロールや洗脳を受けると、いずれにしても本来の自分とは違う考えを持たされる状態になってしまいます。
マインドコントロールされている人の特徴・見分け方
実はどのような症状が、いくつ当てはまれば「マインドコントロールのされた状態」だと判断できるのかという、心理学的な定義はありません。
それだけに判定するのは難しく、今回紹介する例に当てはまるからといって「マインドコントロールされている」と断定はできません。
あくまでも「この状態は、もしやマインドコントロール状態かも?」と見極めていくために役立つ特徴を、いくつか挙げたいと思います。
(1)分断・孤立状態に陥っている
マインドコントロールの手法として、コントロールする側にとって都合が良い事柄や、うその情報を与えることによって、相手の考えを誘導していく、というものがあります。
そのため、コントロールしようとする側にとって都合が悪いことや、うそがバレるような情報が入ってくるのは、非常に困るわけです。
カルト教団が「寮に入って修行しましょう」などと言って、家族と離れて住む状況をつくったり、DV夫が妻に友達との付き合いを禁じたりするのは、分断・孤立状態にするための手法と考えられます。
ですから、本人が急に家族のもとを離れて寮やシェアハウスに入ったり、連絡が取りづらくなったりしたら、マインドコントロールされているサインかもしれません。
(2)恐れをもとにした強迫観念にとらわれている
マインドコントロールの手法として、恐れを使って強迫観念をすり込んでいくことがあります。
例えば、「お布施をしないと悪いことが起きる」とか、「脱会すると運命の人と出会えなくなる」などと怖がらせるのです。
何かに対して過剰におびえていたり、それによって通常では考えられないような行動をしようとしていたりしたら、マインドコントロールされている可能性があるでしょう。
(3)「みんなが」「多くの人が」という言葉を信じすぎている
「社会的証明の原理」といって、人は無意識的に多数派の意見の影響を受ける傾向があるという心理があるのですが、これもマインドコントロールの手法として利用されることがあるようです。
例えば、霊感商法で「先生のご祈祷をしたお守りで、皆さん、病気が良くなってますよ」と聞くと買った方が良いように思えてきたり、マルチ商法で「多くの人が2年以内に500万円稼げている」と聞くと、自分もやるべきだと思ったりしてしまうのです。
しかし、「実際にどんな人が」「具体的に何人」といった実態をつかんでいなかったり、根拠が分からないままだったりするのに「多数の人はこうなっていますよ」という言葉だけを信じすぎていたら、注意が必要かもしれません。
マインドコントロールされやすい人の特徴
ここからは、どんなタイプの人がマインドコントロールされやすいかを、いくつか紹介します。
また「私はこのタイプかも?」と知ることができると、自身をマインドコントロールから防御するのにも役立つでしょう。
(1)依存体質の人
マインドコントロールをしてくる人というのは、「みんながあなたのしようとすることを悪く思っているけど、私は味方だ」などと甘い言葉を述べ、依存状態を作っては、他の人間関係との分断や孤立を図ろうとします。
そしてその人や、その組織の言うことにのみ従うようにしていきます。
相手はマインドコントロールをする上でこの依存状態をつくろうとするので、「依存したい人」とは、需要と供給がマッチしやすいです。
そのため、何かに頼りがちな人は、「人生の答えを誰かに出してほしい」というような依存的姿勢になりすぎないよう、意識するのが大切です。
(2)権威がある人の言うことをうのみにしがちなタイプの人
「権威への服従原理」というものがあります。人は「肩書や地位のある人の命令や指示は正しい」と判断しがちな心理のことです。これも、マインドコントロールの手法に組み込まれることがあります。
例えば「〇〇議員も、私共の団体を応援しています」とか、「海外スターの○○さんも、私たちの製品を絶賛しています」などと言うと、それを信頼しやすくなるのです。
そのため、普段から偉い人や有名な人の言うことをうのみにしがちな人は、より影響を受けやすいといえます。
何かを信じそうになったら、権威者の意見ではなく自分の意見として、それが本当に「価値があるもの」と思えるのか、考え直してみるといいかもしれませんね。
(3)「自分はマインドコントロールにかからない」と思っている人
「自分はマインドコントロールにかからない」と思っている人も、実は注意した方がいいでしょう。
このタイプの人は、「自分は正否の判断をつける力があるので、間違いを見分けられる(見分けられている)」と思いこんでいる傾向があります。
ということは逆に、少しでも自分が同意できる内容を提示されると、それを正しい答えと判断して受け入れてしまうといえます。
相手はプロです。このタイプの人の性質を知っている上で、どうアプローチすればよいかは既に準備をしています。「自分は間違いを見分けられる」という思い込みを疑うのも大切です。