お使いのOS・ブラウザでは、本サイトを適切に閲覧できない可能性があります。最新のブラウザをご利用ください。

岡田先生を“悪役”として演じない、俳優・内田慈の葛藤。『Re:リベンジ-欲望の果てに-』インタビュー

スペシャルインタビュー

渡邊玲子

取材・文:渡邊玲子
撮影:洞澤佐智子
編集:杉田穂南/マイナビウーマン編集部

現在放送中の連続ドラマ『Re:リベンジ-欲望の果てに-』(フジテレビ系)。巨大病院で巻き起こる権力争いをきっかけにさまざまな事件が巻き起こるリベンジサスペンスです。

本作に経験豊富で優秀な心臓血管外科医「岡田千尋」として第6話から登場した内田慈さんは、物語が大きく動き出す“ある手術”を担当する岡田先生を演じるにあたり、葛藤したこともあったと語ります。

今回は、そんな内田さんに岡田先生を演じた心境と、最終回に向けて作品の見どころを聞きました。

岡田先生を“悪役”として演じない、俳優・内田慈の葛藤。

——本作は、第1話からさまざまな事件が巻き起こり“岡田先生”が登場した第6話ではすでに佳境に入っていたかと思います。そんなシーンから重要な人物として登場するのはいかがでしたか?

単発ゲストとかではなく、6話からずっと出演する役というのは私にとってなかなかない経験で。すでに現場の空気ができているところに後から入っていくというのもあって、最初は少し緊張しました。

ですが、座長の赤楚くん自身がすごく明るいからか、こういうシリアスなドラマを撮っているとは思えないくらい、撮影の合間はみんなでおしゃべりしたり笑いが起きたりするような楽しい雰囲気なんです。もちろん本番になると笑顔なんて一切なしで、キュッと空気が引き締まる。すごくオン・オフがはっきりした現場で緊張も和らぎました。

——本作に向けて何か準備はされましたか?

医療ドラマでありながらも、病院内の権力争いにフォーカスした作品ではあるんですが、私が演じた岡田先生は、天才医師という設定なので、出来る限り準備をしてから撮影に臨みました。

専門用語ばかりでセリフ回しも難しかったりするんですが、執刀医として正確な指示が出せるように、これからやるのはどんな手術でどういう術式なのかちゃんと理解したうえで演じるようにしました。また、手術中に片手で医療ハサミを受け取って、クルっと回転させてからハサミを握るシーンがあるのですが、その技を習得するべく若林先生役の橋本淳くんと共に時間が許す限りずっと練習してましたね(笑)。

——岡田先生が担当した“ある手術”によって物語が大きく動き出すわけですが、そんな岡田先生を演じる上で心がけられたことはありますか?

物語上、どうしても悪役に見えがちな役ではあるのですが、私自身は絶対に悪役として演じないように気をつけました。医療過誤の可能性を指摘されても、「手術自体にミスはなかった」と何度も言い切るのには、彼女なりの確信があるのかもしれない、と。あくまで「その可能性がある」けど「真実は分からない」という状況。彼女が主張する正当性について疑わずに考えてみる視線も持つことによって、決めつけずに取り組みたいと考えました。

——ご自身の中で岡田先生の心情を探りながらやられたということですね。

最初から「岡田先生はサイコパス」と決めつけてしまうとすごく単純で薄っぺらい表現になってしまうけど、まずは「少しサイコパス傾向のある人」と仮定したところから出発して、だとしたらいったいどんな特性があるんだろう、と自分なりにいろいろ本で調べてみたんです。

そしたら、頭で考えているだけでは分からなかったようなこともたくさん知ることができて。自分とはまったく違う軸で生きている岡田先生を、“内田慈”のフィルターを通して演じるにあたっては、どうしたって私自身が感じる罪悪感みたいなものも少なからず乗っかってしまうとは思うのですが、それを視聴者に見せるべきか、それとも見せないべきか、の判断を監督たちとその都度調整しながら進めていきました。

——その結果、視聴者の方々に岡田先生と混同されてしまうなんてこともあったり……?

そうなんです。私のSNSに「ひどい!」みたいなコメントをいただくこともありました(笑)。役を演じているのではなく、あたかも現実世界のお話であるかのように、そこまで夢中になって観ていただけているのは役者としてはうれしい限りではあるのですが……。できることなら、番組の公式SNSで公開中のコメント動画やメイキング映像もぜひとも併せてご覧いただきたいです(笑)。

実はお茶目? 不思議な俳優? 意外な“共演者の印象”

——本作の主演である、天堂海斗役を務められた赤楚さんの印象は?

オン・オフをつけるためにあえてそうしているのか、普段からそういう方なのかは分からないですが、いわゆる天然とはまた少し違った不思議な方で、すごくお茶目なんですよ。

例えば、現場で俳優一人ひとりに用意された小さな扇風機を赤楚くんが、錦戸さんと私とご自分の扇風機を全てスイッチオンにした状態で、向かい合うように三角形にして立たせて。そこに細かくちぎったティッシュをふわっと浮かせて、「この風は、どっちの方向に流れてると思う?」って、いきなり実験をし始めたりするんですよ(笑)。小学生の男の子みたいに無邪気。

——赤楚さんとは映画『決戦は日曜日』でも共演されていましたよね?

その時はセリフ以外ほとんどお話できなかったので、今回の現場で「赤楚くんって、こんなにも楽しくて面白い人だったんだ!」って、驚かされて。つい、みんなが自然と笑顔になってしまうような、すてきな主演の方だなと思いましたね。

——キーマンとなる大友先生を演じていらっしゃる錦戸さんの印象は?

錦戸さんは、すごく優しいお兄さんっていう感じでしたね。「背中にも目がついているんじゃない!?」っていうぐらい視野が広い方なんですよ。例えば、「ヨーイ!」の声がかかっても、まだ誰かがスタンバイしている最中だったりすると「こっちまだ準備しているよ~」って率先して声掛けをされるくらい、周りの人たちのことをとにかくよく見ていて。

——まさに大友先生のような機転が利く方なのですね。

そうなんです。しかも、美咲役の白山乃愛ちゃんと話している時はすごく優しい顔でニコニコ笑うし、大友先生の演じ方も、睨んだりするわけじゃないのに、眼ヂカラがありますよね。自然体でありながらも言葉の圧をちゃんと伝えられる、不思議な俳優さんだなと思いました。

——物語と共に変化する登場人物たちに目が離せない本作ですが、間もなく最終回を迎えます。最後に見どころを教えてください。

これまでもご覧になっていた視聴者の方々は、予想通りの展開もありながらも、時に、「え!? そっち行っちゃう?」「そうだったの?」って、裏切られることも多かったのではないかと思うんです。この『Re:リベンジ-欲望の果てに-』というドラマは、本当にギリギリのところまで、何が起きるのか分かりません(笑)。ぜひとも最後まで気を抜かずにご覧ください!

関連記事はこちら▼

恋愛・婚活コラムニストのやまとなでし子さんが、『Re:リベンジ-欲望の果てに-』(フジテレビ系)を毎週考察&展開予想するコラム連載。

※この記事は2024年06月12日に公開されたものです

渡邊玲子

インタビュアー/ライター。映画配給会社、新聞社、WEB編集部勤務を経て、フリーランスの編集・ライターとして活動中。俳優や監督、芸人、ミュージシャンなど、第一線で活躍する著名人のインタビュー記事を多数執筆しているほか、エンタメ関連のレビューや旅・食関連のコラムなども手掛けている。
Twitter:@ocier_w

この著者の記事一覧 

SHARE

投稿は利用規約に遵守の上お願いします。