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「始める」と「初める」の違いとは? 正しい言葉の意味と使い方を解説【例文付き】

にほんご倶楽部

「○○をはじめる」と述べる時、「始める」と「初める」のどちらを使うべきか迷った経験はありませんか?

「始」と「初」の使い分けは複雑なので、まずはそれぞれの意味を正しく理解することが大切です。

今回は、「始める」と「初める」の違いについて詳しく解説します。

「始める」と「初める」の違いとは?

まずは、それぞれの漢字の意味を見ていきましょう。

「始」は「物事が動き出すこと」

「始」を辞書で調べてみると、次のような意味があります。

【始】

1.はじめる。はじまる。「始業・始動/開始・創始」

2.はじめ。おこり。「始終・始祖・始末/元始・原始・終始・年始」

(出典:『デジタル大辞泉』小学館)

「始」は、基本的に物事が動き出す様子を表し、出来事に重点を置くのが特徴です。

「始める」の意味

「始める」には次のような意味があります。

はじめる【始める】

1.物事を行っていない状態から行う状態にする。行いだす。

2.(「創める」とも書く)新しく起こす。新たにつくる。

3.いつものくせを出す。

4.(動詞の連用形などに付いて)その動作が行われだすことを表す。

(出典:『デジタル大辞泉』小学館)

「始める」は「新しい趣味を始める」「プロジェクトを始めるための会議」といった、新たに何かを開始することを表現したい時に用います。

また、「歩き始める」「走り始める」など、他の動詞に付いてある動作が行われだすことを述べる時にも使用が可能です。

「初」は「ある状態になって間もない頃」

一方、「初」の意味は以下の通りです。

【初】

1.物事のはじめ。はじめの時期・段階。「初夏・初期・初級・初心・初代・初頭・初歩/最初・太初・当初・年初」

2.その時はじめて。経験上はじめての。「初学・初見・初婚・初任・初対面」

(出典:『デジタル大辞泉』小学館)

「初」は、最初や何かをスタートさせてから間もない状態を意味し、時間に重点を置くのが特徴です。

例えば、「初めてのことに挑戦する」「初めての出会い」などと述べると、それが初回であることが分かりますよね。

しかし、ここで注意しなければならないのが、「初める」と表記する場合の正しい読み方は「そめる」であるということ。

読みが「はじめる」である時に「初める」を用いることはできず、「始める」と記載するのが適切であると覚えておきましょう。

「初める(そめる)」の意味

「初める(そめる)」には次のような意味があります。

そめる【初める】

動詞の連用形に付いて、…しはじめるの意を表す。

(出典:『デジタル大辞泉』小学館)

例えば、「夜が明け初める」や「桜が咲き初める」など、ある物事が新しく始まる時に使うイメージです。

使い分ける時のポイントは「単独で使えるかどうか」

「始める」と「初める(そめる)」は似た意味を持っている部分もありますが、基本的に「始める」は英語の「スタート」に値する表現である一方で、「初める」はあくまで補助動詞です。

そのため、「初める」を用いる際は必ず他の動詞とセットで使用しなければなりません。「仕事を初める」というように「スタートする」という意味合いで使うことはできないので注意しましょう。

「○○をはじめる」という表現にしたい時には、「始める」を使うようにするのが適切です。

「始める」の使い方【例文付き】

「始める」を使用する際は、何をスタートするのかを表す言葉を付け加えましょう。

また、「はじめる」とひらがなで表記することもありますが、意味は同じであり、文章の読みやすさや文体によって使い分けるのがおすすめです。

例文

・「英語の勉強を始めることにした」

・「これから新しい事業を始めるために仲間を集める」

・「始めたばかりの副業でさっそく利益が出た」

「初める(そめる)」の使い方【例文付き】

「初める(そめる)」は補助動詞であるため、使用する際は必ず他の動詞の連用形とセットで用います

また、常用漢字としての知名度があまりない表現でもあるので、相手によっては伝わらない可能性も。そのため、話し言葉ではなく手紙や小説などの文章に使うことをおすすめします。

例文

・「あの日偶然出会って見初めた女性のことが忘れられない」

・「夜が明け初めて、だんだんと空が明るんできた」

「始める」の類語

ここからは、「始める」の言い換え表現を紹介します。

(1)「取り掛かる」

「取り掛かる」とは、これまで取り組んでいなかった作業やプロジェクトをスタートする意味合いで使います。

例えば、「料理に取り掛かる」など、手を付けていなかったことを新たに始めるイメージの時に使用すると良いでしょう。

(2)「着手する」

「着手する」は、手を付けようとしていた物事を始める様子を表した言葉です。

具体的に目に見えるものや新しい仕事など、ある程度形として認識できる事柄に使います。「工事の着手予定日が決まった」など、ビジネスシーンでもよく使われる表現のため、覚えておくと役立つかもしれません。

「初める(そめる)」の類語

ここからは、「初める(そめる)」の類語を紹介します。

(1)「~始める」

「始める」にも、他の動詞に付いてある動作が行われだすことを表現する使用方法があります。誤解なく相手に意味を伝えたい時は、シンプルにこちらを用いるのがおすすめです。

(2)「乗り掛かる」

「乗り掛かる」には、何かをし始めるといった意味合いがあり、「初める」の類語といえます。

「乗り掛かった船」といった表現があるように、スタートしてしまったからには後に引けないというニュアンスも。

何かに着手することとは違い、既に他の人や場所でスタートしていたことに自分が便乗するようなシーンで用いると良いでしょう。

「初める」と表記する場合は「そめる」と読むことに注意!

「始」と「初」の使い分けは少々複雑です。特に、「初める」と表記する場合は「はじめる」ではなく「そめる」と読むということを忘れないでください。

また、「始める」はスタートという意味合いで単体でも使えますが、「初める」は補助動詞のため必ず別の動詞とセットで使用しなければなりません。

それぞれの言葉の正しい意味を知り、使い方に気を付けて、シーンに合った表現を心掛けていきましょう。

(にほんご倶楽部)

※画像はイメージです

※この記事は2024年04月11日に公開されたものです

にほんご倶楽部 (敬語・ビジネス用語専門編集プロダクション)

いつも使っているけれど間違った認識も多い「敬語」や「ビジネス用語」。人にはなかなか聞けない常識から応用編まで、日本語に関する情報を発信。

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